回顧録:Sailing to the Sunshine
この土日にAqours 4th LoveLive! ~Sailing to the Sunshine~のオンラインビューイング(無料配信)を観て改めて感じたことのメモ。
東京ドームという大舞台での2Days公演は、Aqoursというグループやラブライブ!というプロジェクトにとって大きな転換点になった(と個人的には感じている)。
その理由は、
・東京ドームは言わずもがなμ'sのファイナルライブが行われた会場であり、Aqoursにとってこの地で単独公演を行うことの意義が大きい
・μ'sが成し得なかった東京ドーム2Days土日公演を実現した(3/31と4/1という「終わり」と「始まり」を連想させる日取りも含めてファイナルライブの演出だったと言えなくもないが、集客面では当然休日2日間のほうが有利になるため)
・シリーズを通して初となる、アニメのストーリーから意図的に逸脱する「パラレル演出」が取り入れられた
からである。
1つ目と2つ目に関しては無論、本人たちの努力の賜物にほかならないが、特筆すべきは3つ目の「パラレル演出」だと思っている。なぜならば、ラブライブ!の強みでもありアイデンティティは「キャラクターとキャストのシンクロ」であったからだ。
キャストがキャラクターと全く同じフォーメーションダンスを披露する精緻さもさることながら、両者がストーリー上でも同一の展開をなぞることにより、アニメの世界観をリアルライブという現実の場で追体験することによる没入感の増幅という、ある種の舞台装置として機能する。
したがって、ラブライブ!アニメ本編において7人で披露された『これからのSomeday』は、リアルライブでも7人でのパフォーマンスとなった(残り2人は衣装のお披露目のみ)。
Aqours 4th LoveLive!では、明確な意図を持ってその「シンクロ」が解除され、キャラクターユニットとしてのAqoursと現実の声優ユニットとしてのAqoursが異なるストーリー展開を見せた。アニメでは梨子以外の8人でのダンスパフォーマンスだった『想いよひとつになれ』が、9人全員が揃ったライブバージョンで披露されたのだ。
これを当時観たときは「それアリなんだ!」と驚愕したのを覚えている。しかし改めて配信を観ると、この演出は今後のパラレル展開の布石となる大きな転換点になっていると感じた。ここでのキャラクターとキャストの相互独立性の獲得が、のちの『スクスタ』や『ラブライブ!フェス』につながっていったのではないだろうか。
アニメ2期と劇場版の狭間の期間での公演であっただけに、前回の3rdライブの焼き直しにならないものか若干の不安があったのだが、その不安はいい意味で裏切られた。
…しかしながら、どうしても諸手を挙げて受け容れることのできなかった要素がある。それは多くの人もたびたび話題にする『No.10』という楽曲についてである。
この曲は、キャラクターとキャストが織りなすストーリー展開の妙によって展開するラブライブ!の世界に、あろうことか「10人目は君だよ」と、「自分自身」の存在を強制挿入してきたのだ。
もちろん、ストーリーへの参加感はラブライブ!シリーズの強みの一つではあるのだが、その主役は当然ながらキャラクターおよびキャストの9人である。自分はあくまでもファンの一員として陰から謙虚にサポートするスタンスを貫きたかったので、「お前もメンバーになるんだよ!」と言わんばかりのド直球タイトルと歌詞には正直なところ辟易してしまった(そういう意味では、ストーリーの中に実際にサポート役のキャラクターを登場させて自己投影させる手法を取る『スクスタ』はかなり理にかなっていると言える)。
テーマソングである『Thank you, FRIENDS!!』がDay2のMCも相まってキャスト→キャラクターへの感謝の表明という重要なコンテクストを付与され、先述した相互独立性の観点からも非常に綺麗にまとまったライブだっただけに、嫌でも意識させられた「自分自身(オタク)」という存在が邪魔で仕方なかった。オタクは主役になっちゃダメなんだよ。
と、不平を漏らしたものの、実際のところファンへの感謝の言葉をこんなにも真っ直ぐぶつけてくれるのはとてもありがたいことだと思うし、無下にすることはできないとも思う。
いつもありがとう。むしろこっちが「感謝しかないけれど伝えきれないんだ」。ただしフォームフィンガー、テメーはダメだ。
もう少し簡潔にまとまると思ってたけど結局長くなってしまった。
そろそろライブに行きたい(切実)