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「ひる」 ロバート・シェクリイ -読後メモ#007-


なぜオドネル将軍が自分をそばにおくことにしたのかの理由が、いまようやくのみこめた。将軍の決定をくつがえすだけの権限のない、たんなる科学のお飾りという立場なのだ。

ひる

絶対的に強力な力と、それを妄信する人のおはなし。

武器、武装。
科学の発達の中で生まれた強力な力。

電気も蒸気も無い時代、武力的な制圧する「力」を得るには、自己の体の鍛錬がつきものだった。

でも今は。

武装は容易にできるし、兵器を使うことに自己の鍛錬はない。

生み出す力が途方もなさ過ぎて実感がない。

つかうのは簡単で、効果もすごい。

これを使った人は、知らず知らずのうちに「力」をふるうことの怖さを忘れていくのかなと想像。
あまりにも労力なくつかえるために。
簡単すぎるがゆえに自信をもってしまう。

そして、過信した力で、取り返しのつかないことをしてしまう。


日常生活でも、たまたま手に入れた優位性を、自分の本来の力と錯覚して、行き過ぎた使い方をすることはありえる。

その時、取り返しのつかない間違いをしないように、自制心は保っていたい。


小説 「ひる」

ロバート・シェクリイ(Robert Sheckley) 著 
The Leech (1952)
浅倉久志 訳

BOOK

『20世紀SF② 1950年代 初めの終わり』

目次
 初めの終わり/レイ・ブラッドベリ
 ひる/ロバート・シェクリイ
 父さんもどき/フィリップ・K・ディック
 終わりの日/リチャード・マシスン
 なんでも箱/ゼナ・ヘンダースン
 隣人/クリフォード・D・シマック
 幻影の街/フレデリック・ポール
 真夜中の祭壇/C・M・コーンブルース
 証言/エリック・フランク・ラッセル
 消失トリック/アルフレッド・ベスター
 芸術作品/ジェイムズ・ブリッシュ
 燃える脳/コードウェイナー・スミス
 たとえ世界を失っても/シオドア・スタージョン
 サム・ホール/ポール・アンダースン

 解説━━SFブームとその終焉 / 中村融

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