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2022年10月 口永良部島

さて今日は口永良部島に行く予定だが、船は出るのだろうか。webサイトで確認すると、条件付き運航。まずは欠航でなくてよかった。宿をチェックアウトして向かったのは、白谷雲水峡。少しは屋久島っぽい所にも足を運んでおこう。

朝9時前というのに駐車場はすでにかなり埋まっていた。バスも1台来ていた。

当然、奥の方まで歩こうという方々は山支度で武装してるが、こっちは1時間くらい冷やかす程度なので、ジーンズにTシャツ、リュックも持たず。入口で協力金500円を支払う際にも言い訳のように、いや1時間くらいで戻るつもりなので、と言ってしまった。ガイドさんに案内される人たちも結構いる。

二代大杉。ここまでで折り返した。途中ですれ違ったお婆さん3人組はとても山道を歩けるような格好ではなかった。上には上がいる。
苔が美しいなあ。思わず深呼吸したくなる。
弥生杉へのルートを辿って一回り完了とした。ジャスト1時間。

帰り道、道路端にはあちこちに猿がいた。

宮之浦の町がよく見える。
おいおい、そこまで寛がなくてもいいんじゃないの。

今夜の宿は素泊まりなので、スーパーで夕食、朝食、焼酎などを買い物。地域クーポンが使えるので、ついでに昨夜美味しかった三岳原酒や島でしか買えない焼酎などを買って自宅へ宅配で送る。軽く昼メシを済ませて、給油後レンタカーを返却。港へ送ってもらった。2140円の船の切符を買い、2階へ。おや、一湊珈琲があるじゃないか。本日のコーヒーを飲んだが、さすがに美味しい。一湊の店舗は他の人に貸したらしい。目の前に口永良部島行きの船が入った。思ったより大きく新しい。

少し甘みもありとても好ましいコーヒーだった。
フェリー太陽IIは屋久島町営の船。

早速、乗船すると船内はピカピカ。よくよく見ると、昨年3月に就航したばかりだった。

桟敷席もきれいなので、安心して寝転がることができる。

出航すると、外へ出て屋久島の景色を楽しんだ。昨日、車で走ったあたりを眺めることができる。

永田浜の奥には宮之浦岳が聳えている。

やがて行手に口永良部島が近づいてきた。島の南側を回り込んでいく。いかにも火山の火口という感じの山は、古岳だろうか。回り込んでいくと、噴火の跡も生々しい新岳も見えてきた。

古岳。山腹に道路も見えるが、当然今は通れないはず。右手の方にも小さな火口らしきものも見えた。火山の島だなあ。
左手に見えてきたのが噴火した新岳。下の方の樹々は復活し始めているもののまだ焼けた痕跡も残っている。船の上でマスクをしていても硫黄の臭いがしてきた。

港には宿の車が迎えにきてくれていた。SeaKISS。ダイバー向けの素泊り宿。奥さんと赤ちゃんが出迎えてくれ、間もなくするとご主人の門田さんが、船の係累を手伝っていて、と現れた。島の宿を予約する時、多くの民宿から満室だと断られた。やっとこの宿で予約できたが、素泊りですけどと念を押され、目的を訊かれたので温泉に入りたいと言ったら、温泉巡りツアーやりますけどと言われたので、即座にお願いしていた。で、部屋に荷物を置いてすぐに出発。島の西側の方へ。もともと二つの島がくっついてできたそうで、こちら側は火山ではない。新村という集落は今は無住だが、奄美の人が入植し開拓したという。昔、薩摩藩から人が来て、その後奄美と沖縄からの入植が進んだという。道の脇に野生の鹿。野生のヤギも結構いる。

鹿やヤギは怖くないけど、野生の牛は巨大で恐ろしいとのこと。

山の上、電波塔の近くには真新しい避難所が立っていた。いつ火山が噴火してもおかしくないこの島では重要な施設だ。

避難所。定期的に避難訓練も行われている。

島内にいくつかあるヘリポートのひとつからは、硫黄島がよく見えた。

噴煙を上げる硫黄島。右には竹島、左には黒島も見える。

門田さんは2年前に島に移住したばかり。広島でデパートの仕事をしていたが、早期退職して、数多くの島を探し歩き、ここだと決めた。島に来るなら、大型免許や重機などの資格をとってこいと言われ、取得してきた。もうすぐ還暦だが島では若手。いろいろな仕事に駆り出されるそうで、これから向かう海辺へ向かうコンクリートの細い道は、光回線を敷いて舗装したが、その工事も数ヶ月やったという。

この道路工事と回線埋設の仕事をするため、2トントラックで何度もここを行き来したそうだ。

さて、いよいよ温泉。西之湯。この前の台風で建物が壊れてしまったそうだ。2つの浴槽の片側だけ、ブルーシートをかけてなんとか入れるようになっている。と、温泉に入ろうと門田さんの知人、といっても島中の人が知人ではあるが、がやってきた。一緒に海際まで降りる。

無惨な姿になっていた。
ここから降りる。
浴槽の左側に源泉が沸いている。高温のため、朝は熱いという。
ちょうど入りごろの湯温だった。少し硫黄の香りがする優しい湯。

一度、宿へ戻る。宿は港近くの本村という島で一番の集落。

SeaKISS。もともと民宿をやっていた人から買った。それなら民宿をやるかと始めたという。元々はダイビングの案内を生業とするつもりだったそうだ。それが2人のメインの仕事なので、食事までは作れないという。

近くの本村温泉へ歩いて出かけた。16時半、オープンすぐ後、入浴料350円。小学生が来てるはずと言われたが、誰もいない。窓の外は海。今は使われてないが露天風呂もある。お湯は鉄分が多い薄濁り湯。いい湯だ。

もとは薬草ガジュツの乾燥工場の跡に温泉浴舎が立っている。
西之湯のお湯に近い感じの成分。

湯上がり、さて、ビールでも飲んで晩メシにするか。部屋で食べるのも辛気臭いので、表のベンチでいただくことにした。風が気持ちいい。次第に黄昏ていく景色もまたご馳走なり。三岳の360mlペットボトルも呑みつつ。

野菜多めと意識して買ってきた晩メシ。

さあ、一服したら、夜の温泉ツアー。まず向かうのは湯向(ゆむぎ)温泉。暗くて細い夜道を慎重にドライブ。温泉には立派な小屋が立っていた。が、古くなり、間もなくすぐ向かいに新しい浴舎を作るそうだ。

これまでの温泉とはやや泉質が異なる感じ。右下に湯口があり、新鮮な温泉が出ていて、空気に触れると白い湯の花がたくさんできるようだ。
湯が流れ出す口からどんどん湯の花が流れ出していく。ものすごく気持ちのいいお湯。効き目もありそう。

湯上がり、ツアーのサービスという缶ビールを振る舞ってもらえた。プッハー。旨いなあ。さて、最後の温泉、寝待温泉へ向かおう。ここは、昔、湯治小屋が立ち並んでいたという。道の突き当たりまで行くと、鹿が1頭、魚網に角を絡ませて身動き取れなくなっていた。

助けてやりたかったが、下手に近づくと、刺されたり、蹴られたりしかねないので、何もできず。

車のライトを消すと、頭上には久しぶりの満天の星だった。ここは、町役場からは近づいてはならぬと言われてる。台風などの被害で浴舎がいつ崩れてもおかしくない。まさに自己責任。ただ、お湯は抜群にいい。湧き出す湯は飲泉は不可だが、口をゆすぐと歯槽膿漏も治り、浸かればアトピーや外傷なども治るそう。ふだんはかなり高音になるそうだが、適温だった。

もちろん、口を何度か、ゆすいだ。
島の皆さんがきれいに掃除をしてお守りをされている。

いやあ、素晴らしい温泉ばかり。本村以外はツアー料金5000円に含まれるから、と払ってないが、200円。大満足の口永良部島温泉巡りであった。

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