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201706  北の果ての離島で野生の貴重な花を愛でる

 山の花を求めていつも一緒に出かける花見仲間と、2016年の大遠征は礼文島と決めた。5年前の7月にも礼文、利尻と回ったが、今度はレブンアツモリソウ狙いで6月初旬とした。


 効率優先で前回同様、金曜夜に札幌まで飛んで、夜行バスで稚内へ。朝一番のフェリーで礼文島を目指す。利尻富士が次第に大きくなり、8時過ぎ、礼文島香深(かふか)港に到着した。


 5年前に泊まった民宿知床は料理が美味しくて好印象だったが、1年前に廃業していた。今回の宿は同じエリアの民宿はまなす。送迎車に余分な荷を預けて、本日の歩行開始地点、香深井(かふかい)まで送ってもらう。車を運転する宿のスタッフはさすがに島内の花事情には詳しくて、ホテイアツモリソウが咲いていることなど教えてもらった。


 本日の行程は、礼文林道から礼文滝へ入り、再び礼文林道を桃岩コースまで辿り、最後は民宿のある知床地区へと抜ける礼文島の南部縦断コース。さて、いざ出発。青空に初夏の日差しがまぶしい。林道の両脇は萌える新緑。そして、目を足下にやれば、可憐な花々。マイヅルソウ、オオバナノエンレイソウ、イワベンケイ、ハクサンチドリ…。夢中になって写真を撮る。


 礼文滝への分岐を右折。この先で自生のレブンアツモリソウが見られるとの情報を予習してきた。旅行者は島の北部にある保護区域で観察するのが一般的。が、そこは管理された植物園。そうではなく自然に生えている花を見たい。行く手に海が見える場所に出た。このあたりのはずと慎重に探す。レブンウスユキソウが咲いている。その先に、レブンアツモリソウを発見。あちらにも咲いている。この色合い、薄いクリーム色。ぽってり花をぶら下げる様子が何とも可愛い。見惚れる。


 近辺にトチナイソウという絶滅危惧種が咲いているのではないかと期待してきたがこちらは発見できず。しかし、自生のレブンアツモリソウを見られて大感激。ミヤマオダマキ、エゾノハクサンイチゲなども花盛り。礼文林道へ戻り、利尻富士を行く手に眺めながら桃岩方面へ。


 桃岩展望台コースに出ると、観光バスの団体客が大勢歩いている。皆さんは展望台で引き返すので、その先は再び静かなハイキングルート。レブンハナシノブ、レブンコザクラなど礼文の名前が冠された花も目を楽しませてくれる。そしてぜひ見たかったサクラソウモドキも見つけた。いきのいいクロユリにも出逢えたし、もう気分は最高。


 昨晩羽田を出てからずっと移動に次ぐ移動、長い長い移動を終えて民宿はまなすに着いたのは16時半。お風呂に入り、ビールで乾杯。夕食は海の幸がずらり。ウニ、イカ、ホッケ、ホタテ、カニ…。ビールの後は島の特産、昆布焼酎を飲んだ。宿の人に夕陽がきれいと教えられ外に出ると、利尻富士が赤く染まっていった。食後も部屋で飲み続け、夜中には天文好きメンバーの解説付きで星一杯の夜空を鑑賞。


 翌朝、宿は山小屋かと思うほど早くからざわついていた。朝食も6時半から。7時過ぎには港のレンタカー屋に送ってもらえた。午後、フェリーの出発まで島の北部を回る予定。まずは、昨日教えてもらったホテイアツモリソウが咲く場所へ。道路脇のすごく目立つ場所に、柵で囲われて赤紫色の花をたくさんつけていた。これだけ目立てば盗掘もされないのかもしれない。


 レブンアツモリソウは、保護区のすぐ近くにも自生地があった。先客が群がっていたのですぐに分かった。立ち入り禁止のロープこそ張られていたが、間近に近寄って撮影できるのがありがたい。サクラソウモドキの見栄えのいい花も見ることができた。こうして、実に大満足の花見旅となった。

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