2021年3月 18きっぷ旅1 東鳴子温泉へ
18きっぷで常磐線を北上した。
朝陽を浴びる利根川の鉄橋を越える。車窓には朝靄が立ちこめていた。
沿線には桜が咲いていた。水戸あたりまではこの辺も例年以上に早いんだなと思っていたが、まさか福島の浜通り、竜田駅まで満開の桜とは思わず、驚いた。
さらに北上、仙台、小牛田と乗り継ぎ、陸羽東線へ。鳴子御殿湯駅で下車。
今日の宿は、東鳴子温泉、百年ゆ宿旅館大沼。
昔、一度泊まったことがある。今日は一番安いプラン。部屋は湯治部のトイレなし、夕食も品数が少なく、1泊2食9680円。この宿はお風呂がたくさんある。まずは一番大きな薬師千人風呂へ。ひとりで貸切。ああ、いい湯だ。源泉掛け流し。
部屋は2階だが、3階にも風呂が2つ。鍵がかかっていなければ入れる。陰の湯と陽の湯。陽の湯へ。ここは窓の外に線路が見える。鉄ちゃんなら大興奮。
部屋で一服して、16時にフロントへ。少し離れた場所にある貸切庭園露天風呂へ車で送ってもらう。周囲は雑木林。鳥のさえずりを聞きながら風呂に浸かる。贅沢。
脇の苔むした岩の上に黄色い小さな花。咲きかけのフクジュソウだった。
30分、野外の開放感たっぷりの温泉を堪能し、宿に戻って、今度は異なる源泉、赤湯の風呂、灯りの湯。
風呂上がりのビール。大相撲見ながら。ビールの後は、宿近くの酒屋で買ってきた日本酒、天音(あまね)。このお店がプロデュースしたという。すっきりして旨い。
18時半から食堂で夕食。部屋ごとにテーブルが離されて、対策十分。一汁五菜。ウルイ酢味噌和え、ニンジンホウレンソウなどの白和え、茶碗蒸しは胡桃豆腐、煮物は角煮ダイコン、鍋はクコの実や松の実も入った薬膳鍋。品数は少ないが野菜も美味しいし、丁寧に調理された料理ばかりで、満足。つや姫のご飯も美味しかった。
お酒は、ゆきむすび鬼のどぶろくを。米の旨味たっぷり。女将からサービスですと、一緒に出してくれた豆腐がまた旨い。
食後はまた風呂をはしご。薬師千人風呂は基本は混浴だが、19時半~21時は女性専用タイム。22時過ぎ、ゆっくり入らせてもらった。
翌朝も快晴。朝風呂をはしご。陰の湯、窓の外を列車が走っていった。
朝食もなかなか美味しかった。納豆は豆の旨味が味わえるし、湯豆腐の豆腐の旨いこと。焼き魚も焼きたて。そして、つや姫。漬物も自家製だな。
チェックアウトし、余裕をもって、隣の鳴子温泉駅まで歩いた。江合川に堰堤があり、足下を見たらフキノトウが出ていた。
鳴子温泉の温泉街へ入って、忘れ物に気がついた。秘湯の会のスタンプ帳。あわてて宿へ引き返し、受け取った。恐縮したご主人が車で送ってくれた。車中であれこれおしゃべりしていたら、昨日宿に着いた時、ランドセル姿の男の子を見たから、てっきりお孫さんと思っていたが、息子さんと分かった。コロナで大変だけど、まだまだ働かなくてはいけないんですとご主人は笑っていた。お世話になりました。