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2023年6月 信州へ

礼文島へ一緒に出かけた友人と2人で、今度は信州へ古い知人友人に会いに出かけた。池袋駅から高速バス。折しも、台風の影響で激しい風雨予報が出ている日。

西武バスと千曲バスの共同運行。

雨が降る中、佐久インター南で下車すれば、知人夫妻が迎えに来て下さっていた。お目にかかるのは数年ぶり。コロナ禍の間は、ずっと信州御代田に籠もっておられた。能登の娘さんの所へも、やっと少し前に行ったというほど。
車で東御市へ向かう。一度、昔、連れて行ってもらったことのあるワイナリーのカフェへ。玉村豊男氏がオーナー。

ヴィラデスト ガーデンファーム アンド ワイナリー。

こちらのカフェでランチ。窓の外にはブドウ畑、さらには北アルプスの山並みが見えるはずが、真っ白。

カフェの窓からブドウ畑が見渡せる。
2016年のシャルドネは貴腐ワインを作る貴腐菌が発生したヴィンテージ。
それで仕込まれたシャルドネノーブル。美しい黄金色、しっかりした香りと深い味わい。
添えられたのはアルザスのタルトフランベ。この地の郷土料理でピザのよう。

前菜は地元の新鮮な野菜のサラダ。2種類のパンも美味しい。

メインは信州サーモンのクルトン衣焼き。カリッと香ばしい。

実に贅沢なランチを楽しませていただいた。雨が降っていなければ、季節のお花がたくさん咲いているお庭をゆっくり散策できたのだが。
一度、お宅へ向かう。よく考えたらお宅へ伺うのは数年ぶりかな。庭の木が大きく育ち、冬のストーブ用の薪が積まれて、家が見えないほど。荷物を置いて、温泉へ向かう。ご主人は掛け流しの源泉にこだわりがある。春日温泉もちづき荘。が、なんと、16時15分で受け付け終了。えー、16時30分。一応、営業は17時までなんだけど。かけあっていただいたが、もう湯を落としたと断られたそうな。しょうがないので、掛け流しではないが、近くの布施温泉へ。

布施温泉。日帰りのみ。500円。露天風呂からは周囲の低い山々が見えて心地よい。

御代田に戻り、その後は、美味しいお料理をいただきながら、久しぶりの再会ゆえ、積もる話に盛り上がり、夜更けまで本当にあっという間に時間が過ぎていった。

先日、利尻島のセコマで見つけて自宅へ送ったうちの1本を持参した。
岐阜県にあった三千櫻は、蔵ごと北海道へ移転。どんな酒を造ってるのか気になっていた。
北海道は最近ではすっかり米どころになっている。ブランド米、ななつぼしを醸した純米。
果物のような香りが立ち、ややクセのある甘味、今風のモダンタイプの酒。
上の三千櫻にぴったり合ったのが、薄味の煮物。素晴らしいマリアージュ。
知人からいただいて2人では飲まないので置いてあったと、鶴齢の純吟生原酒を開栓。
いやあこちらはしっかり濃くて旨い酒。麹でなく米で仕込まれたかぶら寿司に合う。
これが凄かった。お2人の故郷、能登の夏祭りになくてはならないアジのヒネ寿司。普通は春に仕込み夏に食べるが、左は5年寝かせた熟成もの。そして、右はちょっと前に仕込んだばかりのチョー新鮮ヒネ寿司。ちなみに5年ものは、能登で宿を継いだ娘さんが仕込んだ。新しい方は能登から新鮮なアジを送ってもらい、御代田でお母さんが仕込んだ。同じように仕込んでも、同じようには発酵しないそうだ。水も空気も違うから当然なのかもしれない。
ご馳走尽くしの〆は、牛肉の陶板焼き。これは鶴齢純吟生原酒がバッチリ。

久しぶりに、本当に楽しいおしゃべりを交わすことが出来た。ぼくも友人も、酒を飲むと割とすぐ眠くなる方なのだが、この夜に限ってはそんな気配はこれっぽっちもナシ。

2人とも陶芸をしていらっしゃる。ご主人は職人肌で最初から見事な急須を造った。
一方、奥さんは創造的な造形がお得意。皿にお香を載せて、カエルの口から香りを出す。
枕元にたくさんのカエルが並んでいて、夢の中で合奏を聴かせてくれたのかなあ。

翌日は、雨雲も通り過ぎ、次第に晴れ上がった。朝食もへたな旅館顔負け。もっとも、現役時代は日本一の朝ご飯を出す宿をやっておられたから、当然といえば当然なんだけど。恐縮してしまうほど、美しく美味しそうな膳が並べられた。

サラダの野菜はすべて目の前の畑から採ってきたばかり。お箸に巻いてあるのは、カスカモ。香り高く美味しいのはもちろんだが、間違いなく栄養価も高いはず。
朴葉に包まれたご飯に甘味控えめの黄な粉がうっすらまぶされて。

衝撃だったのが、ご飯の後に出していただいた干し柿。もちろん庭になった柿を手造りで干したもの。

蜂屋柿。そもそもが大きい。それを完全に干しきらずに、適度な干し加減に留める。
皮は剥いてあるのに、外皮がまるで皮のようになっていて、それを縦に裂くと、中から
金色に輝く実が現れる。こんな干し柿、食べたことがない。めちゃくちゃ旨い。
道の駅に出したら、1個1000円で売れるよ、と大興奮。

昨日は雨だったから、庭をよく見ていない。どんな感じなのか外へ出てみよう。果樹は柿数種類、ブドウ、モモ、ナシなど。野菜はありとあらゆる野菜。ギョウジャニンニクまであった。ハーブ類も多数。

家の中至る所におふたりの様々な作品がある。これは下駄箱の上にあった。亀の甲羅のようにひびが入った石に、ペイント。もちろんこういう独創性に富んだ作品は、奥さん作。
スミレだけでも数種類、ただし花は終わって葉っぱだけ。花盛りだったのはニリンソウ。
え、こんなに大きいの? 大きすぎてニリンソウとは思わなかった。
冬はマイナス15℃ぐらいまで下がることもあるそうで、薪ストーブは欠かせない。
薪の切り口をきれいに揃えて見栄え良く仕上げるのは職人気質のご主人ならでは。
おや、かわいらしいアマガエルがいた。庭の木々には野鳥がたくさんやってきて囀る。

コーヒーは近くの丸山珈琲へ。店の前からはやっとアタマを出した浅間山が見える。いいなあ、こういう店が近くにあって。

コーヒーを飲むだけでなく、もちろん豆を買った。次々にお客さんが来ていた。

お昼に昔の同僚と待ち合わせているので、上田まで送っていただいた。すっかりお世話になり、ご馳走になりました。秋には久しぶりに温泉旅行へご一緒する約束をしているので、楽しみだなあ。

待ち合わせたのは、昔ながらの古い家並みが続く通りの老舗蕎麦屋。
手打百藝おお西の名物、発芽そば。香り高く旨味十分の味わい。
天ぷらは山菜盛合せと舞茸。ビールが進む。

待ち合わせた昔の同僚とは、ぼくは10年近くぶり。同行した友人は数十年ぶりのご対面。またまた話があれこれ弾む。蕎麦屋だけ終わる訳もなく、近くの蔵を改装したカフェで、お茶を飲みながら話し続けた。

広い店内に椅子はわずかしかなく、ゆったり寛がせてもらった。

手造りのケチャップやらフキの佃煮やらタケノコなどお土産をどっさり頂いて、帰りのバスに上田駅前から乗り込んだ。

帰りのバスは西武ではなく、千曲バスだった。

たかが1泊2日、されど旧交を温める中身の濃い旅だった。

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