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リハウスじゃないよ三井ハウス---23区渋沢栄一ゆかりの地

2021年の大河ドラマ「青天を衝け」は私のお気に入りの大河ドラマでした。しっかりした考証を背景に、日本の近代化に大きく貢献した渋沢栄一の生涯を描きました。2024年、渋沢は新1万円札の顔となります。ドラマの放送をなぞりながら、23区内などの渋沢栄一ゆかりの地をご紹介していきます。

23区 渋沢栄一ゆかりの地案内一覧

第31回「栄一、最後の変身」

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 今回、怖い大久保利通はいません。歴史の授業では大事件として教えられる岩倉使節団一行として欧米への長旅に出ているからです。それがドラマでは大久保の不在、という形であっさり触れられているだけでした。

 岩倉具視、大久保、木戸孝允がいない間は大きな政治的決定をしない、という約束は実際にありました。しかし留守政府はこの約束を守りません。学制公布太陽暦採用、徴兵制地租改正、キリスト教解禁など大改革を次々と実行します。これには留守政府にも言い分はあります。当初10か月程度の予定だった使節団の日程は、大幅に伸びて1年10か月にもなったのです。新政府ができてまもないこの時期に、これほどの長期間何もしないでいては政府が潰れてしまいます。

 その中でドラマでクローズアップされていたのが、渋沢立案による日本最初の銀行の創設です。ドラマでは大隈重信が、「おい!これはなんと訳す」と「national bank」の文字を示します。そこで色々な案が出る中で「銀行」との訳語が決まります。こうして「第一国立銀行」との名称が決まるのですが、「国立」とありながら実は民営銀行です。「national」を「国立」と訳したのが誤解のもとですね。「国法」などとすればよかったのですが。このあと中央銀行にあたる日本銀行が設立されるのは1882年になってからです。これも「国立」ではないのですが。

 栄一は当時の大商人、三井小野組の合同で銀行をつくらせようとしますが、両者とも反発します。「住友とか鴻池は?」と疑問の皆さん。大阪は大阪で国立銀行の計画がありました。三井・小野の反発に対して栄一は、「官金取扱」召し上げをちらつかせて脅します。この時は両者、栄一の脅しに屈して「第一国立銀行」の設立に動きますが、問題はその銀行の場所です。

これより有料です。以下には三井ハウス所在地のほか、この間転居した邸宅跡についての記事全文、写真、地図、関連情報リンクなどがあります。ご購入いただく場合、この記事だけで100円お支払いいただくより、マガジン「『青天を衝け』23区渋沢栄一ゆかりの地案内」全体を500円でお買い上げいただく方がお得かと思います。最終的に数十本の記事をご覧になることができます。よろしくお願いします。

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