心解(うらとく)
ツイてないなって思う日がある。
でもそれは、移ろいゆく時間の中で、ただ無常に過ぎ去っていく出来事に過ぎない。
何か、自分の心が打ち砕かれるような時、過去を悔やみ、誰かのせいにして自分を納得させていた。
だけど、人間は誰だって弱い生き物だ。生存本能として自己を守るために他者を犠牲にする事なんて当然のことだろう。
それは、僕だってそうだ。
これまでの僕は、人に迷惑をかけてはいけない。権利を主張する前に義務を全うするべきだ。そうやって自分にも他人にも厳しく生きてきた気がする。
だけど、もうそんな戯言はやめにしたい。
ただの出来事に何か理由を探すなんて、なんの意味もないことだ。
命の危険に晒される事のない、平和な国で生きているのに、僕は一体何に怯えているのだろう。
人生の折り返し地点に近づいてきた今、少し心が解けてきた。