たかがレーズンされどレーズン
初めに言っておくと私は父が苦手である。
31歳にもなって思春期なのかと思うけれど、とにかく父と面と向かって話すことが苦手だし少なからずストレスを感じてしまうみたい。
父は仕事が大事なので、「育児」をしてもらったことがないと思う。多分。遊んでもらった記憶も旅行に連れて行ってもらった記憶もない。しいて言えば、蟹の身を取ってくれたことがある。これが「父親」として、金銭以外でやってもらったことかなあと思う。「金銭以外」と書いたのは、仕事をとにかく一生懸命やっておられるので、学費や何か買ってもらうことに我慢をさせられたことはないからである。
そんな父はとにかく子供に興味がない。自分の子供の誕生日や年齢も覚えていないぐらいなので、もちろん私の息子であり父にとっての孫にも興味がない。ここだけの話、父は孫の名前を憶えていない。
なので、そんな父とテレビ電話をすることなどまるでないのだけれど、ひょんなことから父とテレビ電話をすることになった。
息子に大人しくいてもらうため、彼の好物であるレーズンを食後に食べさせながらテレビ電話をしていたのだけれど、お椀に入れたレーズンを手で食べる息子の姿を見た父、
「なんだ。まだ手で食べているのか。」
と。お椀に入っていたから何を食べていたか見えなかったのも原因だと思うけれど、「なんだ」?とな?
すぐに「レーズンだからだよ。フォークやスプーンも使えるけど、レーズンは手で食べるでしょ。」と言うももう聞いてない。というか興味がなかったようで返答はなく、、、
なんだろうなー
父はもちろん悪気はないし、こんな小さなことを気にする自分がどうかしているのも分かっているのだけど。
子供の頃からこのレーズンの話のような、小さな違和感が塵のように積もって、私の中で父との確執を生んでいるんだろうなとも思う。
父親と仲良しな娘とは、一体どんな父親と娘なんだろうか。
幼少期からずっとこの疑問を抱えている。
そしてこの疑問は解決されることはないと思っている。