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2024年6月 焼尻島

このところ毎年礼文島に通っているが、稚内への飛行機で利尻富士が見える前に、小さなふたつの島が見える。焼尻島と天売島。ずっと気になっていて、いつか行ってみようと思っていた。このたびやっと実現。
札幌から特急バスはぼろ号に乗り、羽幌のフェリーターミナルへ。ギリギリまで出るかどうか分からなかった高速船が運航と決まり、無事に乗船。

高速船。古いし、よく揺れる。なかなかイマドキ珍しいかも。

港で、予約しておいた電動自転車を借りて、宿に寄って荷物を預けた。

今夜のお宿、ゲストハウスやすんでけ。中には入れないが、玄関先に荷物を置いておくことはできる。

さて、まずは郷土資料館。こちらは明治時代に石川県から移り住み、ニシンなどの漁で財を成した小納(こな)家の二代目が建てた邸宅。商人としても才覚を発揮し、後に郵便局や電話局もここに設けられた。

建物は北海道指定の有形文化財。
電話局時代の交換台。

さて、自転車で出発。回り方を描いたイラストマップをもらったので、そのルートを辿る。島の西へ。

西海岸の南から北方面を見た景色。条件がよければ、右手の海の彼方に利尻富士が見えるらしい。

そこから、中央部に入り、オンコの自然林へ。

役場支所の隣が入口。
オンコとはイチイのこと。雪の重みで上へ伸びずに枝を横へ広げる木が多い。下草は、もう少し前の季節なら花がたくさん咲いていたのではないかしら。
森には多種類の野鳥がいるようで、囀り声がやかましいほど。これはコムクドリかな。

森の中は本当に気前持ちの良い空間で、癒される。そして、森を抜けると、広々した景色。

羊が放牧されている時もあるようだ。
実にいい景色。自転車で走っていると最高の気分。
とにかく、このエゾニュウが島内至る所に生い茂っている。吹き渡る風が心地よい。

そして、北側へ出れば、すぐ先に天売島。

天売島はすぐそこに見えている。

東側の海岸沿いは長い下り道。

行手に灯台が見えた。

白浜キャンプ場の駐車場に自転車を停めて、オンコの荘を目指し、遊歩道を歩く。

エゾカンゾウが咲いていた。
左手の牧草地にサフォーク種の羊がいた。これがまさに島の名物。が、少し前に存続の危機があった。村営から民間へ無事に経営移行して運営されている。
オンコのこんもりした低い茂みの中に入ると丸い空間だった。
こんな素敵なキャンプサイト、見たことないなあ。羨ましい!

島のメイン、港のある集落へ戻り、今度は西側の海岸を走る。

小中学校があった。
また北側に出たら、目の前に天売島。
ハマナスの花が道端に咲いていた。

もう一度、オンコの自然林を逆向きに通り抜け、これで島を一周半。もう十分と、自転車を返して、宿へ。
宿は8年前にオープン。実は島旅プロの友人から勧められて予約していた。そのことを話した途端、それまでとは一変、距離が縮まり、熱のこもった会話が始まった。宿を始めた理由から始まり、今の悩み、苦労のあれこれ。ふたりの話が止まらない。夕食の時間になり、ふたりも自分たちのご飯を持ってきて、おしゃべり続行。この島で宿だけでは食べていけない。ご主人は漁師も兼業。島外の人間で初めて漁業権を与えられた。奥さんもいろいろ仕事をしてる。お客が見込めるのは夏だけなので、冬場はご主人の実家がある兵庫県へ移る2拠点暮らし。町の行政は離島のことあまり面倒見てくれないそうで、もどかしいようだ。

今日は他に客はおらず、ひとりで貸し切り。いいような、新しい出会いがない寂しさも半分。
鍵をかけられる貴重品ボックスもある。
あらかじめ追加注文しておいた、島名物のサフォーク。2200円。札幌や東京ならそんな程度では食べられない貴重品。
タコのザンギ、ホタテ炒め、味噌汁の具はギンナンソウと、島でとれたものばかり。豊かな食事に感謝。
宿のご夫妻。友人が書いた記事を手に記念写真、それを友人に送った。

食後も酎ハイやりつつおしゃべり。
翌日も快晴。昨日、自転車で走り抜けてしまったオンコの自然林を歩いてみた。

朝日が海面を照らしていた。

オンコの自然林の中へ。

入口には会津藩士の墓。
入口近くの両サイドには、まもなく開花するオオウバユリがいっぱい並んでいた。咲いたら、壮観だろうな。
花咲く前から気品がある雰囲気。オオウバユリ。
ハクセキレイ。
典型的なオンコの枝の張り方。
自転車では入れなかった遊歩道、ウグイスの谷の橋。
宿の近くの路上に複雑に足をひねるネコがいた。

帰って朝メシ。

シンプルに一汁二菜。
おや、野球大会があるんだ。ご主人は経験者らしい。

夫妻が港まで送ってくれた。その前にサフォーク牧場へちょいと寄り道。

ひょうきんな顔にも見える。
日本じゃないみたいな風景。モンサンミシェル付近の海辺で見た光景を思い出す。

天売島行きのフェリーは予定通り入港し、出港した。

フェリー入港。

いい島だったな、焼尻島。

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