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2024年7月 18きっぷ旅、福島から岩手へ

今年も夏が来たら、18きっぷだ! さて、どこへ行こうかな。まず決めたのは肘折温泉。ただし、我が家から新庄まで乗り継ぐと、早めの時間に宿には入れない。で、途中で1泊することに。あれこれ探して、磐城守山温泉に決めた。ところが、山形方面の大雨災害。新庄界隈の鉄道路線はしばらく不通。宿にも連絡したが、肘折は機会を改めることに。
で、まずは常磐線で水戸へ。

土浦あたりからレンコン畑が目立つようになる。ちょうど白い花も咲いている。

水戸から水郡線。山方宿で途中下車。

水戸から2両編成の列車で山方宿まで来た。

駅前に頼んでおいた迎えの車がいない。少し待っていると、軽自動車がやってきて、厨房からやってきたのか、三角巾を被った初老の女性が乗るようにという。てっきり宿のマイクロバスが来るとばかり思っていたので、驚いた。しかもその方の自家用車っぽい。向かうのは湯の澤鉱泉。電話で送迎を確認した時に、入浴料1000円に送迎料600円の日帰りプランでいいですかと言われていた。たぶんお上にばれたらヤバイ送迎ではないかしら。
宿に着き、支払いを済ませると、食事室に案内された。他にも数組の日帰り客がいた。まずは、温泉。

秘湯を守る会の提灯が下がる玄関。
この時の男湯は岩風呂。もうひとつは檜風呂で、男女日替わりに使うようだ。吹き抜けの屋根裏には太い梁が走っている。
冷泉を加熱しているようだった。素直な湯で気持ちいい。

一人きりで独泉の贅沢。湯上がり、食事室でどうしようかな。あまりは腹も減ってないので、ビールとゴボウ揚げサラダ。

昼は軽めに済ませておいた。

帰りは女将さんが駅まで送ってくれた。お盆はお客さんも多くて忙しいらしい。あと忙しいのは春と秋。風呂の外には紅葉があったから、秋はきれいだろうな。
郡山行きの列車は、なんと5両編成でやって来た。が、後ろ4両は常陸大子まで。

安っぽい造りだけど、なんとかがんばって造ったのであろう山方宿駅。
途中、土砂降りの雨になった。
ますます激しく降り出した。ヤバイ。
常陸大子駅で後部車両切り離し。マニアっぽい方々は雨の中、撮影に出て行った。

そして、磐城守山駅で下車。雨はとっくに終わっていて、晴れ上がっている。

日が差して暑そうに見えるかもしれないが、日陰は風が吹き抜けて涼しくてビックリ。

実は宿に伝えた到着時間が、終点の郡山着の時間だった。風が気持ちいいので、10数分、駅前の日陰でぼんやり迎えを待っていた。やがてやってきた宿のご主人は、おかしいなと思ったんですよ、と笑う。それなら、電話してくれれば早く来たのに、とも。ま、いいじゃないですか、暑くはなかったんだから。訊けば、福島県内、猛暑のイメージが強いが、暑いのは福島市と盆地になっている会津方面なのだそうな。このあたりは、猛暑まではいかない、東日本大震災前は夏でも夜はエアコンいらなかったんだけど、最近は少し暑くなったとのこと。

部屋は2階。ちゃんとエアコンも付いている。1泊2食7000円。
宿の外は田んぼ。周りにはこれといって何もない。突然、温泉宿が現れる感じ。
庭にはキウイやブドウの棚が作ってあった。

さて、まずは温泉。他の部屋は、どうも仕事で泊まってる人たちらしい。

お湯はラジウム鉱泉。湯あたりが柔らかい。
これ、廊下の上の方に掲げてあるんだけど、両サイドの戸を開けっぱなしにしてあるから、ツバメも屋内に出入り自由なんだね。軒下や玄関に入ったたたきに巣があるのは見たことあるけど、廊下に巣があるのは初めて見た。

風呂上がり、部屋はエアコンが動いてるので涼しいが、窓を開けても涼しい風が入ってくる。へええ。いいねえ。オリンピックなど見ているうちに、夕食時間。1階の個室で一人用の膳がセットされていた。

刺身は正直イマイチだったが、野菜はどれも美味しかった。とくにビールと一緒に運ばれてきた枝豆はめっちゃ旨かった。1泊2食7000円を考えれば、よしとすべきだな。

ビールとお銚子ひや1本をもらって、ゆっくりいただいた。

夕焼け空が美しい。この時間帯になると、もうエアコンは不要。網戸にして外の空気を取り入れた方が気持ちいい。

夜にもう一度温泉に入り、オリンピックを見て、持参した缶酎ハイを飲んで………。寝る時も網戸で。夜中にちょっと寒くて、窓を閉めたほど。
翌朝も涼しくて快適。朝風呂後も、汗はかかずにすっきり。

朝ご飯。やはり野菜が美味しい。昨夜はスイカが塩まみれだったが、今朝はトマトが塩まみれ。ま、塩分補給と思っておこう。

今朝は須賀川駅へ送ってもらった。車中聞いた話によれば、70年ほど前、農家の分家する際に、田んぼを掘ったところ白い水が出て、調べたら温泉成分と分かり、本来なら本家となってあとを継ぐべき長男が商売に向いてそうだと温泉宿を始めたのだそうな。農業は弟が継いだという。現当主から4代前の話。コロナの時に大変苦労して、それ以降、仕事のお客さんを増やすようにしたという。
須賀川駅前には、須賀川市はM78星雲光の国と姉妹都市になりました、と大きな看板。そしてウルトラマン像。何かと思ったら、円谷英二さんの故郷だという。へえええ。

カッコいいウルトラマン像だなあ。

余裕をもって送ってもらったので、待合室で一服し、改札を入ったら、ちょうど列車がやってきて、思わず乗ってしまった。あれ、時間が早い、おかしいと思った時には手遅れ。逆向きの列車だった。郡山へ行かなくてはならないのに、新白河行きだった。こんなことは初めてだ。ボケたかなあ。次の鏡石駅で降りて、30分ほど待った。結果的に、予定より宿に入るのは1時間ほど遅れそう。今夜の宿は、結局、大沢温泉の湯治屋にあらかじめ変更してある。花巻まで行くのだ。

鏡石駅。駅舎は産直売り場のようになっていた。開店前だったけど。

東北本線は、鈍行で行く時は、何度も乗り継ぎが必要。郡山、福島、白石、そして昼過ぎに仙台。

朝、しっかりご飯を食べたのでお腹は空かない。昼メシ代わりにアイス。

仙台から小牛田、一ノ関、そしてようやく15時31分、花巻駅に到着。大沢温泉方面へは無料送迎バスもあるが、1時間待つ必要がある。その前に有料ではあるが、路線バスが16時に出るので、それに乗った。

花巻駅前には、花巻市博物館で開催中のアニメージュとジブリ展の大看板。大沢温泉菊水舘でももうひとつの鈴木敏夫とジブリ展開催中。この夏の花巻はジブリ一色みたい。あまり興味ないけど。
路線バスで山へ向かう。30分弱で大沢温泉。

一人で大沢温泉へ来るときはもっぱら湯治屋。温泉は一通り入れるし、それで安いし、食事も自由に選べるし。ただ、難点がひとつ。部屋にエアコンがない。有料で扇風機は借りられる。

網戸から風は一応入ってくる。が、昨日の磐城守山温泉ほど涼しくはない。夜になったら涼しくなるかなあ。
湯治屋の建物はすべて木造。たまにはこういう部屋もいいね。落ち着く。暑いのだけが難点。

ま、とりあえず、温泉へ。ここはお風呂の撮影禁止を非常に強く謳っているので撮影はパス。

階段を下った先に混浴露天風呂。混浴といっても、夜の1時間、女性専用タイムがあるので、それ以外に女性を見かけたことはないと思う。また、女性専用の露天風呂も別にあるし。露天風呂は川沿いで、熱め、ぬるめと両サイドに表示されているが、ぬるめでもやや熱い。さらにこの時期はアブが飛んでいて、上半身出していると濡れた体にまとわりついてくる。なので、長湯は無用、早々に退散。
宿の裏手を流れる豊沢川。露天風呂も川に面している。

露天風呂の後、山水閣の風呂にも入ったが、お湯は濃い感じがしていいのだが、やはりここも熱い。風呂上がりは、扇風機では体はちょっと冷やしきらない。蒸し暑く感じる。
湯治屋の食事処、やはぎは、居酒屋としても使える店。今夜はあらかじめやはぎ定食を組み入れた宿泊プランにしてある。

素泊まりと利用したプランの差額が定食代とすれば、千数百円でこの内容は上等。とりわけ、刺身はレベル高くて驚いた。タイも美味い、マグロは中トロだし、カツオもいい。汁は名物のひっつみ汁。茶碗蒸しは夏場は冷たくしてあると説明された。
生ビールの後は一の蔵冷酒。いいねえ。

食後、ゆっくり過ごして、また温泉へ。露天風呂、まだ少々熱い。薬師風呂へ行く。ここのぬる湯が、一番好きなのだ。

階段を下りた先に薬師風呂男湯。浴槽がふたつ、右手がぬる湯、左があつ湯。が、ぬる湯もいつもほどぬるく感じられず。日によっても、時間帯によっても変わるからやむなし。

夜が更けてきたら、ようやく部屋に入る風が涼しくなった。一息つける。軽く寝酒を吞みつつ、オリンピック観戦。夜中に、寒く感じて、障子を閉めた。
翌朝、5時過ぎ起床。露天風呂は5時からだが、混んでるのはいやなので、5時半を回ってから出かけた。お、誰もいない。独泉。しかも、昨日より温度が下がって、いい案配。アブもおらず。ゆっくり寛がせてもらった。薬師湯へハシゴ。こっちも湯加減よし。

共同の炊事場。自炊する人はどのくらいいるのかしら。食堂でご飯とみそ汁だけ頼むこともできる。
いかにも湯治場の風情。4、5名のグループで来ている人たちも多い。

7時半から朝食。少し前に行ってみたら、もう食事を終えてる人たちがいた。

納豆はオプションで110円。朝食自体は800円。ちなみにペイペイで支払いができる。朝食は前の宿の方がよかったなあ。

帰りは10時前の無料バスを予約していたけど、8時27分発の路線バスで帰ることにした。精算を済ませて、帳場横のテレビで朝ドラを観て、宿を出る。

湯治屋の玄関前の様子。バイクで来た人もいるようだった。
新鉛温泉方面からやってきたバスには数人しか乗っていなかった。

花巻駅に9時前に到着。30分ほど余裕があるので、駅前のLIT WORK SPACEに立ち寄る。ここはブリュワリー、夕方以降は2階でクラフトビールを飲める。1階にはパン屋があるので、土産に買い求め、コーヒーを店内で飲む。奥の醸造タンクの向こうではスタッフ達が打合せ中だった。

小ロットでビールを仕込んでいて、以前飲んだこともあ美味しかった美味しかったことを覚えている。ちなみに、コーヒーも美味しい。

さて、帰路は仙台までは同じ。その先は常磐線経由で乗り継ぐ。

花巻駅は東京から500キロ。今朝は間違っても逆方向には行かないぞ。
一ノ関駅になぜかピカチュウ。
常磐線沿線、駅前に祭りの櫓を組んでいた。

原ノ町から一気に水戸まで。3時間あまり。17時21分水戸着。ここで途中下車。駅ビル内に常陸野ブルーイングの店があり、美味しいクラフトビールを吞んだことがあるが、貧乏鈍行旅の締めくくりに相応しいのは、やはり大衆酒場。というわけで駅前のもつ焼きまるいちへ。入ると、すでに多くの席が埋まっていて、予約ですかと問われた。いいえ、と答えると、この後予約が入っているので、1時間ぐらいでいいならと。ちょうどこっちもそのくらいしか時間はない。思った以上に人気店だった。

この店を選んだ理由のひとつは、メニューにハーフサイズがあったこと。これは、ハツスタミナ漬けとガツ酢のハーフ。あとはガーリックポテサラハーフ。お味もよろしい。生はハートランド。
焼き物も1本からオーダー可。レバ、シロ、テッポウ。どれも旨し。串はさらに、ハラミ、カシラ、タンスジモト、肉巻き生姜。カブ酢味噌もよし。ハイボール2杯吞んで満足。

今回も、充実した鈍行汽車旅。持参した文庫本2冊読了。ポールオースターの新作新潮文庫、もう1冊は古本でカノン。中原清一郎こと外岡秀俊の小説。学生時代に発表した北帰行で文藝賞受賞した外岡は、小説家にならず朝日新聞に入社し、記者として活躍、社長になる可能性もあったとか、いずれにせよ数年前に亡くなっていたとは知らなかった。しかもその前に早期退職して、小説を何作か出していたと最近知って、ネットで買い求めたが、面白かった。
行きそびれた肘折温泉へは、次の機会には数泊滞在して、それこそ本読み湯治をしたい。

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