「竜のグリオールに絵を描いた男」 ルーシャス・シェパード -読後メモ#004-
生涯を通して一つの事業に携わった男の人生のお話。
自分の人生は1つだけど、小説を通して感じるものがある。
登場人物の人生は、彩り豊か。
鮮やかな色、影がかかっているダークな色。
彩の変化が小説の中では描かれ、読み手はそのコントラストに感情の波を乗せる。
タイトルの「竜のグリオールに絵を描いた男」から想像するのは、楽しくファンタジーな世界、こどもがワクワクして、竜について、絵についての想像を膨らませる。
それこそ、「絵」にはさまざまな彩があり、配色も、トーンも自由に決めて、世界を思うように構築出来る。豊かなタイトル。
でも、読後にわたしが感じたのは、人生の単純さ。
がむしゃらに生きても、振り返ってみたときに残るもの、これは言葉にすると単純になってしまう。
あんなに大変だった、うれしかったことも、淡白な言葉におきかわってしまう。
そんな、憂いにも似た感情になる。
この言葉が胸に沁みました。
小説 「竜のグリオールに絵を描いた男」
ルーシャス・シェパード(Lucius Shepard) 著
The Man Who Painted the Dragon Griaule (1984)
内田昌之 訳
BOOK
『80年代SF傑作選 上』
目次
ニュー・ローズ・ホテル / ウィリアム・ギブスン
スキンツイスター / ポール・ディ=フィリポ
石の卵 / キム・スタンリー・ロビンスン
わが愛しき娘たちよ / コニー・ウィリス
ブラインド・シェミイ / ジャック・ダン
北斎の富岳二十四景 / ロジャー・ゼラズニイ
みっともないニワトリ / ハワード・ウォルドロップ
竜のグリオールに絵を描いた男 / ルーシャス・シェパード
マース・ホテルから生中継で / アレン・M・スティール
シュレーディンガーの子猫 / ジョージ・アレック・エフィンジャー
エッセイ 回想のサイバーパンク / エレン・ダトロウ
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