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2022年11月 八丈富士&ヘゴの森

山仲間たちと八丈島へ出かけた。ぼくは12年ぶり。八丈島初めてのメンバーもいる。朝一便の羽田からの飛行機で到着後、レンタカーで早速、八丈富士登山へ。と言っても、七合目まで車で登れるのだが。

火口壁までずっと階段が整備されている。1段1段が少々高いので、脇のスロープを歩いた。

花は期待していなかったが、けっこうあれこれ咲いていて目を楽しませてくれた。

イズノシマダイモンジソウ。名前がいいねえ。内地のダイモンジソウに比べると、
毛が多いのだそうな。よく分からんかったけど。赤い葯がカワイイ。
登山道脇にずっとたくさん咲いていた。
ツワブキもちょうど花盛りで数は多かった。
そしてこれまた非常にたくさん咲いていたのは、ハチジョウアザミ。

ひたすら階段、というかその脇のスロープを登り続ける。振り返れば、海や空港が見える。

やっと半分だって。前に来た時も登ったが、軽い気分で往復した覚えがあって、
今回は山装備も簡単なもの。雨具と飲料水とお昼の食事程度。
滑走路に自家用ジェットだろうか、小型のジェット機が下りてきたが、
風向きが悪かったのか、タッチ&ゴーのように再度上昇していった。
もう一度やり直すんだろうな。
登山道脇に時々、季節外れのシチトウスミレが咲いていた。

さあもう一息で火口壁に登れるぞ。登るにつれ次第に霧が濃くなっていく。それと共に風も強くなっていく。

だらだら登り坂がずっと続く。

50分ほどで火口壁に着いた。今回、いつもの山仲間に加えて、友人のジュンさんも同行しているが、膝の具合がよくないので、お鉢巡りはパスして先に浅間神社の方へ下っていくことになった。残る4名はガスの中、山頂までお鉢巡りをする。

周りは真っ白で、とにかく風が強い。気をつけないと、足下の道標を見落とす。
ちょっとした洞窟みたいな所があった。
ハチジョウアキノキリンソウ。一応固有種みたい。
どんどん霧も濃くなっていく。
標高854m、山頂に到着。しかし、周囲の絶景はまったく見えない。
少し霧が晴れると、火口壁の内側の天然林が見えた。

我々が今朝の一番乗りだったようで、山頂から引き返すと、次々に後から来た人たちとすれ違った。

浅間神社への分岐まで戻ってきた。ここから火口の内側へ下っていく。
火口の内側は景色が一変する。
木の枝から苔がぶら下がっている。
池には水草が茂っている。八丈島は雨が多いエリア。登山道もぬかるみが多い。
でもその雨のおかげで豊かな植生が保たれている。

やがて浅間神社。鳥居が見えた。

なぜかドラえもんがペイントされた石が奉納されている。
鳥居の奥に、古木が生えていて、このあたりがご神体か、古い石の祠がいくつか。
で、その奥は絶壁で火口の深みに落ちていく。
神社の奥はこんな感じの絶壁。
神社から火口壁へ戻る途中、火口壁を見上げる。
火口壁の中には様々な苔が生えている。ジャゴケだろうか。

分岐点まで戻り、軽く昼ご飯。地元の小学生達が遠足で来ていて、お弁当タイムだった。

空港レストランの売店で残り1箱しか売っていなかった島寿司を買ったので、
5人でシェアした。黒いのは島海苔。
小学生達もお昼を食べていた。

さて、下山。

登山道の途中に戸が設置してある。ノヤギが増えた頃、侵入を防ぐために設けたらしい。
その後、駆除が進み、今はいないようだ。
下っていくと、空港と島の南東方面が見える。右手には八重根港も。

下山後、牧場に寄ってから、ヘゴの森を案内して下さる高橋さんの工房へ向かった。ジュンさんが以前取材したことがあり、そのご縁でお世話になった。ちなみに、ヘゴの森は公認ガイドなしでは勝手に入れない。すなわち有料のツアー限定。この森は、黄八丈の織り元が、染めの原料などの調達のために保有している森。貴重な植生を見学のために開放していらっしゃる。

八丈島が大好きで通い詰め、移住された高橋さん。現在は八丈砥石の制作販売、
木材加工などの他に、自然解説員としてツアーガイドもしておられる。
クマタケランの実が真っ赤になっていた。森の中にはランの仲間もたくさん生えている。
こんな看板が入口に立っている。
森の中に昔の上水道の水源があり、配管が地中に埋まっている。その目印の道標が
あちこちに埋められている。もちろん東京都の管理下にあった。
森の中をしばらく歩くと、ヘゴが現れた。八丈島が日本ではヘゴの北限とのこと。
高橋さんが地面からひょいと拾い上げたのは、アカハライモリ。たくさんいた。
森の中にはシダ類が数十種類生えている。これはリュウビンタイ。
だんだんヘゴが多くなってきた。まるでジュラシックパークみたい。
二股に幹が分かれているヘゴ。実は非常に珍しいそうだ。
高台からヘゴの密生地を見下ろす。
ヘゴの新芽は食用にもなる。
ヘゴの木肌のトゲトゲ。幹には気根がたくさん出て太くなっていく。
太いカズラが高いヘゴの上からぶら下がっていた。これなら橋でも作れそう。
左巻きのカタツムリ、ヒダリマキマイマイ。この種は左巻きなのだそう。外来種。
ヒカゲヘゴ。こちらは柔らかい毛に覆われている。
ヘゴの森に日が差し込んでくると、産毛が金色に輝いていた。
ウラジロ。シダの葉でじゃんけんができると高橋さんが教えてくれた。
ウラジロはチョキ、ヘゴはグー、そして5枚葉のナチシダがパー。

2時間ほどのヘゴの森ツアーは大変面白かった。森自体の魅力もさることながら、高橋さんの知識とこの森に対する愛情とリスペクトが、こちらにも十分に伝わってきて、より一層興味深く話を聴くことが出来たのだと思う。ありがとうございました。

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