リハウスじゃないよ三井ハウス---23区渋沢栄一ゆかりの地
第31回「栄一、最後の変身」
今回、怖い大久保利通はいません。歴史の授業では大事件として教えられる岩倉使節団一行として欧米への長旅に出ているからです。それがドラマでは大久保の不在、という形であっさり触れられているだけでした。
岩倉具視、大久保、木戸孝允がいない間は大きな政治的決定をしない、という約束は実際にありました。しかし留守政府はこの約束を守りません。学制公布、太陽暦採用、徴兵制、地租改正、キリスト教解禁など大改革を次々と実行します。これには留守政府にも言い分はあります。当初10か月程度の予定だった使節団の日程は、大幅に伸びて1年10か月にもなったのです。新政府ができてまもないこの時期に、これほどの長期間何もしないでいては政府が潰れてしまいます。
その中でドラマでクローズアップされていたのが、渋沢立案による日本最初の銀行の創設です。ドラマでは大隈重信が、「おい!これはなんと訳す」と「national bank」の文字を示します。そこで色々な案が出る中で「銀行」との訳語が決まります。こうして「第一国立銀行」との名称が決まるのですが、「国立」とありながら実は民営銀行です。「national」を「国立」と訳したのが誤解のもとですね。「国法」などとすればよかったのですが。このあと中央銀行にあたる日本銀行が設立されるのは1882年になってからです。これも「国立」ではないのですが。
栄一は当時の大商人、三井と小野組の合同で銀行をつくらせようとしますが、両者とも反発します。「住友とか鴻池は?」と疑問の皆さん。大阪は大阪で国立銀行の計画がありました。三井・小野の反発に対して栄一は、「官金取扱」召し上げをちらつかせて脅します。この時は両者、栄一の脅しに屈して「第一国立銀行」の設立に動きますが、問題はその銀行の場所です。
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