2023年5月 礼文島・レブンアツモリソウ
宿から浜中まで送ってもらい、アツモリソウ群生地へ歩く。群生地手前の道路脇にレブンアツモリソウ、発見。レブンアツモリソウは、その棲息地が微妙に動いているそうだ。柵に囲われたエリアから少しずつはみだす株も増えているようだ。木道を敷いたエリアは人間がひっきりなしにいるから、花粉を運ぶべき昆虫が来づらい、だから本能的に違う場所へずらしていってる、という説明は学問的な裏付けなどないのだろうが、なるほどと頷かされる。
で、浜中から歩いて向かって左側のレブンアツモリソウ群生地は、今年新たに展望デッキが完成し、まもなくお披露目とのことで、それまでは封鎖してあり立ち入ることが出来なかった。遠目にはかなり開花している様子が見えるのだが。そしてその奥、数年前にサクラソウモドキをたくさん見たエリアにも近づけず。サクラソウモドキもしっかり咲いてるんだけどなあ。しょうがない、左手側の昔からの群生地へ。ここは木道が敷いてある。観光バスも時折やって来て、団体ツアーの皆さんが、ぞろぞろ歩いている。もう茶色のシミが出てる株も多い。
群生地は落ち着いて撮影も出来ないので、早めに切り上げて、ここから本日の目玉、船泊の海岸に向かう。途中の個人宅の表にはチョウノスケソウなど貴重な花が植えられていて目を楽しませてくれる。
船泊の海岸は一昨年の6月に来た時、萎れたレブンアツモリソウをたくさん見かけて、今度いい時季に来たら、ぜひここのレブンアツモリソウを見てみたいと思っていた。近頃は口コミで広まっているらしい。ぼくたちが着いた時にも先客が数名いた。
レブンアツモリソウが咲いている場所には杭が打ってあるが、ロープなどはなく、思う存分近づいて観察できる。匂いを嗅いでいる人たちもいた。花期としては今が真っ盛り。が、早くもシミが出てる株もあった。まだ5月というのに。
でも大半はフレッシュで見頃を迎えている。しかも、入口には一際目立つ株が待っていた。赤い花。これをホテイアツモリソウという人もいたが、いや、レブンアツモリソウが先祖返りして赤くなってる、と説明する人もいた。確かに、元々のアツモリソウは赤い花。それがこの島に伝来して、長い時間をかけて白というかクリーム色のレブンアツモリソウになったのだから、先祖返りというのは説得力がある。しかも、別の場所に咲くホテイアツモリソウは、背丈がもっと高かった。なぜか去年今年はまったく咲いていないのだが。ここの赤い花は、背丈や唇弁の大きさ、葉っぱの具合などは、他のクリーム色のレブンアツモリソウと全く同じなのだ。
他の株はいわゆるレブンアツモリソウのクリーム色だが、白っぽいのや少し濃いめのクルーム色や様々。
気がつけば、とうに1時間を過ぎていた。いつまで、このような状態で接することができるのか分からないが、今のうちに間近で花を見ることが出来て本当に幸せだった。
いい時期に、いい状態のたくさんのレブンアツモリソウを、はいつくばって観察できたのは、生涯忘れられない思い出になりそう。
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