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2022年3月 北海道列車旅3(帯広~長万部~新函館北斗)

さて、帯広の宿は駅前の温泉ホテル。チェックインして、晩ご飯を食べようと近辺を歩く。事前に数軒、よさげな居酒屋をチェックしてきたが、なんと、マンボウのため休業中。軒並み、店を閉めている。開いているのは、ラーメン屋、焼き肉屋など。たまに炉端焼きなど営業中の店は満席。ありゃ、困ったなあ。しょうがないなあ、とホテル近くのどんな料理の店かよく分からない、Tokachi Local dining&bar じんやという洋食っぽい店に入った。カウンター席に誰もいないことを確認した上で。
カウンターの一番奥の席につき、とりあえず生ビールを。ふと見回すと、エレキギターが何本も架けてあるし、アンプ類も。さらにずっと流れているのはビートルズナンバー。

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つまみは、酒盗チーズ、長芋ピクルス、それからささみ山わさ串焼き。こりゃ、日本酒かと思い日本酒メニューを見ると、あれれ、全国各地のいい日本酒が。しかし、ここで飲まなくてもねえ、と思い、釧路の福司の冷酒を。

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酒盗チーズも自家製という長芋ピクルスもなかなか美味しい。で、焼きたてのささみ山わさ、これが驚くほど旨かった。ふんわり焼き上げていて、山ワサビの香りがびしっと味を決める。

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英国旗ペイントのギターの写真を撮ろうと立ったついでに、どなたの趣味なんですかと訊いてみたら、カウンターの中から、ぼくが好きなんですと、オーナーシェフが答えた。いや、それからは音楽ばなしで大盛り上がりです。この店に美味しい日本酒を置くなら、秋田の山本を置かなくちゃと勧めた。なにせ、蔵の中はビートルズのポスターやイエローサブマリンの模型など置いてあるし、ずっと酒に聴かせるためにビートルズはじめロックを流し続けているんだから。その蔵のことはテレビで見たことはある、という。発泡酒は、アンジーって名前だよ、とダメ押し。

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1時間以内で引きあげるつもりだったのに、マンボウ対策で早めに設定されたラストオーダーを過ぎたら、ビールジョッキ片手にオーナーがカウンター前まで出てきたので、すっかり話し込んでしまった。カウンター上の右のギターは、レスポールジュニアのジョンレノンモデルとのこと。限定300本。高いぞお、これは。誰のライブを観たことがあるとか話してたら、かぶってるのがあれこれあった。いやあ、楽しかった。また帯広に来たら寄るね。

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泊まったのは、ふく井ホテル。この地方ならではのモール泉の大浴場。いいお湯です。

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朝風呂にももちろん入ります。今日もいいお天気みたい。

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朝食は4種類から選べるが、軽くしたかったのでコンチネンタル。

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今日は土曜日だが、週末から北海道は荒れ模様とかで、一部列車が運休するらしい。当初予定では9時53分発のおおぞら4号に乗るつもりだったが、その前の特急とかちに乗ろうと早めにチェックアウト。

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帯広駅前にはこんな置物も。

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駅へ行くと、あちゃ、とかちは運休。おおぞら4号は出るみたい。それ以降の特急はすべて運休、とある。

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9時オープンの十勝物産センターとキオスクで土産をあれこれ買って、用済みの汚れ物などと一緒に宅配便の手配をした。おおぞら4号は定刻に帯広発車。

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車窓には日高山脈。

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次第に積雪量が増えていく。

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南千歳駅で乗り換え待ちの間に、駅に隣接するショッピングモール、RERAの中の千歳ラーメン博覧会へ。

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麺匠 空雪、という店で、焦がし醤油ラーメン。少々味が濃かったけど、麺もチャーシューも美味しかった。

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南千歳から先は特急北斗12号。

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白老駅手前には、2年前にオープンしたウポポイが見えた。そのうち行かなくては。

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長万部駅で下車。駅前に出ると、迎えの車が来てくれていた。

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途中から山道へ入ると、雪の量がグッと増える。

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二股ラヂウム温泉には、大昔、1988年に一度来たことがある。それ以来。その時の写真がこちら。

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当然、そのまま残っている訳がない。

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2階の部屋を割り当てられ、早速、お風呂へ。内湯の手前2つは深い浴槽、奥が源泉入っていて、手前はぬるい。で、奥は浅い浴槽で、同じく奥に源泉入って、手前はぬるい。

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そして露天風呂。完全な雪見風呂。こちらは手前に源泉入っていて、張り出した方は相当ぬるい。

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大昔の露天風呂の面影は全く残っていない。日帰りで来て、ぬるい方の露天風呂に浸かっていた常連さんに、いつからこういうお風呂になったのかご存じですかと訊いたら、もう十年以上通ってるけどずっとこうですよ、と言う。昔はこんなじゃなかったけど、と言うと、いつ頃ですかと言うから、もう30年以上前かな、と応えたら、そりゃ大昔ですね、と笑われた。
入浴中は水分をとるようにと注意書きがある。真水と炭酸水が流しっぱなしに出ている。炭酸水、ちょっとしょっぱいけど、体によさそう。

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それにしても温泉分が濃いのかなあ。湯口はすごいことになっている。ゆっくり1時間近くお湯を堪能した。

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夕食は17時半。食堂へ行くと、10人あまり。自炊の人もいるかもしれない。食事は、え、これでおしまい? というほど少量。7300円の川湯温泉のご馳走と比べてしまう。こちらは8400円。湯治メインだからやむなしか。
皆さん、いきなりご飯をよそっていらっしゃる。日本酒は、と訊くと、ワンカップ大関というので、自販機で缶ビールを買ってきた。ゆっくり食べたつもりでも30分で終了。

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食休みしてから、小さいお風呂の方へ。ここでしか、石鹸やシャンプーは使えない。

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ここは、源泉が入る方の小さい浴槽が深い。大きい方がぬるい。

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部屋へ戻ると、することはない。テレビはあるが、NHKすら雪のためか映らない。民放2局がかろうじて見えるぐらい。寝る前にもう一度、大浴場へ。露天に浸かると、雪空が一瞬晴れて、屋根の間からオリオンが見えた。ぬるい方の端までいって見上げれば、おお、満天の星。すぐに雲がかかった。

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翌朝、早朝5時過ぎからもうお湯に浸かってる人たちがいた。雪が休みなく降り続けている。

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プールもあって、ここだけは水着着用可。

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朝食は夕食とほとんど同じくらいの量。1杯目は赤飯のお粥にしてみた。美味しい。北海道のお米は最近はレベルが本当に高いのだ。

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それにしてもよく降る雪。

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トレーニング部屋もあった。

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表へ出てみると、車がすっぽり雪に埋もれている。

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屋根にも降り積もった雪。

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こちらの温泉の湯の花は、けっこう高いお値段で売られている。自宅でも療養したいという方々が多いのだろう。その湯の花の細工物が玄関に飾ってある。

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朝食後、掃除の終わったお風呂に、最後にもう一度。露天風呂はお湯を張り直していたので、最後に膝上ぐらいの所に寝そべって、お湯じまいとした。
10時にカップルのお客と一緒に送ってもらえることになった。毎朝、除雪車が入るが、その後でないと車は出せないという。

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もし長万部駅から送迎してもらえなければ再訪できなかったなあ。駅で降ろしてもらい、行き帰り送迎してくれたお兄さんに少額だけど心付けを渡して、感謝を伝えた。

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長万部、といえば、かにめし。駅で冷凍されたかにめしを売っていたので、土産に買い求めた。

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ホームにも雪がどっさり。

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特急北斗6号はちゃんと走っていた。ありがたい。計画通り、本日の道東方面の特急は全面運休。際どかったなあ。

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大沼公園の手前あたりから徐行運転などで、列車は遅れたが、北海道新幹線への乗り継ぎは問題なし。

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新函館北斗駅で鰊みがき弁当を買い込み、川湯温泉駅前で買った天の戸ワンカップと共にいただいた。無事に予定通り、道内列車旅を楽しめたことに感謝しつつ。

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青函トンネルを抜けると、積雪が少なくなったかわりに、横なぐりに降る雪の白さは濃さを増した。寂しいような悲しいような思いが、突然こみ上げてきた。あちら側に何か忘れてきたのだろうか。
八戸に近づくと、雪さえほとんどなくなった。これまで見てきたのは幻だったとでもいうかのように。夢でも見てきたのだ、そう思うことにしよう。(完)

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