人生の達人が辿り着いた境地


仕事先に一人こんな人がいた...

週に3日、9時から15時まで働きに出て、毎週末に山中湖まで道志みち(413号線)をバイクでツーリングしているという
72歳のおじいさん

60歳を過ぎた頃、北海道の田んぼ道をハーレーで走っていたら転んでしまい、軽傷で済んだもののバイクを起こせなかった。
通りかかった地元の人にバイクを一緒に起こして助けてもらって以来、三輪のバイクに乗っているという
72歳のおじいさん

年に数回あるレッドバロンのツーリングに参加して、帰りは一人はぐれて色々見て回りながら帰る。
行き当たりばったりで、観光地を巡ったり温泉に入ったり旅館を取ったり野宿したりして家に帰るという
72歳のおじいさん

こんなにも人生を楽しんでいるおじいさん
生きることに全く退屈していないおじいさん
なぜこんなにも明るくマイペースで朗らかな佇まいができるんだろうと思っていた。

その秘訣が今日わかった気がした。

先月、バイクで四国まで行ったという話を
聞かせてもらった後...
おじいさんにふと聞いてみた。

ーバイクに乗る時は音楽聴いたりされるんですか?

うん、高中正義って人のアルバムをよく聴くかな

ーそうなんですね、聴いたことないです。

俺と同い年くらいのじいさんなんだけど、ジャンルに分けられないような曲が沢山あって飽きないんだよ。一曲の中でも転調したり曲調が変わったり色んな楽器を取り入れたりしてて、アルバムを何度リピートしてもいいんだよなあ。

ーそれはいいですね!多彩なんですね。

いつもリズムに合わせて体揺らしながら運転してるから、後ろから見てる人は頭おかしいって思うだろうな。ウワッハッハッハッ


もう唸った。
この人は自分を飽きさせない方法をよく心得ているんだと思った。

転調したり曲調を変えて、絶えず新しい刺激を自分に与えてあげる。
毎週末の山中湖へのツーリングひとつとっても、家庭とも仕事とも違う非日常を味わいつつ、季節によって咲く花々や色づく紅葉を堪能して、さらには観光客の多ささえも面白がっていた。

周りから「頭がおかしい」と思われようが、踊り出したい時にはこらえずに踊り出す。
楽しい気持ちにブレーキはかけない。

大好きなハーレーダビットソンが体力的に乗れなくなって残念であることは間違いないが、悲観しなくてもいい。
別の楽しむ方法はいくらでもある。

自分がこれまで選択してきた結果が
今であることを受け入れ、
時間の流れには逆らえないことを認め、
思い通りにならないことを許し、
好きなことを愛する。

そして最後に笑えればいい。

人生の達人が辿り着いたその境地を
垣間見せてもらえた気がした。

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