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これは龍だ、粟は天と大地をつなぐ龍だ、と思った話

これは龍だ。
と、思った。
粟を、生まれて初めて見た時、そう思った。
粟は龍だ。
粟は、天と大地をつなぐ龍だ。
と、思った。

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ちょうど1年ほど前のこと。
玉木の紹介で、伊良部島の佐良浜のもとツカサの女性の畑を訪ねることとなった。
彼女は、佐良浜の祭祀で供えるために粟をずっと作り続けていて、
ツカサを退いた今も、神事のために粟を作り続けている人でした。
そこで私は生まれて初めて粟を見た。
その時、そう思ったのだ。
これは、龍だ。
粟は龍だ。
と。

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かつての宮古島では、貢租として納められきた粟。
漲水のクイチャーなどの民謡でも歌われている粟。
島のオバアから、粟の話もよく聞いていた。
赤ユニ、青ユニ、と言って、ジューシーにして食べた話や、
粟で口噛み酒をつくった話も聞かせてもらった。
以前は、アァプース゜(粟プース゜)と言って、豊作祈願をしていたが、時代の流れの中、その農耕儀礼も消えていった、と聞いた。
その粟が、粟の畑が、目の前に広がり、垂れ下がった穂が風に揺らめいている。

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頭の中にある粟、ではなく、
知識としてある粟、ではなく、
思い出としての粟、ではなく、
生命体として粟、というのだろうか、
根を張り風を受けている粟を目の前にした時、
この作物の重要性と言うか、意味と言うか、
それがめちゃくちゃ分かるのだ。(という気がするのだ)
その存在感がただただ強烈に焼き付いた。
ああ、これはただの島の歴史として、文化史として、語っているだけではダメなのだ、と思った。

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そして、昨年12月に、多良間島の種である「アカマル」を玉木から譲り受け播種した。
だがしかし、11月の播種予定が伸び伸びての12月。
やっと播種できたと思ったら、長雨のせいか、芽が出てこない。
全くもって、ものになる兆しが見えてこなかった。
あの仙人のような夫でさえ、「それ、金になるわけ?」と聞いてきたくらいで。
夫としては、ただでさえ小さな畑を、生産性の高い作物を植えもせずにいるのは痛いことでもあったのもよく分かる。

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小さな小さな粟の粒々たちを思うと、
非常に生産性が乏しく、
そりゃあ、作らなくなるのも分かるよ、とも正直思った。
だけど、いつの間にやら次から次に穂が現れ、
頭を垂れ下げ、実が熟し、
ついに明日、粟を収穫します!

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そして、粟の種は多良間島にお返しします。
玉木の先生?が、20年くらい前に離島を回って雑穀の調査をしたんだって。
で、その種を大事に大事に持っていてくれて。
それが、巡り巡ってヨーコさんとこに来てくれて。
そして、種を生まれ島に返す、というわけです。
ちょっとうまく説明できていないが、玉木が多分コメントをくれるでしょう。
明日が楽しみだ!!!
本当は、収穫祭、と銘打ちたかったけど、なかなかそういうわけにもいかず、なようで。


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玉木のコメント、そしてこのプロジェクトの意味

私のお世話になっている先生方が、約40年前に南西諸島の雑穀類について、調査していました。
私は、偶々、収集元のお家の方に、3年前に多良間に行ったときに、お会いしました。そこで、長らく栽培していなかった、アーの穂を託されました。3年前に無事に発芽して、無事に収穫まで迎えて、3年の月日をかけて、大切に育み、多良間への里帰りを成功させる為に、ヨーコさんのところで栽培を託しました。
アァビューイなどは、生業の変化や地域文化の変遷に伴い、形を変えて残っていくか、閉じてしまうか、など、ありのままの姿を、変えています。
それを、知っている方たちも、超高齢化になり、本当に聞きたい地域食文化や農耕についても少しですが、取り組み通じて、記憶の引き出しから引きだして、話をしてくれたのは、とても、嬉しい思い出です。
また、先人たちの知恵を継承していく役目であり、また繋いで行くことが重要だと考えています。
栽培を取り組んでもらって、
数多くの問題点が出てきたと思います。
今後の研究の参考にして行きます。
アワを作っていての
一番の悩みどころは、収穫できてもその後の調整作業ができなかったり、脱穀がわからなかったりすることが大きな壁になっています。機械が必要だったりとランニングコストに見合わない場合もあります。
そこの壁を超えるために、
前向きに、解決して行きます。
収量が低く
農家としての経済栽培は、特性的に、難しいですが。
先人たちは、相当な苦労をして人頭税を納めていたと思うと、頭が上がりません。
先人たちのように
どうにか、収量が得られる耕種技術を見出して行きたいと思います。
この、黄金色になった穂の色が印象的です。
この景色が、半世紀以上前は先島諸島の各地に広がっていた、と考えると壮大です。
私も、立派に雑穀類を作ります。
天気が心配ですが。
ダンディガータンディ。

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