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2022年6月 大分 飯田高原、安心院

ジェットスターの格安チケットがとれたので、ミヤマキリシマを見てこようと、成田~大分へ飛んだ。

毎度おなじみの成田空港第3ターミナル。WEBチェックインしたら、今回は往復ともに
3列シートの中央席。往復4000円で買ってるのだから、贅沢は言うまい。

大分空港からレンタカーで一路、牧ノ戸登山口を目指し、この日は扇ヶ原まで往復した。それなりにミヤマキリシマは見られたが、いつもならもっと凄いらしい。下山して、今夜の宿、寒の地獄旅館まではすぐ。秘湯の宿にふさわしい貫禄ある木造の宿。部屋は2階のはしっこ。

こういう雰囲気は落ち着くねえ。冬は寒そうだけど。

さて、まずはご自慢の温泉に浸かってこよう。名物の冷泉は7~9月のみだそうで、ちょっと残念。見るだけでもと見学。こちらはお湯を薪で沸かしている。一帯に薪の燃える香しい香りが立ちこめていて好ましい。

至る所に薪の束が積み上げられていて、ほしい人には売ってくれるようだ。
冷泉の手前には飲泉場。ほんのり硫黄臭がする。さすがに冷たい。
翌朝、ペットボトルに汲んで、飲料水とさせていただいた。
水着着用で男女混浴。14℃、痺れる冷たさで、別部屋のストーブにあたって、
身体を温めてからまた入浴を繰り返すという。
こちらが大浴場と貸切浴室が連なる温泉棟。まずは貸切の切石湯に入った。
次に入ったのは大浴室。この日の男性用は石の浴槽で、大風呂の中央に頭を載せると
きわめて具合のいい半割丸太がかけてあった。ひとりで独泉。
上の写真の右側に「ちょっとぬるめの」と書かれた冷泉がある。十分これでも冷たい。
最初はそこまで冷たいと思わなかったので、すぐに温かいお湯の方へ逃げた。
次に腰を据えてじっとしていたら、じんわり浸みてきた。

風呂上がりに、囲炉裏に茹でタマゴが用意してあり、お召し上がり下さいとあったので、遠慮なくいただいた。

なぜか塩は置かれてなかった。ま、そのままいただきましたが。

フロントで缶ビールを買って、部屋で一服。夕食前にもう一度お風呂へ。今度は貸切の桧湯へ。さらに大浴場へもう一度。今度も貸切。

2人ぐらいなら十分の広さ。桧湯。
千客万来の注連飾りがかけられた玄関の脇には、冷泉から溢れる源泉が
小川となって流れている。

さて、夕食は食事処で。お風呂で誰にも会わなかったので、ガラガラかと思いきや、それなりに賑わっている。でも圧倒的に女性が多いのかな。大半が山歩き目当てのグループのよう。こちらはひとりなので、周囲を屏風で囲った、囲炉裏の席に案内された。目を惹くのは前菜盛合せ。品書きによれば11品も並んでる。こりゃ呑兵衛には嬉しいね。まずは生ビールでスタート。

馬鈴薯マグロ酒盗和え、干し椎茸と貝柱アヒージョ、紅マス昆布〆なめろう、
蕗カラシ和えなどなど。

こりゃ、日本酒を頼まずにはおられない。リストを見ると、ご当地の酒ではないが、なかなか良い日本酒が並んでいる。利き酒セットを。

佐賀の光栄菊、高知の酔鯨、栃木のモダン仙禽。いやこりゃたまりません。

で、せっかくなので地元のお酒も。八鹿、吟醸。これはこれで良し。

大分は昔から日本酒もレベルが高い。

前菜だけでなく、次々運ばれる料理がどれも手が込んでいて美味しい。茶碗蒸しにはカラスミ入りの餡がかけられている。大根餅にはオマール味噌が添えられたり。そして溶岩焼き、ハーブ鶏と九重夢ポーク、どちらの肉もとても旨い。

溶岩焼き。
揚げたて天ぷらは、ウド若芽、ワカサギ、ハモ。

ところで、席は離れているものの、他のテーブルの声が大きい。女性を引率しているらしいオッサンの大声がうるさい。と、女将が挨拶に来た。すみません、騒がしくて、と。いつもは皆さん、山好きの方が多いので静かに食事を楽しまれるのですが、本当に久しぶりに山歩きができるようになって嬉しくてたまらないみたいなんです、ご容赦を、とおっしゃる。さらに、実は南柏にしばらく住んでおりました、とも。柏音頭、唄えるんですよ。と唄い出すではないですか。いや、心和みました。ひとりゆっくり最後の客になるまで楽しんだ。

デザートは大好物のスイカだった。

一服した後、またお風呂へ。これも独泉。贅沢だなあ。
翌朝は、最後にひとつ残った貸切、岩湯と男女入れ替わった大浴場。これまた、1人で貸切。

なぜか丸太が建てられた岩湯。
広さも作りも昨日と同じだが、冷泉の温度がこっちの方が少しだけ高めのように感じた。
大浴室の更衣室に貴重品入れがあった。年代物ですねえ。

そして、朝食もしみじみ美味しい内容だった。ひとりだから宿泊料も割高だったけど、全体的に及第点だなあと満足した。

ご飯と一緒に運ばれた味噌汁はタケノコなど具だくさんで美味しかった。

この日は、長者原から法華院温泉へ往復して、安心院へ向かった。途中、山の中の日帰り温泉へ寄ろうと向かったが、本日定休日。そこまで狭い道路を苦労して行っただけに、がっかり。しょうがないので、以前にも来たことがある安心院温泉センターへ。

入浴料300円。風呂には中学生がグループで来ていて、どうしたのかな、と思ったら、
宿へ行ったら、北九州市の中学校生徒らが体験学習に来ていると判明。

このあたりの田んぼはまだ田植えが終わったばかりか、これから、という段階。早めに田植えした田んぼに白い鳥がいた。

ダイサギ、だろうか。

さて、今夜の宿は一昨年泊まった舟板昔ばなしの家。いわゆる農泊の走り。お母さんがこのあたりの名物どじょうなどを美味しく食べさせてくれる。今回はちょっと勝手が違って、なにせ10名ほどの中学生を預かっているから、囲炉裏の前で少し酒でも吞んで待っていて、と昨日獲れたばかりという鹿の刺身をデンと置いていった。コンビニで買ってきたロング缶をやりながら、鹿をいただく。新鮮で美味しい。しばらくしたら、やっぱり一緒に食事だとお酒を吞みにくいよね、とこのまま夕食に突入。中学生の世話で手伝いに来ていた義理の弟さんも合流して、自家製どぶろくを呑み始めた。鹿肉を焼いたのもフライパンごと。

鹿刺身は柚子胡椒と醤油でいただく。
このどぶろくがいい出来で、実に旨い。これだけは仕上がってみないと出来は分からない。

この後、中学生らと一緒に作ったというヨモギ餅や、一緒に掘り出した小ぶりなジャガイモ、酢の物など運ばれ、19時過ぎ、向こうは娘に任せてきたからと、お母さんがやってきた。まずはご苦労様とビール。この前来たときはドジョウは焼いて食べたかと訊かれたので、そうだと答えると、じゃあ今夜は唐揚げにしようと、準備が始まった。

生け簀からあげてきたドジョウを、ボウルの中で赤ワイン漬けにする。これが味の決め手。
日本酒でやったこともあるが、味が物足りないそうだ。
揚げたての赤ワインドジョウ。旨味が凝縮されて美味しい。どんどん揚げてもらった。
小梅の塩漬け。これも酒の肴にはもってこい。

外が暗くなった頃、ホタルを見てくるといい、と言われ、すぐ近くの橋へ。おお、いるいる。たくさん飛び交っている。さすがに写真には撮れなかった。その後、中学生達が楽しんでいたキャンプファイアを冷やかし、遅くまで吞み続けた。客室は本当は囲炉裏の部屋の上なのだが、今夜は中学生がいるので、悪いが母屋で寝てくれと、いうことに。お仏壇の部屋で寝ることになるとは思いもよらず。

ふだん火など扱う機会はない子供達、おっかなびっくり。
もちろん、お仏壇にお詣りしてから、休ませてもらいました。

翌朝、周辺を散歩。田んぼが広がっている。

右端が囲炉裏の部屋。で、2階が宿泊用の部屋。
お母さんは今年83歳になる。娘さんが間もなく退職すると、後を継ぐとのこと。
その子供、すなわち孫も、いずれ宿を継ぐと言ってくれるそうだ。
庭の梅の木にはまだまだたくさんの実がなっていた。

朝食は大きな食堂で中学生らと一緒に食べることになった。卓球台もあり、昨夜お会いした義理の弟さんは学生時代卓球部だったそうで、子供らの相手をして大活躍だったとか。

卓球台。
シンプルな朝ご飯。もちろん味噌汁はあります。
子供らの朝食には、通常のおかずに加えて焼きそばが用意されていた。
食べないかと訊かれたが、さすがに遠慮した。

大分からの帰りの便は午前便なので、チェックアウトしてまっすぐ空港へ。宿の近くに仙の岩という名勝があった。

大巌寺という案内も出ていた。昔から山岳仏教の聖域だったと伝わるらしい。


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