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組手什を教わろう 第3回・フルドノタイムと初体験

割引あり

【フルドノタイムと桜街道】

 福島県の地域区分として、「浜通り・中通り・山通り」なんて言い方がある。
 太平洋に面した地域が浜通り、山に囲まれた会津地方を山通りと呼んで、その間の地域が中通りというわけだ。今回の話の舞台、古殿町は中通りの南東部に位置している。
 中通りにだって山は多い。浜通りと中通りの間には阿武隈高地が広がっていて、標高にして300m~500mくらいになる。古殿町が位置しているのもそのあたりで、町の面積の実に8割以上を山林が占めているのだそうだ。
 そうなるとやはり林業が盛んで、名産の杉は古殿杉というブランド木材となっている。この古殿杉の活用の一環として組手什が活用されるようになったのは2015年からのことだそうだ。
 そのあたり、開発者の一人、長坂洋さんにいただいた資料を調べてみると、こんな文章が見つかった。

「毎年12月に、東京国際展示場でエコプロダクツフェアが開催されます。会場内の一部を仕切って“森から始まるエコライフ展”、という名で国土緑化推進機構が森林保全や木材利用の展示を行っていました。ここでの各出展者の標準展示ブースが組手什でまかなわれました。
 2014年に福島県古殿町の職員の岩間哲夫氏が訪ねてきました。いわき周辺には国有林が有るそうで、岩間氏は林野庁から出向中とのことでした。岩間氏から、古殿町で組手什の生産に取り組みたいとの相談を受けました。そこで2015年の春に古殿町の杉材を名古屋へ送っていただき、こちらで組手什に加工して送り返しました。早速あれこれ組まれたようで、古殿町内の“道の駅おふくろ”と役場庁舎内にたくさんの組手什作品が並びました。当時の道の駅の責任者が気に入ってくれていろいろ形を工夫されました。-2015年当時です。
 2015年12月のエコプロダクツフェアには、古殿町作成のポスターが掲示されました。」

〔長坂洋「組手什事始め」より〕

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