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世代の違いと日本とNYのミュージシャンの違い

 昨日もドラマーの大江陽象さん主催のジャムセッションでNYのピアニストDavid Bryantとホストを務めてきました。日本のジャズシーンで演奏するのは3回目。昨日は20代中心の若い世代のミュージシャンが集まってくれたのですが、みんな素晴らしい。すごくうまかった!世代が違うのか、少なくとも私が20代の頃はあんなに弾けなかったな。

みんな正確にブリブリ吹いてたし、ドラマーもうまかったな。質問コーナーでは私の方がなんでみんなそんなにうまいのか?って尋ねたくらい。いろんな音源がインターネットでいつでも手軽に手に入る、Youtubeで気になることをチェックできることが違いのよう。もちろんその上に彼らは努力をしていると思うのだけど。格段の違い。もう話してておばさんになったような気になっちゃいました。(心は20代!)

私がバークリーに留学した当時のアメリカは、携帯電話持っている人もまだ少なくて私が初めて持った携帯もデカくて重くて液晶も白黒。もちろんiモード(懐かしい!)とかインターネットの機能を持った電話なんて出回ってなかった時。CDが¥3000で売っていた時代にアメリカでは$10だからおよそ3分の1の値段で買えたので授業がないときはいつも一人でCD屋さんでCDを眺めていました。店員のおじさんからお店でライブをやらないか?と言われるくらい常連でした。気に入ったアルバムを見つけると大事に何回も何回も飽きるくらい一枚のCDを聴いていました。新譜の視聴も楽しかったな。大きなポータブルCDプレイヤーをどこにでも持って行っていたな。溜まっていく大好きなCDたちが宝物のコレクションみたいだった。それに比べたら今は携帯ひとつあればなんでも、どんなものでも、いつでも、好きなだけ聴けるんだもん。情報量が違いますね。そこはかなり違うな。

 あとYoutube。もちろん私が学生時代はそんな大層なものはないので、見たいライブは学校の図書館でビデオを探すか、自分でバイト代を貯めてライブに足を運んでいました。渡米前は大好きなミュージシャンを見にいくのに一万円かけてブルーノートまで見に行っていたし。あの時のブルーノートの緊張感と大人な感じが今でも忘れられません。当時大好きだったDavid Sanbornを成田空港で待ち伏せしておせんべい渡したこともあったな。向こうもジャズミュージシャンだからまさか女子高生に出待ちされてるなんて思ってもいなかっただろうから、あの驚きようっていったら面白かった。私には大スターなんですけどね。その後NYで何年か後にJazz StandardというジャズクラブにChristian McBrideを見にいった時に隣に当時大好きだったSanbornが座ったのです!!もうビックリ!!こんなこともあるのですね。ここまで私の中で彼がスターになったのもミュージシャンと自分に距離があったからでしょうね。いい思い出。

 ところで私はこんな一風変わった女子高生だったので、当時付き合ったイケメン彼氏から呼び出され、何の用かと思ったら「別れよう。ついていけない…」と涙ながらに別れを告げられ、「あれま」と思ってそのままなんてことなくジャズバンド部の部室で楽しく練習に戻った記憶もあります。今思えばかわいそうなことしたかな。今も私は当時のままその路線まっしぐらなので、大輔くらいにしか私を理解してもらえなかったのかも。なんて、話はかなり逸れてしまいましたね。

 やはり今の時代は簡単にYoutubeで世界中からいろんな音楽を一瞬で探すことができる時代です。いいなあ!私も20年後に生まれてきてたらもっと上手くなってたのかな。

 あと、ミュージシャンからのNYのシーンを拠点にしていた私たちへの質問がありました。アメリカと日本のジャズミュージシャンの演奏の違いがあるのか?あるのであれば一体どういうものなのか、というもの。さすが、質問もインテリ!私が感じたのはタイム感かな。多分ピアニストのDavidも同じことを感じていると思うけど。グルーヴ感。それがNYのミュージシャンと日本のミュージシャンとの大きな違いなのかなと思います。私はそれをありがたくNYからお土産にもらって帰ってきたような気がします。(音の)ポケットにフレーズをしっかり入れて演奏するとぐっと良くなるかも、とも思いました。ふわふわとフローするのも効果的ですが、ポケットに入れるとき入れるというプレイをするとさらにレベルが高い演奏ができるのでは?あと昨夜Davidが言っていたようにジャズはリズムも演奏していることも複雑なものなので、ジャズだけではなく、いろんな音楽を聴いて学んで肥やしにするとさらに良くなるのでは、と私も思っています。私も子供の頃からポップス大好き、R&Bやボッサ、ヒップホップ(少し)、ゴスペル、クラシックはここ数年でハマってたし、色々聴くようにしています。その方が楽しいし。あとラテンはNYには南米からの移民が多かったので本場のラテン音楽をやっている人が多くて、ある程度ちゃんと知っていないと恥ずかしいことも多々ありました。NYにいるといろんな話が転がってくるから、いろんなジャンルの音楽をいつまでに人前で演奏しないといけない、しかも本場の人と、ということもあるからそれで鍛えられたのもあります。

 こう書いてみると私はかなりアナログなミュージシャンライフだったんだな、と思います。日本に帰ってきて半年。みんなからNYでの話聞かせて!って言われて初めて、私はNYにいたんだ、感じるようになりました。NYでの日々が長い夢だったような不思議な感覚。こんなアナログに育った私ですが、これからは日本のミュージシャンのためになっていけたら嬉しいです。


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津川久里子
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