2020年3月 房総半島

画像1 千葉県長生郡長南町の笠森観音。長元元年(1028)建立の観音堂は国重文。四方懸造という日本唯一の建築様式。すなわち岩山の上に舞台を作り、その上にお堂があるため、四方が見晴らせるのだ。周囲は、国の天然記念物笠森寺自然林として保護されている。なお、お寺は坂東札所31番でもある。
画像2 駐車場から笠森観音境内へと登る階段脇の石壁はびっしり分厚いコケで覆われていた。
画像3 山門手前にはねじれた太い幹の間から観音様が拝める子授楠が立ち、祈願する人はこの穴をくぐってお詣りするようになっている。
画像4 山門左手には雷神が堂々と待ち受けていた。
画像5 観音堂の下は木を組んだ構造だが、このご時世とあってか、コンクリートなどで一部耐震補強がされていた。
画像6 周囲に高い山がない房総ならではの緑一面の景色が四方に広がっている。
画像7 笠森観音近くにもうひとつ国重文。西願寺阿弥陀堂。堂内の厨子とともに指定されている。昨秋の台風の影響だろうか茅葺き屋根の天辺あたりが傷んでいて、この夏から1年あまりかけて改修工事が行われるとの看板が立っていた。
画像8 西願寺境内には10匹近くのネコがいた。みな人なつっこくて、交代で体をすり寄せてきた。
画像9 西願寺阿弥陀堂の屋根下の木組み。角のように突き出した木材が印象的だった。
画像10 こちらは、国重文指定の鳳来寺観音堂。室町時代後期を代表する建築という。裏の山は吉沢(きっさわ)城跡で、もともと善福寺境内にあったこのお堂は昭和41年に解体修理が行われて、現在地に移築された。
画像11 今年1月17日、はれて国際地質科学連合によりチバニアンと命名された地質時代の一区分を実証した地層が、一般人にも近くで見ることが出来るようになっている。認定に際してすったもんだがあったが、諍いをしかけたグループによる看板が撤去もされず、あちこちに立っていた。
画像12 ここが田淵の地磁気逆転地層と呼ばれる調査ポイント。上下の色違いの地層が堆積される間に地磁気の逆転が起こったという。現地ではボランティアガイドが図を示しながら解説してくれるが、はっきり言って素人が理解するのは無理。ぼくは同行した花仲間が、今回の調査の中心メンバーと大学時代地学専攻の同級生とあって、それなりに詳しく解き明かしてもらったけど、それでもほとんど理解不能。そもそも地磁気って? 一般人にわかりやすく説明するのは不可能だと実感した。
画像13 場所は養老川の川べり、足下も悪く、雨の日などは立ち入らない方が賢明かと思われる。青い帽子の方がボランティアガイド。たぶん昔は理科の先生だったのではないかしら。
画像14 地磁気逆転の証明のために、縦に土を採取し、位置を崩さないようにしてその地磁気を測定する。それ自体がかなり難しい作業とのこと。大昔、木曽の御嶽山が噴火したことが分かっているため、それが唯一、時代を特定できる根拠だという。
画像15 小湊鐵道、養老渓谷~上総中野間に春っぽい風景が見られる場所があった。こちらはナノハナ。
画像16 で、反対側には桜。河津桜であろうか。それにしては色味が薄いなあ。
画像17 お昼は、勝浦で。勝浦といえば、勝浦タンタン麺。道路脇の小さな店に入ると、メニューはラーメン以外はすべてタンタン麺のバリエーションだった。迷うことなく勝浦タンタン麺。フツーに麺をすすると辛いのが喉にドバッときてむせる。欧米人のようにすすらず、そっと麺を口に入れる食べ方をすぐに学んだ。
画像18 南房総市石堂寺は寺伝によれば1300年前に行基が開基したと伝わる天台宗の古刹。寺務所にはかつては国重文の多宝塔の側面に嵌められていた波の伊八による彫り物が展示されている。ふだんは世田谷在住という大黒さんが説明をしてくれた。外へ出ると、正面には桜の花越しにのどかな里を望むことが出来た。
画像19 石堂寺には国重文の建物が3件。正面の多宝塔とその右手屋根の一部が見える本堂、ならびに撮影している場所の後ろに立つ薬師堂の3つ。しかし、どこも昨秋の台風でずいぶん傷みが激しく、改修工事もすぐには取りかかってもらえないようで、大黒さんは嘆いておられた。ご自身が使う自家用車の修理すら、つい先日、やっと直してもらえたとのこと。なお、敷地内にはもうひとつ国重文がある。移築された旧尾形家住宅。ここはお宝の宝庫だ。
画像20 この日の宿は館山休暇村。旧知の総支配人がいるので、昨年暮れあたりから、一度台風見舞いに伺わなくては、と話していて、やっと実現した。宿舎の目の前の防波堤も、その台風で一部崩れかかっていた。宿舎正面の大きな窓ガラスも1枚はまだ修理できず、板が張り付けてあった。
画像21 土曜の夜とあって、キャンセルが出たものの、7~8割ぐらいの混みよう。時節柄、ビュッフェスタイルにする訳にいかず、少ない従業員で苦労して食事の提供をこなしていた。桜鯛がこの夜の主役の1つ。その姿造りと地魚3種の刺身はとても美味しかった。
画像22 もう1つの主役が、かずさ和牛。炙り寿司や茶碗蒸しにも使われていたが、メインは白すき焼き。キューブ状の肉を、野菜と白だしでさっと煮て、溶き卵でいただいたが、初めて食べる美味。皆で、おおこれは旨い、と嘆息した。
画像23 翌朝、露天風呂へいくと、風が強く冷たかった。小雨も混じっている。海も白波が所々に立っていたが、遠くに漁船が見えた。ご苦労様です。
画像24 館山市内の那古寺。坂東札所の33番、すなわち結願の寺。こちらも行基ゆかりの寺と伝わる。仁王門をくぐった境内には、多宝塔、観音堂など多くの堂宇が立ち並んでいる。
画像25 木更津市の高蔵寺は坂東30番。通称、高倉観音。高床式本堂の床下に参拝することができ、3m以上の木彫本尊観音様を足下から見上げてお詣りすることが出来る。床下の本尊周囲は極楽や地獄などちょっとしたミニテーマパークのような展示コーナーがあり面白かった。
画像26 高倉観音の山門脇には樹齢400年というツガの霊木が立っていたが、さきの台風で根こそぎ倒れてしまった。切り株だけでも凄い。
画像27 市原市の蕎麦屋、花月庵で昼食。こぢんまりした町場のおそば屋さん。13時半過ぎだったが、近隣のお客さんがテーブルを埋めていて、忙しそうだった。人気店なんだな。ミニカツ丼とざるそばセットをつい頼んでしまった。そばは常陸産。食べてねとイモとエビの天ぷらを、ひとり1個ずつサービスしてくれた。
画像28 花月庵のすぐ近く、飯香岡八幡宮。本殿が国重文に指定されているのだが、重文の看板がどこを探しても見つけられなかった。
画像29 最後に訪れたのは千葉寺(せんようじ)。坂東札所29番。本堂前の手水場の屋根が落ちていた。台風だろうね。
画像30 今回、房総各地で重文巡りをしたのは、同行した花仲間N君の趣味。ついでに彼は御朱印も集めている。千葉寺の寺務所へも当然出向く。寺務所前の木にクリーム色の花。何の花か訊ねると、シキミだと。ええ、シキミがこんな大きな木になるなんて。しかも花が咲くとも知らなかった。

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