気まぐれ日記2021.8.9
【コンテンポラリーダンス】
オリンピックの開会式を観た人はどれくらいいただろうか。
私は開会式をほぼ毎回観ている。もちろん閉会式もだ。
今回開会式の日は外出していたので録画を録り、ライブと両方で観た。
開会式の内容に賛否両論あるようだが、自分自身で感じたことがすべてだ。
『良い』『悪い』どちらも押し付ける気はない。
開会式の中で少しだけ雰囲気の違った森山未來さんのコンテンポラリーダンス。
海外にダンス留学していたのは知っていたので、この時は『オリンピックという大舞台で演技ができるなんてすごいなー』『渋いダンスを海外の人達はどう感じるだろう』と考えていた。もちろん、この踊りがコンテンポラリーダンスということも知らなかった。
日本国歌斉唱のあと、感染症やオリンピック期間中に亡くなった方々を共に偲ぶというアナウンス。
それから森山さんの静かで力強いダンス。
そして黙祷へと続いた。
この時はあまり気にしていなかったが、数日後YouTubeのおすすめに開会式の話題が出てきて何となくクリックしたことで、このダンスと黙祷の奥深さを知ることとなった。
録画を見直したら、確かに「大会期間中に亡くなったすべての方々の象徴として、イスラエルの犠牲になったメンバー達を忘れません」というアナウンスがあった。
この動画は特におすすめするものではないが、過去の出来事について知るきっかけになったので載せておくことにする。
カイチューブ様↓
*カイ・コーヘンさんはバスケの元イスラエル代表で日本とイスラエルのハーフタレント
この動画を観た後に1972年の事件について少し調べてみた。
オリンピック選手を含む人質、犯人、警察官の計17名が死亡するというとても悲しい事件だった。
この後、報復などもあったが敢えてここでは触れないでおく。
ずっと開会式を観てきたのにこの事件を知らなかったのは、この事件に対して追悼を行ったのは今大会が初めてだったからだと思う。
裏で何が起きているのか政治的な意図なども想像はできるが、亡くなった方へ追悼の意を示すことはとても大切な事だと思う。
今回黙祷が捧げられたことにより、少しでも安らげた人がいたことは良かったと思う。
他に1824台のドローンも話題になったし圧巻だったが、私的にはその後の映像でジョン・レノンさんの「イマジン」を世界5大陸の代表者が歌ったシーンが印象に残った。いままでもイマジンはオリンピックで歌われてきた。
今回も大きなメッセージとなったことだろう。
1971年に発表された楽曲『イマジン』は、ジョン・レノンとオノ・ヨーコ夫妻が想像した「国境やナショナリズム、戦争、宗教、所有権が無く、生命とそのすべての豊かさが平和と調和の中で共有される」未来をテーマにした作品だ。
そしてオリンピックはスポーツを通した人間育成と世界平和を究極の目的としている。
ただのお祭りではないのだ。
開会式について詳しく載せてくれている方がいたので紹介させていただく。他の記事も面白かったので、ぜひ覗いてもらいたい。
「どさんこママいんふぉ」様↓
そして閉会式でも、リオデジャネイロ大会に続き鎮魂の時間が設けられた。これは様々な理由で亡くなった人を追悼するもので、事件や事故はもちろん、今回の感染症や原爆で亡くなられた方なども含めたすべての方々に対して行われた。
和太鼓の演奏に引き続き、アオイヤマダさんが樹木をモチーフにした衣装で灯籠のともしびの中、鎮魂の舞を披露。その後、会場のスクリーンでは日本各地の伝統的な踊りが紹介された。
北海道のアイヌ古式舞踊から始まり、沖縄のエイサー、秋田の西馬音内盆踊り、岐阜の郡上おどりと続き、最後はフィールド上での東京音頭で締めくくられた。
会場が一体となった瞬間だった。
(私はそう感じた)
阿波おどりや炭坑節なども含む日本各地の盆踊りや花火は、昔から死者を弔うため、偲ぶため、そして鎮魂のために行われてきた日本の伝統行事だ。
バッハ会長の閉会挨拶のあと、会場が暗転。
ステージ上に大竹しのぶさんと子供たちが現れ、子供たちに歌を教えるというシーン。
『次世代への継承』を感じさせるシーンだ。
大竹しのぶさんが歌ったのは、岩手県出身の宮沢賢治さんが作詞作曲した「星めぐりの歌」。
よく子守唄などで歌われるらしいが、ちゃんと聴いたのは初めてかもしれない。
参考映像:坂本美雨様公式サイトより
星めぐりの歌
作詞・作曲 宮沢賢治
あかいめだまの さそり
ひろげた鷲の つばさ
あをいめだまの 小いぬ
ひかりのへびの とぐろ
オリオンは高く うたひ
つゆとしもとを おとす
アンドロメダの くもは
さかなのくちの かたち
大ぐまのあしを きたに
五つのばした ところ
小熊のひたいの うへは
そらのめぐりの めあて
『星めぐりの歌』は『双子の星』と『銀河鉄道の夜』に出てくる。双子の星は、チュンセ童子とポウセ童子という双子のお星さまの物語。
この歌について詳しく考察した素敵なサイトがあったので紹介させていただきたい。
「てるのろじっく」様↓
最後にドビュッシーの「月の光」に合わせてのパフォーマンスで聖火が消えていき無事締めくくりとなった。
この「月の光は」フランスの詩人ヴェルレーヌの詩集「雅 (みやび)なうたげ」に収められたもので、この詩には、楽しい事、悲しい事という相反するものがこん然一体となった、あいまいな世界が描かれているそうだ。
参考映像:辻井伸行さん 2017.11.13 début 10周年記念特別コンサートより
多くの困難と葛藤しながら最後まで戦い抜いたオリンピアン、同じく最後まで支え続けたスタッフ、ボランティアに向けての『感謝』の気持ちが随所に伝わる開会式、閉会式だった。
競技についても感動のシーンがたくさんありすぎて、ここでは語りつくせないので胸に留めておくことにする。本大会の総集編など機会があったらぜひ観てもらいたい。
「すべての人が感動し納得する大会」というのはなかなか難しいと思う。
開催までいろいろ揉めたこともあったし、私もすべてを見てきたわけではない。
それでも一生懸命競技する選手に何度も涙したのは間違いないし、様々なシーンで心を動かされた。
8月24日(火)からパラリンピックも始まる。
開催する限り私は最後まで応援しようと思う。