納沙布岬を訪れたのは30年近くぶり。当時、雑誌に連載をお願いしていた根室在住の写真家Hさんが亡くなり弔問に訪れた時に、立ち寄って以来。ちょうどバスが到着したのか、徒歩で数名訪れる人たちがいた。LCCのピーチが釧路便を就航させた。遅ればせながら2泊3日で予約して釧路へ。レンタカーを借りて初日の宿泊地、厚岸へ向かった。厚岸の道の駅、コンキリエには、ミニ水族館があった。高台に立つコンキリエからは厚岸の町並みが見渡せた。厚岸湖と海をつなぐ水路に赤い橋が架かっているのが見えた。シーサイドホテルあっけしにチェックインし、すぐ近くの厚岸湖畔へ行くと、夕陽が湖面を染めていた。ホテルの夕食はビジネス客は牛丼、土地の味覚を食べたい人にはあれこれ。もちろんカキは欠かせない。生ガキ、焼きガキ。厚岸に泊まった目的のひとつは、厚岸ウィスキーを味わうこと。残念ながら買うことはできなかったが、ホテルで飲むことはできた。2018年に出た、NEW BORN FOUNDATIONの2と、同じく2019年の3。2種類をショットグラスで。2018年の2の方は、アイラモルトのようなピートが香る仕上がり。色は薄めだが好ましい香り。カキにはこちらの方がよく合うと思った。2019年の3の方は、ぐっと丸みを帯びて複雑な甘味が感じられる。ホテルのお姉さんはこっちの方が断然好きと言っていたが、分かる気がする。肴いらず、香りを楽しみながらちびちび舐めていたい。翌朝、5時半前に明るくなり始めた。厚岸湖に朝日が昇ると、小舟が次々湖へ出て行った。湖畔では早々に引き上げてきたカキを、殻から外す漁師がいた。朝日を浴びた厚岸大橋は晴れやかな姿を見せてくれた。大橋の袂では早朝から釣りをする人たちがいた。気温3℃ほど。この日、北海道内では石北峠なので初積雪が見られたとニュースで報じられた。大橋近くにはカモメがものすごくたくさん飛んでいた。鳴き声も賑やかで騒々しい。午前中は北太平洋シーサードラインをひた走る。最初に立ち寄ったのはあやめヶ原。夏には原生花園となる。広い園地には馬が放牧されているので、扉が何ヵ所にも設けられていた。こんな広々した場所で放牧されていたら馬も気持ちいいだろうな。白い馬の背後は厚岸小島。あやめヶ原を歩いていたら、鮮やかなクジャクチョウがいた。あやめヶ原の先端、チンベ展望台からは、大海原と入り組んだ岬の雄大な景色が楽しめた。琵琶瀬展望台からは霧多布湿原の中を蛇行する琵琶瀬川を見ることが出来る。こちらは霧多布湿原センター近くの湿原。センターにはもっと資料類が展示されているのかと思ったら、そうでもなくて肩透かし。霧多布岬展望台の向こうには海。右手にずっと太平洋を眺めながら北太平洋シーサードラインを走る。気持ちいいこと。落石岬へ行こうと思ったが、車を置いて徒歩25分という看板が立っていたので諦めて、遠望するに留めた。納沙布岬の沖には漁業監視船が航行中。背後の島はたぶん歯舞群島の一部。納沙布岬の小島にウミウだろうか、海鳥が多数群れていた。納沙布岬周辺の飲食店は軒並み休業中。1軒だけ営業していた岬の駅という食堂で昼食。トロサンマ丼1200円。サンマの刺身は半身どころか1/4ぐらいしか載っておらず。セコイなあ。花咲ガニ鉄砲汁はサービスだったけど。納沙布岬からは内陸部へ入り、屈斜路湖を目指す。道路脇はほとんどが牧場。紅葉の木々と牧草地を延々眺めつつドライブ。屈斜路湖畔のコタン温泉。湖畔の露天風呂は入浴料フリー。隣に女性用浴槽もあったけど、丸見えでは当然誰も入ってない。男性用はポツポツ訪れる人がいた。湖畔の紅葉を眺めながらいい湯加減の温泉に浸かるのは最高の気分。この日の宿は鶴居村のグリーンパークつるい。今夜は温泉目当て。温泉はモール泉。十勝周辺に多い。日帰り客も入れる大浴場と宿泊客専用のこぢんまりした浴場と2つあった。100%源泉掛け流し。いいお湯だった。宿のロビーにはタンチョウの絵。なんといっても、鶴居村、ですから。こちらのお宿では、夕食時に村から特産の料理1品とドリンク1杯をサービス。鹿肉ローストヤマワサビ添えと村特産ワイン「クロンヌルージュ」をチョイス。なかなか美味しかった。