見出し画像

誰でもプロと同じ環境でレースができる。注目を浴び始めたe-Motorsportsとは?1

はじめに

実際のレースがコロナウィルスの影響で軒並み延期/中止になり、
代替え手段としてe-Motorsportsが盛んに開催されており、F1の現役レーサーをはじめ、様々なプロレーサーが参加している。対として元々このe-Motorsportsに参加していたゲーマー(敢えてこの言い方)も、プロのレーサーに引けを取らない速さを見せており、数々の名勝負が繰り広げられている。


しかし、一重にe-Motorsportsと言っても様々なプラットフォームで様々なレースが開催されている。そしてそれら1つ1つに対しての説明があるわけでもなく、わかりづらい。ということでこれからこのe-Motorsportsについて様々な角度からわかりやすく切り取っていこうと思う。今回はその初回として、どんなプラットフォームで、どんなソフトが使われているか、の話。まず初回となる今回は、そもそもe-Motorsportasとは?という話から。

e-Motorsportsとは

一言で言えば”ゲームのオンライン上で開催されるモータースポーツ”のこと。この概念を理解する前にeSportsについて紐解いていく必要がある。
eSportsを理解するためには以下の映像がわかりやすい。

e-MotorsportsはこのeSportsという大きなくくりの中にある1つのジャンルになる。元々レースゲームはeSportsの中でもマイナーなジャンルとして捕らえられていた節が強く、実際に競技人口もそこまで多くはない。多くないが故に正確な競技人口も調べた限りでは出てこなかった。そしてこのe-Motorsportsという言葉の語源は、おそらくトヨタが2019年からGT SPORT上で開催しているGR Supra GT Cupからだと思われる。(参照

プロレーサーの参入が注目度を上げた

ではなぜ今このe-Motorsportsが注目を浴びているのか?それは冒頭でも記したが、コロナウィルスの影響で、現実世界のレースが軒並み中止となり、代替えの手段としてe-Motorsportsfが選ばれ、プロレーサーたちがこぞってe-Motorsportsの世界に入ってきたことだろう。そのシリーズ、プレーヤーについてはまた個別で詳しく説明をするが、元々一部のレーサーたちはオフの時間のトレーニングにe-Motorsportsで利用されるソフトを利用してきた背景がある。実際のレースがなくなった今、そのトレーニング手段としてのシミュレーターソフトたちがレースを開催するプラットフォームに期せずして変わったこと。そしてそれらのソフトは我々一般人でも容易に入手できることも注目される大きな理由だろう。これも詳しくは後述するが、動作させるためのパソコン(ゲーム機)、ソフトを動かすためのコントローラー(ハンコン)さえ揃えることができれば、プロレーサーたちと同じ環境でレースをすることができる。これまではサーキットのフェンスを隔てて、あるいは画面の向こう側でしか見ることがなかったレーサーたちが、オンラインの環境の中で自分たちと同じ場所にやってきたということだ。実際のレースは途轍もなくお金も時間もかかる。しかしそのハードルがe-Motorsportsによって一気に取り払われた。これは、非常に画期的な出来事と言えるだろう。

ゲーマーからプロレーサーというキャリアステップ

注目を浴びているのは最近だとしても、このモータースポーツとゲームの関わりにはそれなりの歴史がある。古くは2008年から2015年まで、日産自動車が家庭用ゲームであるGRAN TURSIMO(グランツーリスモ)を使ってGT ACADEMYというゲーマーからプロのレーサーに引き上げるプログラムを実施していた(2015年で終了)。 実際にプロレーサーも排出し、日本においては現在SUPER GTで活躍しているヤン・マーデンボローが最も有名だろう。彼は今でも日産系列のチームで走っている。

このGRAN TURISMOというゲームでは、つい最近ではイゴール・フラガというブラジル人ドライバーがレッドブルの育成ドライバーとして抜擢された。フラガは自身のYouTubeチャンネルを持っており、今でもGT SPORTを時折プレーし、配信を見ることができる。

この様に、プレー人口からすれば極々限られた確率ではあるが、ゲームから実際のレースの現場に巣立って行った事例はこれ以外にもいくつか存在する。その意味で、モータースポーツとゲームは親和性が高いと言えるだろう。

メインは拡張性の高さからパソコン筐体

ゲームといえば一般的にはPS4やXBOX,Switchの様な家庭用ゲーム機、もしくは今ではそれらのゲーム機を凌駕するシェアを持つスマホゲームを想起するのが一般的だろう。しかし、e-Motorsports並びにeSportsの世界ではこれらのゲーム機材は使用されず、パソコンの筐体(ゲーミングPC)が利用されるのが一般的だ。日本においてもeSportsの文化の普及とともにゲーミングPCは段階的に普及し始めたが、それでもまだまだ普及率は低いだろう。しかし、家庭用ゲーム機にはない拡張性の高さから、e-Motorsportsの世界ではパソコンを使用したソフトが主に使用されている。裏を返せば、この拡張性の高さが様々なレースシリーズを生み出している側面とも言える。詳しくは後述するが、家庭用ゲーム機にもレースシリーズは存在する。先ほど簡単に触れたGRAN TURISMOはPS4でしか販売されていないが、FIA(国際自動車連盟)公式のシリーズを唯一展開し、参加ユーザー、協力メーカーの数も非常に多い。これはその他のパソコンのソフトでは見られない独自の優位性とも言える。しかし、この優位性がそのまま今開催されている様々なシリーズで使用されるソフトに直結するか、と言われるとそういうわけでもない。

ということで第一回はここまで。

第二回では開催されているシリーズと、使用されているソフトを紹介予定。




いいなと思ったら応援しよう!