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「父さんもどき」 フィリップ・K・ディック -読後メモ#008-


テッドがびくっとした。奇妙な表情がちらっとその顔をよぎる。その表情はすぐに消えてしまったが、そのわずかな一瞬、テッド・ウォルトンの顔はやがて見慣れないものに変貌した。なにか異質で冷たいものが、ちらりと顔をのぞかせた。ねじくれた、のたうつかたまり。瞳が濁り、奥のほうへと後退して、その表面に謎めいた光沢が膜のように広がった。疲れた中年の父親のあたりまえの外見が消え去った。

父さんもどき

父親が二人いた。その姿は同じ。母親に報告に行くと、一人の父親がやってきた。でも、なにか違う。

不可解な状況ながら、自分の見たものを信じて行動し、悲しみを抱きながらやるべきことをやる。

謎の生物に立ち向かう少年の物語。


「ヒーロー」の心と行動について考えた。

少年の行動は適切であり、おそらく最善。

友人の協力の仕方も100点。

このシナリオは、悲しみを抱きながらもやるべきことをやる、直線的なヒーローの描き方で進んでいると感じた。

少年の動きはまさに王道のヒーローのよう。

心の動きと現実の動きはリンクしない。

小説 「父さんもどき」

フィリップ・K・ディック(Philip K. Dick) 著 
The Father-Thing (1954)
大森望 訳

BOOK

『20世紀SF② 1950年代 初めの終わり』

目次
 初めの終わり/レイ・ブラッドベリ
 ひる/ロバート・シェクリイ
 父さんもどき/フィリップ・K・ディック
 終わりの日/リチャード・マシスン
 なんでも箱/ゼナ・ヘンダースン
 隣人/クリフォード・D・シマック
 幻影の街/フレデリック・ポール
 真夜中の祭壇/C・M・コーンブルース
 証言/エリック・フランク・ラッセル
 消失トリック/アルフレッド・ベスター
 芸術作品/ジェイムズ・ブリッシュ
 燃える脳/コードウェイナー・スミス
 たとえ世界を失っても/シオドア・スタージョン
 サム・ホール/ポール・アンダースン

 解説━━SFブームとその終焉 / 中村融

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