2021年12月 西表島1 イリオモテヤマネコの島
西表島へ来たのは16年ぶり。石垣の離島ターミナルから、竹富島、黒島などを眺めながら、西表島大原港へ。双胴船は快適だった。
レンタカーを手配してあったが、12時から。まだ10時にもなっていない。港から近いので、とりあえずレンタカー店に行ってみた。小さなプレハブ、鍵がかかってる。電話すると、前倒しで貸すのは無理、という。じゃあ、荷物を預かってと言うと、もう少ししたら帰るから待てという。お客さんを連れて帰ったお兄さんに荷物を預けて、近くにあった貸し自転車の店へ。2時間借りることにした。仲間川展望所まで行きたいと言うと、それならマウンテンバイクがいいとのこと。早速、出発。仲間橋を渡ると、マングローブクルーズへ向かう船が3艘いた。カヌーを練習している学生たちもいる。今は修学旅行が多いようだ。
橋を渡って、集落の先をサトウキビ畑の中、林道入り口目指す。レンタカー進入禁止の看板。その先は未舗装路。アップダウンが思いの外ある。さらに、フェンスで通行止め。自転車は脇をなんとかパスできた。
しばらく走って、自転車を停めてジャングルの写真を撮っていたら、足下の岩にきれいな緑色のトカゲ。シッポがやけに長い。サキシマカナヘビという種類らしく、絶滅危惧種みたい。貴重なものを見られた。
そこからきつい上り下り、深い水たまりなど避けつつ、林道に入って30分後にようやく展望所へ到着。階段を登ると、おお、絶景。
途中で歩いてる人を抜いたが、その人が階段を登ってきた。手前にレンタカーを置いて歩いてきたらしい。結果的にマウンテンバイクは大正解だったようだ。
マングローブ林の眺めを堪能して、帰路につく。そのまままっすぐ道を進むと、西表島横断道路となるようだった。林道入り口には墓地があり、開拓者の方々のお墓があった。
帰り道、サトウキビ畑の手前にシラサギがいた。
サトウキビ畑は刈り取りが始まる季節。
町の中へ戻ると、不思議なものを見かけた。ゴミ箱にこんな札がかけてある。何がないんだろうか??
自転車を予定通り返して、まだ11時半。レンタカー屋の前のキッチンまつやまで昼メシにした。店内で食べてもいい日替わり弁当。500円。なかなか美味しい。自転車でかなりエネルギー消費したから一層かも。
で、予定通りレンタカーを借りた。軽自動車。例年なら12月になるとヒマになるのだけど、車はすべて出払ってる、と忙しそう。修学旅行も12月にはほとんどいなくなるはずなんだけど、とも。自分も含めてだが、みなさん、行ける時に旅に出ておこうと考えてるに違いない。さあ、車を海岸線に沿って走らせる。車をサキシマスオウ群落、という標識の場所で停める。歩行路をゆくと、マングローブやサキシマスオウが間近で見られる。
道路沿いには、イリオモテヤマネコ注意の標識がたくさん立っている。夜行性の動物だから、たぶんお目にかかることはないでしょう。それより、車を借りる時に、今日はおまわりさんが大勢乗り込んできたから、スピード取り締まりやってると思うから、くれぐれも注意してと言われたことの方が気になっている。集落内は制限速度30㎞、他は40㎞。プラス10㎞をオーバーしないように慎重に走る。
島の北側に出て、ピナイサーラの滝を遠望する所で停車。イリオモテヤマネコの像がお出迎え。
逆光で滝はかすかにしか見えない。
今夜泊まる上原の町を通り過ぎ、島の西岸、道路の行き着く先、白浜まで走った。うまくすれば、船浮行きの船に乗れるかも、と期待していたが、無情にも目の前で出て行った。
ま、しかたない。16年前に渡ってるから、いいか。本当は今回は船浮に泊まりたくて2軒の宿に電話したが、どちらも断られたのだ。縁がなかったんだな。白浜小中学校の校門にはクリスマス看板。
その脇の公民館は今は宿もやってるようだが、昔からの刳舟を飾ってあった。
上原方面へ引き返す。祖納(そない)の沖に小さな島が浮かんでいる。まるまぼんさん岩。その唄の歌碑が立っていた。碑の上の鳥はイソヒヨドリか。
祖納海岸に咲いていたのはテイキンザクラ。
祖納の集落に保存されている新盛家住宅。周囲にはサンゴの石垣が巡らされている。
その庭に紫色の花がたくさん。リュウキュウコスミレ。
祖納集落を後にすると、道端に子午線モニュメント。ちょうどここが、東経123度45分6.789秒、なのだという。誰が気づいたんだろうか。
隣の集落は、干立(ほしだて、星立とも)。古い町並みが残り、伝統的行事なども伝えられている。
浦内川でボートに乗る時間はないが、ウタラ炭鉱跡まで歩いてみることにした。西表島内にはいくつかの炭鉱があり、戦前は鉱夫を集めて高まる石炭需要に応えていた。過酷な労働に加えて、マラリアなど克服課題は多かったようだ。ウィキペディアによれば、そういう中では、ウタラ炭鉱は住環境、娯楽施設など経営者が配慮していた、とあるが、いやいやタコ部屋労働で、逃げ出そうにも逃げ出せない地獄だったと記すものもある。ともあれ、歩いて20分ほど。修学旅行生たちはカヌーで来ていた。説明を聞いていたが、どうもカヌーの興奮で、心ここにあらず、という感じがしたのは気のせいか。
現地に展示されている古写真。
レンガの柱などはアコウの木がからみついてよく見えない。トロッコの支柱ははっきり見える。
浦内川から、星砂の浜へ。足跡がすごい。とても小さな星の砂を探す気にはなれない。
で、今夜のお宿、カンピラ荘。友人が昔からの常連で、16年前にも利用した。その時は確か2食付きで泊まれたと思うが、今は朝食のみ。館内の様子はきれいになっていて昔の様子を思い出せなかった。
港周辺を散策。バス停がかわいらしい。
今回、借りたレンタカーは赤い軽自動車。島内はこれで十分。
車で晩ご飯を買い出しに、小学校近くのお店へ。刺身と揚げたて天ぷらなど。
宿の食堂でひとり夕食を始めた。他のお客さんはみなさんすべて仕事で滞在中の方々ばかり。旅行者がいれば、ゆんたくもできたかもしれないが、食べ終えるまでひとり默食。こんなご時世だから、それもよしか。刺身は、こちらの方言でシチューと呼ばれるミナミイスズミ、それとイカ。天ぷらは魚とイカ。イカがさくさくしていて美味しい。この他に、目の前のスーパーで買ってきたお惣菜盛合せ。これが食べきれなかった。
酒はもちろん泡盛。ひとりゆるゆると。
こちらのお宿は、創業当時から動物学者、安間繁樹さんの定宿。本棚には安間さんのコーナーが設けられている。友人に紹介されて一緒に吞んだこともある。少年時代のことを綴った『ヤスマくん、立ってなさい』を借りて、部屋で読書。しかし、小学生当時のことを1年単位で詳細に記憶しているとは、さすが学者の脳構造は違うと感心させられた。その安間さんがイリオモテヤマネコの生態もまだよく分かっていなかった当時、撮影した貴重な写真が飾ってある。
翌朝の朝食はけっこう盛りだくさんだった。
西表島2日目以降は、続篇で。