2022年5月 伊是名島
伊平屋島からの渡船が伊是名島の仲田港に着くと、1台の車が待っていた。予約してあったレンタカー会社の人だ。渡船で来るというから、島の北の港、内花港に車を置いてあるという。YHマリンの船長さんから、事前に電話でどこからどこへ渡るかと聞かれていた。一番短い航路は、野甫港から内花港、これだと20分。一番遠い航路は、前泊港から仲田港で40分。伊平屋島は乗り捨て可能と分かったので野甫からにしてもらったが、内花港に着いてもアシがないのは困るからと仲田港まで30分かけて運んでもらったのだが、そんなことなら内花港に渡してもらえばよかった。こういうのは現地に来てみないと分からない。ま、ともかく、車で10分ほどで内花港、置いてあった軽ワゴンに乗って、出発。
まずは、ガナハの浜。浅瀬の岩場が続いている。泳ぐビーチではなさそう。
島の西岸に行くと、場外離発着場入口という看板を見つけた。行ってみると、確かに滑走路がある。ただし、この島へは定期便はないはず。調べると、昔、エアードルフィンという会社が、那覇~伊江島~伊是名島という不定期航路を飛ばしていたらしい。
島の西側を海岸沿いに走り、島の南側に行くと伊是名区。ここに酒造所がある。残念ながら今は見学不可。
伊是名から中央部を北へ少し行くと、ふれあい民俗館。あれ、ここもシャッターが閉まってる。が、電話したら、今日は事情があって開けられないけど、明日は朝から開けますとの返事。ここも教育委員会所轄。
島の中心部を通り抜け、これでほぼ島を一周したことになる。仲田区の今夜世話になるお宿、まる富にチェックイン。荷物を置いて、東海岸沿いに南下。ギタラ展望台へ。雨が降ってはいるが、海の美しさはよく分かる。
少し引き返すと、伊是名玉御殿(たまうどぅん)。琉球王朝第二尚氏始祖、尚円は伊是名島の出身、その尚円の父祖などを祀る陵墓。尚円の息子が首里の玉御殿造営後に建立したと伝わる。奥はかつての伊是名城跡。
宿に戻り、シャワーを浴びて、ビール。一服した後、18時前に宿の向かいにある同じ経営の居酒屋、まる富亭へ。
まずは生ビール、お通しはマグロとツブ貝のぬた。刺身盛合せを注文。
モズクなどつまみ、島の泡盛の5年古酒をカラカラで1合。ロックでいただく。なかなか美味しい泡盛。揚げ魚のオススメはカタクチイワシみたいなビジュンという小魚と言うのでオーダー。すごい量で運ばれた。これでお腹いっぱいになって勘定。
翌早朝、雨は降っていない。今のうちに近所を散策。おや、朝陽が雲間からのぞいている。
そして集落ハズレに奇怪な壁。IZENA ROCK HOUSE、と書いてあるぞ。その先には、お寺もないのになぜか鐘だけ吊ってあるし、不思議の連続。
よし、雨が降っていないうちに車で伊是名区まで行こう。10分ほどで移動できる。
サンゴの石垣は昨日も見かけたけど、ここは面白い。
銘苅家住宅は、尚円王の叔父にあたる家系の住宅で、明治39年に再建された建物。屋敷の一部の土台もお城の石垣みたいになっている。
周辺の小路はフクギとサンゴの石垣で囲われた家並み。所々、廃屋になっているのはやむなしか。いい雰囲気が残る一角だ。6時半になると、この島でも大音量放送で歌が流れ、その後、やはりラジオ体操が流れた。これじゃ、おちおち寝ておれない。
さあ、宿に戻ろう。道路の両脇には水田、しかも稲穂が大きくなっている。二期作、7月に稲刈りだそうな。伊平屋島も伊是名島も、古くから稲作を続けて来た歴史がある。尚円王の時代から続くと言われ、現在では「尚円の里」というブランド米として出荷されている。
宿に戻って、朝食。精算は、1泊朝食で5000円。
やはり雨が降ってきた。降る前に歩き回っておいてよかった。さあ、出発。宿のすぐ近く、尚円王御庭公園の一角に、伊平屋島で見たのと同じ、諸見の神アサギという茅葺きの建物がある。その奥には、尚円王生誕の地、へその緒が埋まるという、みほそ所。そして公園には、金丸(若き日の尚円王の名前)像が立っている。この像は、考証高良倉吉、作像名嘉睦稔。フェリーいぜな尚円の船腹に描かれている元である。
さて、9時に開館する民俗館へ向かう。途中、もう1体の尚円王像。馬に乗っている。
さて、土砂降りの中、開館の9時を待って伊是名村ふれあい民俗館に入る。ここも200円。こちらは伊平屋島より展示内容が充実していた。何より銘苅家に伝わる器類など見応え十分。
そろそろ、伊是名島の滞在も終わるが、その前に昼食をいただこう。勢里客(じっちゃく)にある太陽食堂。名産の米を太陽麺というグルテンフリーの麺にして名物料理としている。鶏ガラと豚骨のスープ麺をいただいた。米の麺というからフォーみたいなのかと思っていたが、それでもない。出汁の加減が美味しくて、あっという間に平らげた。
給油後、港でレンタカーを返却、精算。3島の中で最安、3700円。
尚円王が大きく描かれたフェリーいぜな尚円に乗船。この後は車を運転することもないので、船中ではカップ泡盛を飲みながら過ごした。