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2024年5月29日 礼文島の花、レブンアツモリソウ

礼文島に初めて来たのは1986年6月。雑誌の取材で、宮脇俊三さんに同行してきた。その時にレブンアツモリソウも見ていて、写真も残っているが、当時は花には全く興味なし。約20年後、野生の花の美しさにはまって、山の花を見て歩くようになり、2011年、2016年と山仲間たちと礼文島を訪れた。そして、5年前から毎年通うようになって今に至る。
で、レブンアツモリソウだが、いわゆる「レブンアツモリソウ群生地」と地図にも記されている、観光バスも来る観察スポットで見ることが多かったのだが、去年、船泊の海岸でも見られると知り、今年も期待して来島した。
以下、すべてレブンアツモリソウの花の写真。興味のない方はパスして下さい。
まずは、昔ながらの群生地のレブンアツモリソウから。

群生地の駐車場手前に、ちょっとした群れで咲いていた。なかなかフレッシュでいい。
レブンアツモリソウの花の特徴は、唇弁と呼ばれる袋状の花弁が大きく膨らんでいること。近づいて、その中をのぞき込む。
まだこれから開花しようとしている最中の花。
撮影時刻は朝の8時半過ぎ。前夜降った雨の名残がたっぷり残っている。
このあたりは、いわゆる群生地として保護されているエリア。木道の上を歩く。
左右に耳のように垂れるのは、側花弁。唇弁の上にかぶさるのは背がく片。礼文町のマスコット、あつもんは、背がく片と側花弁を髪の毛に見立てている。
数日後に開花しそうな蕾の状態。

ここまでが、昔からある群生地。が、元々の場所ではめっきり個体数が減っている。反対側には昨年、展望台が設置され、やはり木道から鑑賞するようになっているが、こちらはまだ多く、増えている感じがする。
さて、その後、船泊集落へ歩き、海岸の群生地へ行ってみた。時折、見に来る人もいるが、さすがにまだ観光バスまでは来ていないようだった。

まだ開ききっていない個体。
大きく口を開いた個体。
これもまだ閉じている。
これが全開状態。奥の芯のように見える部分が、雄しべと雌しべが合体したずい柱。その根っこ裏、写真で右にちらり見えているのが花粉塊。手前の唇弁の丸い小さな穴から潜り込んだハチがずい柱の裏の出口から出るときにハチの羽に花粉が付き、次の花に向かったとき、受粉される。
唇弁のシワの状態は個体によってずいぶん異なる。それと色はクリーム色が多いが、ほとんど白色に近い個体もある。昨年は赤いアツモリソウも見られたが、残念ながら今年は出なかったようだった。
この子はずいぶん黄色みが強い。
唇弁の部分がまっすぐではなく、数ヵ所へこみができるものもある。
カボチャのようにポコポコしてる唇弁。
思う存分、接写ができるのはこの場所ならではの魅力。もちろん、ロープは張られている。
ほとんど純白の個体。
上がく片の開き方も様々。
昔は島の至る所にレブンアツモリソウが咲いていたという。赤い花も白い花も家の裏にたくさん出ていたと語ってくれたお婆さんもいた。
やや細面の美人タイプ。
色白のぽっちゃりタイプ。
側花弁の開き方が可愛いタイプ。
どんなに見ていても飽きることがない。
うまく受粉して、果実が付くと、風で飛ばされ、土の中で越冬し、そこに共生菌が侵入すると発芽し、1年間を土の中で過ごし、2年目にやっと発芽するのだという。

船泊のレブンアツモリソウが群生している場所は海岸の砂地。今のところ、簡単にロープが張ってあるだけだが、きちんと整備しようという話も上がっているようだ。木道が敷かれ、駐車場も作られると、こちらへも団体ツアー客達が来るようになるのかしら。昔からの群生地へ来ているツアーの様子を見てると、ほとんどの人は通り歩いて歩き過ぎていくだけで、立ち止まりすらしない人が大半。むりやりここへ連れてこなくてもいいんじゃないかなあ。本当に好きでじっくり鑑賞したい人だけが来る場所のままであってほしいなあ。と、勝手な感想。

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