2023年10月 沖縄やんばるへ1
最寄り駅から3つめの駅から歩いてすぐ、沖縄料理の居酒屋がある。その名もやんばる。やんばるは東村出身のマスターが本場以上に美味しい沖縄料理を食べさせてくれる。そこに時々集うのが、沖縄へ通い続けて40年50年という強者の友人2名。3人でやんばる会と自称して吞んでいる。その都度、このメンバーで一度、本当のやんばるへ行きたいねと語ってきたが、とうとう実現の時を迎えた。
ジェットスターの沖縄行き1便で出発。
出発は遅れたが、到着は定刻より早かった。が、駐機場が空くのを待たされて結局遅延。送迎バスでタイムズレンタカーへ。借りたのは日産ノートeパワー。最近、よくこれに当たるが割と気に入っている。まずは、昼メシ。向かったのは、安謝にある「あじゃず」。
さて、北へ向かおう。と言っても、すぐ高速に乗ってしまってはつまらないので、海岸線沿いに北上。北谷のアメリカンビレッジへ迷い込んでみる。
さらに、嘉手納基地を回り込んで、道の駅かでな。展望台から基地がよく見える。戦闘機が轟音と共に離陸していった。
高速道路に乗って北へ。目指すは辺戸岬。16時過ぎ、沖縄本島最北端に到着。
さて、今夜の宿は岬からすぐ近く、沖縄本島最北の集落、奥にある。宿へ行く前に奥共同店でアルコール類を仕入れ。
宿はすぐ近く。ただ、入口が分かりづらいと事前情報。確かに、看板が小さくて見づらい。海山木、みやぎという宿。駐車場に車を駐めて、建物らしき方へ向かうが、入口が分からない。と、宿主が現れた。白く長いあごひげを生やした仙人みたいな人だ。部屋へ案内されたが、部屋では飲食禁止、食事をするテーブルがあるから、ビールなど飲むならそこでと。
シャワーを浴びて、指定されたテーブルでビールタイム。もちろんオリオン。そうこうしているうちに夕食時間となった。我々以外に、今夜は3名宿泊客がいる。うち2名はすでに5泊もしているという。ハワイからのご夫婦。大学の先生だったとか。奥様は日系3世。初めて祖父の故郷沖縄へやって来た。もうひとりは、うるま市在住のキャリアウーマン。沖縄へ移住して13年。やんばるの山の中へいつもひとりで遊びに来ては、名もなき滝などを見て歩くのが好きだそう。食事はビュッフェスタイル。一緒に来たWさんが、宿主にイノシシはあるのと催促したようで、特別に焼いてくれたようだ。他に高級魚、アカマチ(ハマダイ)の刺身。
宿主は途切れることなくダジャレを連発。そのうち気にせず、スルーできるようになったが、相当のくせ者。宿の口コミには、拒否反応を書いている人もちらほら。が、彼はそういう客には来てほしくないと居直る。ハワイからのご夫婦、奥様はこちらに気遣ってゆっくり分かりやすい英語で話してくれる。我らはなんとか拙いやりとりを交わすが、移住ネエさんはめっちゃ堪能。レベル高い会話を交わしてる。ハワイでも豆腐はよく食べるけど、沖縄の豆腐を食べて美味しくて好きになったという。そのうち、次のアメリカ大統領選にまで話が至り、夜更けまで大いに盛り上がった。
翌朝、海岸へ出てみると夫婦岩があった。注連縄が張ってある。朝日は直接は見えなかったが、雲が紅く染まっていった。
昨夜、明日の朝食は8時と言われたのに、テーブルに座ってメモの整理などしていたら、お茶を淹れたから飲め、一度に朝ご飯にするより順番に食べた方がいい、など言われ、ぼくひとり30分以上も早く朝食スタートになった。朝もビュッフェスタイル。
ハワイの奥様からは、昨夜は楽しかったわと全員にマカデミアナッツを入れた可愛い小袋をプレゼントしてくれた。ありがとう。まだ沖縄を周遊するみたいなので、良い旅をね。
さて、今日はゆるりやんばるを巡る。
楚洲の浜を経て、ヤンバルクイナ生態展示学習施設へ。1羽のヤンバルクイナがガラス越しに観察できるようになっている。実は10年近く前、この施設が出来てすぐに家族と一緒に見学したことがある。女性スタッフの解説を決まった時間に聞かせてもらえる。現在、スペース内にいるヤンバルクイナはピンチヒッターだという。本来の個体が体調不良で療養中のため急遽かり出されたが、そもそもヤンバルクイナは人目を気にして隠れたりしがちなのに、この愛称、ヒッター君は堂々と振る舞っているそう。確かにガラスに近づいて撮影していても、逃げるどころかすり寄ってきたりする。さらに女性スタッフが現れると彼女を追いかけていく。定時にエサが上から落ちてくる仕掛けになっているが、それもすぐに理解して、時間前に自分からそこへ来て待っていたりもする。賢い子らしい。
高江の直売所に寄ってみた。
今日の宿は東村だが、一度、通り抜けて西海岸へ出る。ランチはおおぎみ食堂という店にしたが、これが大正解。2階に上がると、窓の外には美しい海。沖合には伊是名島が見える。懐かしい。沖縄焼きそばをぼくは選んだが、テーブルの脇にビニール袋が吊ってあり、中にはミジュンの唐揚げを詰めたパックがあり500円で販売中。ミジュンとは沖縄でしか見かけない小魚で、イワシやニシンの同類。店は女将さんひとりで切り盛りしていて忙しそうだが、目配りが効いていて、ミジュンを眺めていたら、どこから来たのと聞かれ、千葉県からと答えると、ミジュン唐揚げを食べてみなさいと、小皿に出してくれた。旨いのはもちろん、見た目がとても美しい。丁寧にハラワタを出しているのだ。聞けば、ご主人が毎日とってきてそれを3時間かけてさばいているという。早朝からそれを揚げているそうだ。食堂の他に民宿もやっているという。焼きそばも美味しいし、今度は泊まりに来なくては。
食堂から少し北上し、内陸の田嘉里という集落の中へ入る。沖縄カカオという店。コーヒーを栽培している所は沖縄には何ヵ所かあるが、カカオは聞いたことがないし、昔、大企業が挑戦して失敗したこともあるらしい。こぎれいな店内では、チョコドリンクやコーヒー、スイーツなどを楽しめて、土産用に様々なチョコも販売している。が、まだカカオ自体は栽培に挑戦中で、自前のカカオで作ったチョコやドリンク提供まではあと少し時間がかかるようだ。来年、再来年かな。自家焙煎のコーヒーを注文すると、チョコの欠片とカカオのカスを出してくれた。
再び、東海岸へ戻る。さっきとは違う横断道路で。源河という集落から山越え。昼前の道路もそうだったが、ここも道路がきれいに整備されていて、驚く。西海岸は表通り、東海岸へ出ると一気に鄙びた感じ。今夜のホテルの前をいったん通り過ぎ、天仁屋という集落まで南下。ここに泡盛の博物館があると、同行のWさんが教えてくれたのだ。が、残念ながら不在。元名護の博物館長だった方が数千本の泡盛をコレクションして見せてくれるという。
天仁屋の先にこれも天然記念物の嘉陽層の褶曲があるとGoogle Mapが教えてくれるので、足をのばしてみた。なかなか立派な断面だった。
マングローブ林が茂る慶佐次の共同売店でビールなど仕入れ。マングローブ林ではカヌーを楽しんでいた。
さて、今夜の宿はちょっとした話題の宿。その名もHundred Days Hotel。長い間放置されていた廃墟のようだった元ホテルを、パリピという東京出身の女性が、100日でリニューアルオープンさせると宣言し、村の人たちの協力や、YouTube、インスタなどで毎日配信される様子を見て全国から手を差し伸べた人たちの支援を受けて、先月オープンしたばかりのホテル。1階入口にはまだお祝いの花がずらり飾ってある。
今夜の食事は、ホテルから少し山の中に入った場所にある、森のふくろう、という店を予約してある。実は千葉のやんばるのマスターに、当初、OZというゲストハウスに泊まって隣接の居酒屋で食事予定と話したら、あそこはまずいからやめろ、と言われ、それでこのホテルとふくろうにしたのだ。ただ、歩いて行くには遠いし、タクシーもないから、事前に店へ予約電話する際に、ホテルまでの送迎もお願いしたら快諾してくれた。迎えの車で店へ。玄関からすでにフクロウがたくさん。店内にはもっとたくさんのフクロウグッズ。奥の部屋に案内されると、隣のテーブルには地元の方だろうか先客4名。
隣のテーブルは、先ほど訪ねた天仁屋出身のお姉さんとそのご主人が神奈川から里帰りしていて、実家を守っている末の弟さん、そして従姉妹の女性という顔ぶれと判明。弟さんは酒に強くないらしくすっかり出来上がって、演歌カラオケオンパレード。こちらはその筋で対抗できるWさんにお任せ。楽しく吞んで食べておしゃべりして、ホテルまで送っていただいた。
ホテルには屋上にジャグジー風呂がある。フロントで頼むと21時半には用意できるとの答え。3人で屋上へ行くと、3つあるジャクジーのうち、お湯が入っているのはひとつだけ。ジイサン3名。膝を折りたたんで密集入浴。まあ、これもまた楽し。
翌朝、朝日が昇った。
朝の屋上の様子が冒頭の写真。真ん中の浴槽に身を寄せ合って入浴したのである。思い出したくないが。