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で、債務超過っていったいなんなんだ?
①債務超過って?
Jリーグが所属クラブの2023何度の決算状況を公開した昨日あたりから、一部で話題となっているこのワード。
来季2025年度の決算でJリーグが定める財務基準を満たしていない場合、除名(降格)もあり得るため、今回開示された決算で条件を満たしていないクラブのサポは、順位による降格も含めて気掛かりでしょう。
では、債務超過っていったいどういう状況?
ということで、素人のおっさんが調べられる範囲で調べたことを書いてみます。
②貸借対照表
貸借対照表とは、表の左側に資産を、右側に負債と、法人を経営するための元手や、積み上げた儲け部分に当たる資本を書いた表で、会社組織のある特定の日時点(一般的には決算日時点)の価値を表しています。
資産の部には大雑把に二つに分けられ、すぐお金に変えられる流動資産と、お金にはなかなか変えられないけど価値のある(と思われる)モノなどを指す固定資産があります。
負債の部も同様に、すぐに払わないといけない流動負債と、時間をかけて払う固定負債に分けられます。
純資産の部には、法人を作る際の元手となった資本金や、利益を積み上げた利益剰余金など、今後の法人の運営に使うお金(もしくは使ったお金)が記載されています。
言葉で書いてもイメージが湧かないと思われるので、図でも挿入すれば良いんでしょうけど、あいにくこのnoteを使いこなせるほどのスキルがないので、数式で書いてみます。
資産=負債+純資産
貸借対照表はどんな場合でもこの数式が成り立ちます。表の右と左がイコールで結ばれる(バランスが取れている)ので、貸借対照表は別名、バランスシートと呼ばれています。
③損益計算書
決算書と呼ばれる書類にはもう一つ、損益計算書があります。これはある期間中(年度はじめから年度末まで)のその法人の売り上げと支出の合計額を上から下に足し引きして行ったもの。
例によって数式で表すと、
売り上げ-売り上げにかかった経費=利益
これを本業にかかるものから、それ以外の収入にかかるものと、大きな括りから小さな括りに順々に計算していって、最終的にその期間にいくら利益が出たのかを示す書類。ここの利益がマイナスの場合が、よく世間で言われている【赤字】というもの。
利益(赤字)の種類(区分け)にも色々あるけど、説明が大変なので(スマホで打つのがめんどくさいので)、ここでは最終利益(赤字)のことを指すものとします。
とまあ、ググればわかるようなことをグダグダ書いてみましたが、そもそも具体例を示さないと、何が何だかよく分からんですよね。
てことで、ある法人を例にして説明します。
④ある会社の貸借対照表
その会社の開示されている貸借対照表は以下の通り。
資産 258 負債 562
流動資産 23 流動負債 177
固定資産 235 固定負債 385
純資産 -304
お金に変えられるモノが258なのに対し、支払わないといけないモノが562あります。そして純資産はマイナスの304
式にすると、資産258=負債562+純資産-304
このマイナス304の部分のおかげ?で、数式が成り立っています。
資産に対して負債の方が大きい。
分かりやすく大雑把にいうと、払わないといけない562に対して払うための資金になりそうなモノが258しかないので、負債(債務)の方が上回って(超過して)いるということです。
⑤債務超過から脱するには
これまで債務超過についてざっくり説明してきましたが、では債務超過から脱するにはどうすれば良いのか。
答えは、先ほど説明した数式
“資産=負債+純資産”
にあります。
数式をイコールで成り立たせればいいんです。
と軽いタッチで言ってみましたが、そんなに簡単なことではありません。
1.資産を増やす
純資産のマイナス304を消し去るほどの資産を増やせばいいんだ!
売り上げを増やして現金を304が消えるほど積み上げれば…。
2.資産を換金して、負債を減らす
不要な資産や、維持費のかかる資産は手放して、304以上のお金を手に入れられれば…。
3.単純に負債を減らす
徳政令でも出れば…。
4.純資産を増やす
304が消えるほど純資産を増やせれば?
さて。では様々なパターンを検証してみます。
売り上げを増やす。
この会社、近年は、コロナ自粛時を除けば大体年間460くらいの売り上げがあります。
しかも理由は触れませんが、10年ほど前は660くらいの売り上げがありました。
かつてのピークの再来と言えるくらいまで売り上げが増えて、経費は昨年並みに抑えれば、利益も増えそうですが、露出の度合いによって収入が変動する一面がある以上、現状では、かつてのようなピーク再来はなかなか難しそうです。
近年の水準の460程度でも利益を計上していたこともありますが、その際の利益は、僅か2。
本業以外の副産品をいくら売っても、本業の経費が劇的に減ることは期待できないため、利益の2が3や4になるくらいで、マイナス304を消し切るには何年もかかりそうです。
次に、資産を換金して負債を減らすやり方ですが、これは、ある意味王道のやり方です。でもそれは、資産価値より高く勝ってもらえれば…の話。
貸借対照表に載せている資産価値が、実際の売買価格とは限りません。
かの阪神タイガースの本拠地、甲子園球場の敷地は大正時代に取得したため、貸借対照表に記載されている簿価(帳簿価格)はたった800万円とも言われています。(所謂含み益)もちろん今売れば(売らないですが)少なくとも億単位の取引になるでしょう。
反対に、一般的な話ですが、バブル期に数億円で手に入れた不動産の価値が暴落した話もよく聞くと思います。(所謂含み損)
この会社が持っている資産の含み益や含み損は分かりませんが、簿価通り全部換金できたとしても258にしかならないので、負債を全部消し切ることはできません。(売却差益への課税は今回は置いときます)
次に徳政令ですが、令和のこの時代、まあないでしょう。法的に似たようなことはできないことはないですが、それは法人の存続と信用面という意味では大変問題が…。
ということで残るは、単純に純資産を増やすことですが、これは一般的に言われている“増資”というものです。
304の純資産マイナスが消えるほどの資本金を積み上げることができれば…。
この場合を数式で示すと、
資産258 =負債562+純資産0
あれ?これだとバランスが取れませんね。
…ではなく。
増資は一般的にお金で入ってくることが多いので、お金として話をしますが、この場合お金も304増えているはずです。
てことで、数式は、
純資産562(258+現金304)=負債562+純資産0
となります。
どうでしょう?
これで純資産のマイナスがなくなりました。
これが所謂、“債務超過の解消”です。
こうすればこの会社のライセンスも…
いや、特定の会社のことじゃないんだった。
というか、問題は…、
一気に払ってくれるような、そんな“ホワイトナイト”が現れてくれるのかどうか。
どこかいらっしゃいませんかね?
会社の経営に興味のあるゲームソフトメーカーとか、英会話教室とか、海外スポーツ用品ブランドの日本法人とか。
了