ヨーコの息子は野球部①離島からの広島遠征、如何に資金を得るか?母ちゃんたちの知恵と根性のはなし
母はソーメンを売る、という話。
母たちはソーメンを売る。
父たちもソーメンを売る。
母と子は、あるいは父と子は、ソーメンを売る。
息子たちの野球チームが、沖縄県代表チームとして推薦を受け、広島で行われる「小早川隆景杯少年野球大会」派遣されることに決まったわけだが。
3月から沖縄本島での県大会、
石垣島での先島交流親善大会と立て続けの遠征で、
次は広島だなんて、一体いくらかかるんだ?と、
お金のことを思うと頭を抱えてしまう、
というのが我が家の本音であり、
部の父母会のなんちゃって副会長の本音であった。
大会日程はゴールデンウィーク真っ只中、
飛行機は目が飛び出るほど高く、
しかも6泊7日という長丁場のため宿代も馬鹿になんない。
そのほか、昼食代やら、車代やら、
また指導者3名の旅費をみんなで分担すると
費用は一人当たり20万以上はかかってしまう。
県外の遠征場合は、教育委員会から航空運賃が7割の補助があるけど、それでも16万はかかるという状況。
となると、「うちはちょっと…」と、辞退する者も出てくるわけで。
小4生を繰り上げて加入してもらって、やっとで13名の部としては、一人の欠員は非常に痛いが、そう言いたくなる気持ちもわかる。
これまでも瓶や缶を集めて売ったりして部費の造成を図ってきたけど、今回は日がないし、何より桁が違いすぎる。
が、島の母ちゃんたちはすごいな。
「なんで?ソーメン売るさ~」
と言う。
ソーメンを売る、とはいったいどういうことなのか?
つまりは、寄付金を集める。
ということではあるのだが、
ただ単にお金だけを集めるのではなく、
物品販売=ソーメンを仕入れ売り、
販売価格から仕入れ値を引いた金額は、
寄付金として大会の遠征費に充てられる、
という仕組みである。
そんなわけで、部費で素麺をどど~んと購入、
母は素麺にのし紙を巻いて、常に持ち歩き、会う人、会う人に、
「息子の野球部がねえ、優勝してからさ、
今度広島に行くさあねえ。
それでさあ、素麺売っているわけ」
と、訳を話しそうめんを売り続ける日々。
またある時は、息子と二人で、来間島中の家を一軒一軒訪ね歩く。
息子は、非常にもじもじしながら、
「あの、広島に行くので素麺を買ってください」と言うので、
「もっとちゃんと説明せなかん!」と母に激を飛ばされるうちに、息子もだんだんとうまくしゃべりだし、最後は自分一人で回る。
これって、さ。
いわゆる、今で言う、クラウドファンディングってやつじゃないっすか?
曲がりなりにも自分なりに伝え(プレゼンして)、
賛同してもらって、
つまりは息子に、息子たちに、自分に、出資してくれと、
資金を集める。
素麺を売って資金をつくる、という方法が、
全国的に行われているような、
世間一般的なことなのか分からないけど、
島内では割とポピュラーに行われていることらしく、
県外の大会に行くときには、タオルであったり、酒であったり、物品販売をして資金を集めをするらしい。
インターネットも使わずして、ひたすら人に会って、会って、会って、話して、話して、ソーメンを売り、資金を集めるという手法が島にはあるって、すごいなあ、って思うさ。
もちろん、仕方なく買う、頼まれたら嫌と言えなくて、って人もいるだろうし、
「はあ?一束100円か?どんなにタカダイ高級素麺かよ?」
とあきれ顔の人もいたし、
だけど大概の人は喜んで買ってくれた。
これもまた島の良いところだなあ、って思う。
そんな風にして、母が売り歩き、父も売り歩き、
祖父母まで駆り出され孫のためにと売り歩き、
監督、コーチも売り歩き、
とある居酒屋の店主までに協力をあおいで売ってもらい、
部として1000個以上の素麺を売ったのだが、
これもまた、すごいなあ、って思う。
さて。
こうして、皆さまのおかげで、
息子たちは広島に旅立ちました。
ソーメンを買ってくださった皆さま、ありがとうございます。
たんでぃが~たんでぃ
明日が第一試合です。
島から息子たちにエールを送ります。
こちらは、2019年5月のおはなしです。
2年前の今頃は、息子の広島遠征前でバタバタしていたのを思い出し、Facebook投稿を改めて、加筆訂正し、こちらにアップしました。