見出し画像

2024年11月 西表島

ピーチのバーゲンでスタンダードクラスが安く買えた。いつもはザックひとつだが、今回はスーツケースも持参。座席も前の方の窓際。
で、外を見れば、いつも通ってる加計呂麻島がバッチリ見えて、嬉しくなった。

加計呂麻島がこんなにきれいに見えることも珍しい。勢里の集落も分かる。

今回は天気予報が悪い。雨はやむなし。でも暖かいからいいか。今朝、真っ暗な中、自宅を出た時の気温は5℃。到着地、石垣の予報では25℃。実に20℃の気温差!
石垣空港、雨とばかり思っていたが、幸い降っていなかった。離島ターミナル行き直行バスは荷物を待つ間に出てしまった。路線バスに乗る。
上原行きの船が欠航であることは、すでに朝の段階でチェック済み。安永観光のカウンターでチケットを買おうとすると、無料で白浜まで行くバスに接続する便は遅くなる。今からなら、14時発の八重山観光の船に乗れば、路線バスに接続すると、他社便を勧めてくれた。親切やなあ。

八重山観光のチケットを買うと、カウンターにこのような注意書きが置かれていた。実は今回の旅の主目的はひょんなことから種子取祭となった。

昼メシを食べようと、港近くの何度か行ったことのある喫茶店へ行くと、本日休み。あちゃ。しょうがないので、ターミナル内で八重山そば。待合室で文庫本を読んで過ごした。

八重山観光の双胴の高速船。大原港まで45分。

西表島に着くと、なんとこちらは晴れていた。びっくり。

今回は、滞在中はずっと雨の覚悟をしてきただけに、青空は思わぬ拾いもの。

バスは他に乗客なし。由布島で老年夫婦、その先でひとり、ふたりぐらいしか客はおらず。

上原が近づくと、海の向こうに鳩間島が見えてきた。本当はあそこへ行くつもりだったが、今回は竹富島の祭りをメインにしたため、また今度。
浦内川の橋を渡る。おお、新しい橋の工事が進んでるな。

大原港から1時間半、自宅を出たのが今朝5時20分、ちょうど12時間後に終点の白浜に着いた。

終点、白浜港。この先の船は明日乗るつもり。

今宵の宿は金城旅館。白浜へは何度か来たことがあるが、泊まるのは初めて。迎えてくれた女将さんは、あれ、今のバスで来たの? 運転手に金城旅館に泊まると言えば、この前で下ろしてくれたのに、と言う。

金城旅館の玄関先にはランなどの鉢がたくさん並んでいた。後で、女将さんが野生の花好きと聞いた。花の時期ならば、近くの花々を案内もしてもらえそう。
名前は旅館だが、実態は民宿。布団の上げ下ろしはセルフ、浴衣などもない。他に泊まり客はなく、一番いい部屋に案内された。1泊2食7000円。割と最近値上げしたようで、食堂片隅には6000円と書かれた貼り紙もあった。

シャワーを浴びて、すぐに夕食。

決して豪華ではないが、ちゃんと地のもの尽くしの夕食。カツオの煮魚には、オオタニワタリ、ダイコン、ニンジンの野菜。刺身はガーラ。山菜各種が嬉しい。オオタニワタリ、ヌメリのあるシダ、そして酸味のきいたシュウカイドウ。パパイヤのサラダ。

オリオンの麦職人という発泡酒を2本やりながら、一緒に食事する女将さんとおしゃべり。75歳という彼女はここ白浜の生まれ。昔は炭鉱で賑わって、白浜の町は石垣島以上に栄えていたという。今は人口100人あまり。
翌朝、雨は降ってない。が、いつ降ってもおかしくない空模様。

食堂の壁面あちこちに貝殻やサンゴがいっぱい飾ってある。
朝食はとても体に良さそうな内容。食後のコーヒーもセルフドリップで。

白浜に2泊することにしたのは、19年ぶりに船浮へ行こうと思ってのこと。ただ、雨だと、することがないなあ。ま、とにかく朝の船で船浮へ渡ろう。

8時45分の船浮行きの船に乗ったのは、他にもう一人だけ。白浜~船浮は1日5往復。
片道10分、船賃は往復960円。

まずはイダの浜へ行こう。

浜への道がきれいに整備されていて驚いた。昔来た時は、ジャングルの中をかき分けて歩いた覚えがある。大きな捕虫網を持った連中が船に同乗していて、蝶目当てのマニアが来る場所なのかと驚いたこともよく覚えている。雨のためか今回は蝶はほとんど見かけず。その代わり、いろいろな野鳥の鳴き声がうるさいほど響き渡っていた。
道の脇に水が湧いていた。ウイヌカー(上の川)。貴重な島の水源。
こんな整った道があるなんて。
クワズイモの大きな葉っぱ。
そして間もなく、海が見えた。
イダの浜。誰もいない浜。雨の心配さえなけば、半日ほどボーッとしていたかったが、案の定、パラパラ降り始めてきた。
浜には無数のサンゴの欠片がびっしり打ち上げられていた。

集落の側へ引き返し、うろつく。

集落の北外れに竹富町立船浮小中学校がある。ここはちゃんと小中両方が存続中。
枝を広げるカマドマのクバデサー(モモタマナ)の木。船浮生まれの絶世の美女カマドマと殿様の恋を歌った殿様節ゆかりの大木。

ちょいと一服するか。営業中のカフェがあった。山猫のテラス。19年前には店などなかったような気がする。

ふなっぺ、ふなうきのパフェ。自家製の黒糖アイスが美味しい。店のお母さんとおしゃべり。16年前に教員を退職後カフェを始めたという。今では他にも何軒か飲食店があるし、宿も4軒もあるそうだ。船浮も音楽祭ですっかり有名になったからなあ。その時には、石垣島からチャーター船で何百人もの人が来るそうな。
カフェ店内の壁一面に巨大な魚拓。これはお孫さんが中学くらいから釣り上げたものという。彼のお父さん、すなわちお母さんの息子はツアー会社をやっている。普通では行けない内離島炭鉱跡なども船から見て説明してくれるというので予約しようとしたけど、今日は貸切予約のため参加できず。
船浮のメインストリート。
帰りの船も他に1名だけ。
白浜港の待合室には、内離島の炭鉱の歴史がパネル展示してあった。

宿の近辺を散策。

竹富町立白浜小学校。中学校は近くの集落の中学に併合された。
学校脇の海人の家の物置に置かれているサバニ。5月のハーリー(海人祭)は有名。このサバニに魅せられた女性を紹介するNHKのドキュメンタリー番組を少し前に見た。

さて、そろそろ昼メシ時。歩いてすぐ、白浜そばが営業中。女将さんから、お昼はそこへ行くといい、と聞かされていた。

おしゃれな店内。クリスマスムード漂う。
軟骨ソーキそばと、お試しのヤギ汁小、生ビールを注文。ヤギ汁は期待以上に旨かった。骨付き肉が見えているが、中には内臓や各種部位があれこれたっぷり入っていた。

食後は、宿のすぐ隣、ナナシカフェへ行けと、これも女将の指示。素直に従う。

ナナシカフェ。店自体は通りから奥まった場所にあり分かりづらいが、この看板は目立つ。
窓際の席でドリップコーヒーをいただいたが、香りよく美味しいコーヒーだった。

宿へ戻り、早めにシャワー浴びて、近くの商店で買ってきた缶ビール飲みながら読書。女将さんが、今日は早めに夕食にしようかねと17時半スタート。今夜も刺身、鶏の唐揚げ甘酢あん、空心菜チャンプルー、サラダとバランスいい内容。
翌朝、6時50分発の安永観光のバスで大原港へ向かう。もちろん今日も上原便は欠航。上原~石垣島のチケットを買えば、大原港までのバス代は無料になる。朝食はおにぎりを用意してくれた。それを食べた後、6時半過ぎ、雨降る中、白浜港へ向かいバスを待つ。

白浜港でしばらく待っていたら女将さんから電話。商店前が始発だから、そこで待てと。伝えようとして、隣の自宅から宿へ行ったが、ぼくはもう出た後だったので、商店前を見てもいないから、わざわざ電話してきてくれた。その後、バスがやって来たら、雨の中、わざわざ傘を差して見送りに来てくれた。ありがとう、お母さん。また来るね。

安永観光のバスは路線バスとは違うルートを走る。途中で、星野リゾートの玄関前まで入っていった。

へええ、これが星野リゾートかあ。出来る前には島のあちこちで大反対運動が繰り広げられていたんだけどなあ。ぼく自身は決して今後とも泊まることはないが。

途中、上原港でチケットを買う。ここからは4、5名乗り込んできた。そして、大原港に着き、8時30分発の船で石垣島へ。そこから竹富島へ向かうのだ。

八重山観光の双胴船よりはずいぶん小さく見える安永観光の高速船。所要時間は同じく45分。


いいなと思ったら応援しよう!