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2023年9月 宗像大島から博多へ
昔から宗像大社は気になっていた。宗像大社の末社が千葉県内に何ヵ所もある。予習がてら訪れたいと思っていたが、バタバタして行けずじまい。帰ってきてから復習として詣るつもり。
朝イチのピーチで成田から福岡空港へ飛び、博多駅を経由して東郷駅へ、駅前からバスで宗像大社辺津宮まで辿り着いた。
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このような木の座席でお洒落。さすがJR九州の車両はセンスがいいなあ。
宗像大社とは、ここ辺津宮(へつぐう)、この後渡る宗像大島の中津宮(なかつぐう)、そして神宿る島沖ノ島の沖津宮(おきつぐう)、3社の総称であり、全体が2017年に世界遺産に認定されている。まあ一般的に宗像大社といえば、辺津宮を指すようではあるが。いずれにせよ、辺津宮はさすがに大きく立派な構えである。
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境内脇にお宝を展示する神宝館に行ってみれば、さすがに国宝のオンパレード。多くは、一般には立入出来ない沖ノ島で発掘調査された時に出土した。燦然と輝く金の指輪、ガラス製品の数々、日本最古の彩釉陶器などなど。
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社前の真新しいカフェで、簡単な昼メシを済ませ、バスで神湊(こうのみなと)波止場へ向かった。
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港を出るとすぐ、行く手に冒頭の写真のように大島が大きく横たわっている。
宗像大島(正式には筑前大島、しかし通称の方が一般的)を訪れる観光客はほとんどが電動自転車を借りて、島内を回る。が、この日も気温は30℃をはるかに超える夏日。事前にレンタカーを予約しておいた。波止場に幟を立てて、軽自動車がエンジンをかけ冷房を効かせて待っていてくれた。3時間3500円、ガソリン代込み。
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交流館で島の概要を押さえた上で、中津宮へ向かう。本当は海際から長い石段を登って参拝するのだろうが、駐車場は拝殿の裏手高台にある。
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次に向かったのは、島の北側に立つ宗像大社沖津宮遙拝所。
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拝殿の裏側に回って、海の彼方を眺めてみたが、残念ながら、水平線は霞んでいて、沖ノ島の島影を確認することは出来なかった。
若い女性が2人連れで自転車で急坂を登っていく。ご苦労さんと呟きながら、車ですいすい先へ急ぐ。島の最高所、御嶽山展望台。展望台から高台に登ると、御嶽神社が祀られている。
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坂を下り、次に向かったのは風車展望所。島内はトンビが非常に多い。
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この高台で海を見ていたら、あれ、沖ノ島が見える。気のせいじゃないぞ。思わず拝んでしまった。でも、しばらくしたら、また霞んで見えなくなった。
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さらに西へ向かい、灯台を見て、西海岸津和瀬と回り、最後に集落を過ぎて東海岸へ。加代海岸という景勝地。
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島内を完全に一回りしてしまったからすることはない。早めに車を返却して、宿へ向かう。
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部屋はふすま仕切りの鍵もついていない和室。エアコンだけはちゃんと機能しているので助かる。名前や住所など書いたら、女将が息子さんが柏に住んでると言う。まずは風呂で汗を流した。テレビで大相撲を見ていると、旦那が夕食の用意ができたと言う。あれ、さっき女将は18時半と言ってたのに。ただ、もう作ってしまったんだろうから、しゃないなあ。この旦那、およそ接客業には向いてないタイプ。自分の都合だけで動いてると見受けられた。客の都合なんてどこふく風。奥さんともコミュニケーションなしという感じ。
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右側1列は完全に市販品。しかも一番下は何?と聞いたらタコと返されたがツブ貝だし。
島の宿だから食事はいいのかなと期待した自分が馬鹿だった。
外へ飲みに行くかと、島内の店を訊ねたら、最近の若い漁師達は酒を吞まないから、昔やっていたスナックもみな店じまいしたという。酒でも買いに行こうかと商店を訊いたら、夕方までしかやってないと。Google Mapには一応、21時までと出てる店があったので、念のため外へ出てみたが、確かに店はすべて閉店していた。自販機で缶ビールを買って帰った。
翌日、いつも通り早く目が覚め、散歩に出かけた。
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そういえば、朝食の時間を聞いてなかった。7時半頃、朝ご飯は何時ですかと、旦那に訊いたら、8時でしょ、と向こうから言われ、そんなこと言ってないよ、今から出してと催促した。いったい、この宿、時間管理はどうなってんのや。めちゃくちゃやおまへんか。呆れて物も言えない。船が出るのは10時15分、9時半には宿を出た。港へ向かっていたら、向こうから宿の女将が歩いてきた。喫茶店をやってるのだそうで、旦那が愛想なくてゴメンね、と笑っていた。
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神湊港からは来た時と同じように東郷駅へバスで向かうつもりだったが、
ちょうど入ってきたバスは少し博多よりの福間駅行きだったので、乗り込んだ。
昼前に博多駅到着。今日の宿は駅の筑紫口側にあるアパホテル。博多駅周辺には5、6軒ものアパがあると後で聞いて驚いた。チェックインはまだできないが、荷物を預けてきた。
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今日はとりたてて用事もない。能古島へ久しぶりに行ってみようかと思っていたが、蒸し暑いし、図書館で涼むことにした。で、この春に連絡先を教えてもらった学生時代の友人(ずいぶん昔に音信不通になっていた)がいるのだが、事前に何度か電話やメッセージをしてみたが、反応ナシ。ダメモトで、地下鉄を降りてから、電話してみたら、なんと繋がった。今日はたまたま仕事が休みという。突然で悪いけど、一杯やろうよと誘うと、夕方に博多駅で待ち合わせすることになった。
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遅めの昼メシは、図書館からあるいてすぐの酒屋で角打ち。
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一度、ホテルに戻り、チェックイン。大相撲を見て、17時前に待ち合わせ場所へ向かった。筑紫口の新幹線改札前が指定場所。17時半になっても現れないので、電話したら、悪い悪い、すぐ行くと。結局、1時間待たされたが、昼寝していて寝坊したという。まあ、昔からそんなヤツだったわ。彼に最後にあったのは、共通の友人の葬式。30年前のこと。それ以来だったが、現れた瞬間、すぐに互いに分かった。お互い歳はとったけど、変わらんね。ぼくたちは京都で学生時代を過ごしたが、彼は実家へ戻って家業を継いだ。遠洋漁業の卸元だったが、当然、ずいぶん昔に廃業したが、その後は不動産業をずっとやっていて未だに現役。昨夜は取引先と遅くまで吞んでいたと。タクシーで中州の高級寿司屋へ。水産業時代からの古い付き合いだそうな。少し飲み食いした後は、歩いてすぐのこれまた安くはなさそうな会員制クラブへ。ここのおねえさん達に、たまたま昨夜学生時代の話を聞かせたんだそうで、彼女らは、えー、昨日の話の人が来たの、とびっくりしていた。互いの近況や昔ばなしなどして、今度、京都でライブをやる時には必ず行くからと言われて、別れた。
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最終日、早朝から博多はどしゃぶりの大雨。時折雷も鳴っている。朝メシは付けていなかったので、すぐ近くのコンビニへ買い物に出たが、それだけでジーンズが濡れてしまうほど。チェックアウトした9時半頃、ようやく雨は上がっていた。
明太子のふくさやがやってる博多の食と文化の博物館ハクハクへ。こりゃ最悪だった。300円の入場料が必要。最近は工場見学を有料にしてる所もあるが、その場合はたいがい土産付きだが、ここは単なる工場見学に加えて、博多祇園祭などの資料が少し展示してあるだけで土産もナシ。あの内容なら無料見学が妥当でしょ。駅から15分以上も歩いたのに、サイテー。今後ふくさやの明太子は買わないぞ。雨に降られなかっただけ不幸中の幸い。
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博多駅経由で地下鉄六本松へ。
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まあ、これに乗る機会は絶対にないだろうなあ。
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六本松駅で下車して地上へ上がれば、すぐ目の前のビルの中に福岡市立科学館がある。今日も暑いので、ここで涼む予定にしていた。おまけに地下鉄1日券で入場料が割引きにもなる。
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さて14時過ぎ、遅めの昼メシ。六本松駅から近く、昼吞みできる店を調べてある。昼吞酒場岩瀬串店。一度、通り過ぎてしまうほど、狭い路地の奥にあった。店内はガラガラかと思いきや、大繁盛。Uの字カウンターの奥の方に、なんとかひとり潜り込ませてもらった。お客は大半が女性、これにもビックリ。ジイサン1名、カップル1組、女性3人に男1人、あとはすべて女性。一人客、3人連れが2組。後で3人組さらにもう1組。すごい店やなあ。
注文はビール大瓶。おでん。店の名物牛串、今日はシマチョウ。
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カツオたたきは大盛り。福岡の日本酒を。隣の女性に訊いたら、女の人は夜は出かけづらいから、昼がいいのよ、と。へえ。皆さん、巨大なジョッキ、ここではメガと呼ばれていたが、それで様々に割られた焼酎を飲んでおられた。楽しくて居心地がいい店だった。
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早めに空港へ行き、カード会員向けラウンジで缶ビールを1本もらって休憩。90分前にWEBチェックインして、手荷物検査を済ませ、何度か寄ったことがある立ち飲み屋で最後の仕上げ。
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2杯目のドリンクは佐賀の銘酒東一、追加つまみは鶏レバ。
宗像大社の地力をまざまざと感じさせてもらえた旅だった。て言っても、吞んでばかりだったけど。ま、いつものことか。