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シャリモニ

ハイチュウが好きだった。
どのくらい好きだったかと言うと、初めてキッザニアに行ったとき、真っ先にハイチュウ製造工場に向かったくらいには好きだった。その中でも特に「グリーンアップル味」が好きで、小学生のころはスーパーに連れて行かれたらとりあえずグリーンアップルのハイチュウを買ってもらっていた。あの時は気が狂ったかのようにグリーンアップルのハイチュウばかり食べていた。


年月が経ち大学生。ある日突然(今日なのだが)ハイチュウを買おうと思った。これといったきっかけとかはなく、レッドブルのお供を何にしようか悩んでいたらふとハイチュウにしようと思い立ったのだ。久しぶり(多分5年ぶりくらい)にあのグリーンアップルのハイチュウが食べたくなった。


あの頃のハイチュウはもう無かった。2022年に生産終了していたのだ。ということはもちろん知ってはいたのだが、そのニュースを見た当時はもうハイチュウに対する熱はすっかり冷めきっていたので、悲しいなとは思いつつも特にどうということもなく、今日ハイチュウを買うまでは生産終了したことすらも忘れてしまっていた。
代わりに売られるようになったのは「うまイチュウ 青りんご味」で、これはハイチュウのなかにカリカリのキャンディー?(すッパイチュウのあれと同じ)みたいなのが入っていて、カリじゅわ食感が売りのハイチュウへと変貌していた。俺はそれを買って帰った。

うまイチュウは当然美味しかったのだが、5粒目くらいを食べ始めたとき、そのとき初めてもうあのときのグリーンアップルのハイチュウは食べれないことに気づいた。なんでカリじゅわ食感にしてしまったんだ。余計なもん入れるなよ。別にこれも美味しいけど、本当に食べたいのはこれじゃない。というのが心の叫びだった。急にあの時食べたハイチュウが恋しくなった。

そして思い出した。グリーンアップルが生産終了されると知った時のことを。あのとき、グリーンアップルハイチュウがもう二度と食べられなくなることの重大さに気づくべきだった。「無くなるならちょっと買っとこうか」など思いつつも何もしなかった当時の自分に不甲斐なさを感じた。この先もう二度と食べられなくなるって分かってたのに、あのとき、なんでもっと買おうと思わなかったんだろう。どうして思い出そうとしなかったんだろう。などとカスのフリーレンみたいなことを思いつつ、残りのうまイチュウを黙々と食べ続けた。

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