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「世界の広さ」 イアン・ワトスン -読後メモ#002-

 世界中、人があふれている━━人には集合的無意識、夢にあらわれる意識というものがある。
 ミツバチは巣箱が混みすぎてくると本能的に巣別れの時期を知り、半数がほかの巣箱を求めて飛び立つ。でも、ぼくらにはたったひとつの巣箱、たったひとつの世界しかない。だから、巣別れの時期がきても飛び立っていくべきほかの空間がない……。

世界の広さ

増えすぎた人口。飽和したらどこに行く?

人の量に対してこの地球は狭すぎる。
ミツバチの巣別れのように、人の群も別世界へ旅立つことができたなら。

地球が平面から球になり、新大陸の発見によって人の巣別れはおこなわれてきた。

選ばれた土地に移民として海を渡り、新しい住みかとする。

繰り返し行われてきたこの大移動もそろそろ限界。

次はどこ?

火星は候補のひとつだけど、難航。
コロニーも、コスト度外視ならできる?鋼材がない?

あとは、海上、海底、地下世界。

海上、海底については、大手ゼネコンがいろいろプラン発表していて面白い。
深海未来都市。海上アイランド。

地下世界はよくわからないが、以前に、地上に一層フロアを追加して、地表を覆うようなものも見た気がする。
地下に住居や商業があり、地表フロアは緑が生い茂る。

札幌の地下街や、名古屋、仙台、大阪、もちろん東京も。
地下街だけでいったら大きい都市はもう整わせている。

天空というパターンも3,40年前にブームになったメガストラクチャがある。
「東京バベルタワー」、東京、山手線の全域を使って、高さはジャンボジェットと同じ高度の10,000メートル。
国家予算30年分超のとんでも建築。

意外となんとかなるのかも、場所だけなら。

世界が膨張しなくても、収まるところに収まりそう。
距離は遠くなっても、横ではなく上か下。

過剰な人口、間引き、巣別れ。
いまはまだ空想の世界建築と宙の生活。

妄想が止まりません。


スペースコロニーに関しては、アメリカの物理学者ジェラード・K・オニール(1927-1992)が提唱しているスタンフォード・トーラスやオニール・シリンダーがあるそうで、ドーナツ状の円環を回転させて人口重力を作り出すというのがあるそうです。

Wikipedia:スタンフォード・トーラスより


Wikipedia:スタンフォード・トーラスより


小説 「世界の広さ」

イアン・ワトスン(Ian Watson) 著 
The width of the World (1983)
小野田和子 訳

BOOK

『20世紀SF⑤ 1980年代 冬のマーケット』

目次
 冬のマーケット / ウィリアム・ギブスン
 美と崇高 / ブルース・スターリング
 宇宙の恍惚 / ルーディ・ラッカー
 肥育園 / オースン・スコット・カード
 姉妹たち / グレッグ・ベア
 ほうれん草の最期 / スタン・ドライヤー
 系統発生 / ポール・ディ・フィリポ
 やさしき誘惑 / マーク・スティーグラー
 リアルト・ホテルで / コニー・ウィリス
 調停者 / ガードナー・ドゾワ
 世界の広さ / イアン・ワトスン
 征たれざる国 / ジェフ・ライマン

 解説━━レーガン・サッチャー時代のSF  中村融

Book Link


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