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【J2第22節 vs鹿児島 レビュー】世紀の完全勝利

大宮 6-0(3-0/3-0) 鹿児島 得点者:フアンマ×3、吉永、奥抜、茨田

完全勝利といえばUCですね。何言ってるかわからないよ~という方はniconicoがYouTubeで調べてみてください。

両チームのスカッド

〈大宮〉
・スタメンの変更は3点。GKに加藤、CHに大山、STに茨田
・天皇杯で大活躍の加藤有輝がJリーグデビュー
・前節負傷交代の三門はベンチ外。7月16日に公式リリースが出たが、どうやら約2ヵ月の長期離脱らしい。なんてこった。
・63分奥抜⇋バブンスキー、74分菊地⇋高山、畑尾⇋小島
・小島投入以降は石川が右HVに

〈鹿児島〉
・第21節終了時点で、21位との勝ち点差は3。絶賛残留争い中。
・前節からの変更は2点。CBに堤、CHに中原
・45分八反田⇋米澤、58分赤尾⇋野嶽、74分酒本⇋西岡

鹿児島の狙い―守備編―

なんかめっちゃ崩壊してましたね。なので正直な話、僕には狙いがよく分かりませんでした。

この後触れますが、鹿児島は攻撃時に2-4-3-1のようなハイリスクな形をとっていました。(しかも最終ライン設定も高い)
それ故に、ネガトラ時にはセンターライン(CB&CH)の選手達が少しでも長く時間を稼いでSBとSHを帰陣させることが絶対条件です。それが出来ないと無限にCB裏やSB裏を使われて試合終了になってしまいますからね。

しかしこんな事を他サポが言うのもアレですが、ネガトラはほぼ全く出来ていなかったと言っていいでしょう。2~5点目は全て大宮が上手く裏をとって決めた形です。

鹿児島の狙い―攻撃編―

鹿児島の志向するサッカーは、ロングボール主体に試合を進める事を是とせずに、後ろから丁寧にビルドアップをしていく攻撃的なポゼッションサッカーです。
ですので、GKは躊躇せずにビルドアップに参加し、SBは驚くべきほどに高い位置をとっていました。(下図参照)

鹿児島のビルドアップはGK&CB&CHのどちらかが参加して行っていました。
図を見てもらえれば分かるかと思いますが、明らかに大宮のマークに対してパスコースと人が不足していますよね。

GKもビルドアップに参加して、フィールドプレーヤーの酒本(トップ下=OH)を余らせようと試みたのは素晴らしい事だと思いますが、その前の段階で大宮のプレスに引っかかってしまう事が多くありました。
それも、酒本を余らせることが出来た回数は多くなく、大宮の守備が最もオーガナイズされていた1点目のシーンから前半終了までは殆どバイタルエリアに通すこともままなりませんでした。

大宮のプレス緊急回避法として、時折前線にロングボールを蹴り込む事もありましたが、鹿児島の前線には競り合いに強い選手は、182cm/78kgのハンヨンテくらいなものなので、こうなると大宮にかなりの分がありました。

後半は、大宮が前半で3点とったこともあって大宮のプレス強度が弱まっていました。(特に後半開始~バブンスキー投入くらい迄の時間帯)
ですので、バイタルエリアに侵入することが前半より増えてはいましたが、バイタルエリアに侵入した後のビジョンが無いのか、後半からOHの位置に入った米澤の個人技頼りでフィニッシュに持っていく事が殆どでした。

大宮の狙い―守備編―

まず下図をご覧下さい。(「鹿児島の狙い―攻撃編―」で使用したものと同じですが)

図のように、大宮は2-4-3-1とでも言うべき形をとってきた鹿児島に対して、基本的にマンマークの形をとりながらハイプレスをかけていきました。
ここで大事なのはあくまでも基本的にマンマークであるということです。なぜなら、キッチリとバカ正直にマンマークをすると先程も述べた通りOHの酒本のマークが浮いてしまうからです。

今節の守備に関して言うと茨田のポジション取りが絶妙でした。
状況によってCBのチェックにもCHのチェックにも行けるような位置取りをしていたので、鹿児島の最終ラインの選手達はSBの選手に出したり、無理矢理前線にロングボールを蹴り込むしかありませんでした。

こうして上手くプレスをはめることに成功した大宮は試合を通して主導権を握る事が出来ました。

大宮の狙い―攻撃編―

大宮の攻撃は全体を通して「ハイプレスからのカウンター」を狙いとしていました。(後半は前半ほどのプレス強度ではありませんでしたが。)

この章では、ハイプレスからのカウンターの代表例として2点目のシーンをピックアップして大宮の攻撃の形を紐解いていきたいと思います。

まずはハイプレスのシーンからです。下図をご覧ください。

まず、主に1stプレスをかけるフアンマ&奥抜がパスコース限定しつつCBとGKにプレスをかけていきます。
そうすると鹿児島としてはパスコースが無くなってしまうので、CH(この場合では八反田)の1人が下りてきます。
そのCHには大宮のCH(この場合では石川)がマンマーク気味に喰らいついていきます。この時石川が出て行った後ろに大きなスペースが空いてしまうので、大山と茨田がカバーに入ります。
そうして段々と鹿児島のビルドアップの首を絞めていき、最終的にはWBまたはHVのところで奪い切ります。

次にカウンターのシーンです。下図をご覧ください。

ボールを奪った時に右SHの五嶺が寄せてきたので、河面は簡単に吉永にパスを出します。
吉永に対しては右SBの赤尾が寄せてきましたが、吉永はボールを取られないようにドリブルをしながら畑尾へパス。
畑尾がボールを持った時、鹿児島の選手たちと大宮の最終ライン(河面・菊地・畑尾・奥井)との距離が結構あったので、芋づる式に鹿児島のプレスを剥がしていきます。
そんな感じで鹿児島のプレスを剥がしつつ、奥井は鹿児島の左SB裏の広大なスペースに走り込む茨田へスルーパスを出します。

スルーパスを受け取った茨田は、鹿児島ディフェンスを引き付けつつタメを作り、走り込んできた奥井にテクニカルなパス。
パスを受け取った奥井はPA内に侵入。左SBの砂森と1vs1の構図になります。奥井にはこの時、図の下の方に書いてある通りニア・ファー・バイタルにそれぞれ1つずつ選択肢がありました。
奥井は抜ききらずに大外から走り込んでくる左WBの吉永へクロス。
吉永は見事にヘディングで合わせプロ初ゴールを決めました。

大外から走り込んできたWBがフィニッシュをするという形はシーズンを通して大宮がやってきていることです。(例:第2節・琉球戦の3点目のシーン)

2点目はその形から生まれた、再現性の高い素晴らしいゴールだったと思います。

最後に

心臓に優しい試合でしたね。相手のディフェンスの整備が全然されていなかったというのもありますが、確変引いたように点を決める大宮は久しぶりに見ました。

さて、次節は早くも後半戦で最大級に重要な京都戦です。前半戦は大宮の狙いがキレイにハマり快勝することが出来ましたが、同じ事がそっくりそのまま通用するような簡単な相手ではありません。
それでも優勝するためには落とすことの出来ない試合です。絶対に勝ちましょう!

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ちくきさん・Zdenkoさん・Mxicorangeさんのアルディージャのレビュワー3名で、「京都vs大宮・リアルタイム解説」をするようです。僕は放送に関わっていませんが、是非興味のある方はご視聴よろしくお願いいたします。

その生放送に向けた第23節京都戦プレビュー(byちくきさん)はこちらから↓

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コルク
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