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石炭山

目の前には石炭が積み上がった山がある。

校舎の1階にある石炭室兼スキー室。壁には授業で使うスキー板がずらりと立て掛けられていて、石炭を取り囲んでいる。教室と違って広い部屋は薄暗く、暖房がないから寒い。

石炭を専用のバケツに積んで自分たちの教室へ運ぶのが、日直の朝1番のお仕事だ。
この小学校では冬の暖房は石炭ストーブを使っているのだった。


「寒いからさっさと済ませよう。」緑川君が急かすけどー
ただスコップでザクザク入れてしまうのはつまらない。
せっかくだから、大きいのを選びたい。
私は下の方から大きい塊をすくって、そっとバケツに落とす。

ゴトッ

緑川くんがザクッといれる。

私がまた、大きいのを選んでそおっと入れる。
緑川くんが見てない隙に。
ゴン

緑川くんがザザァー。
私が、ガコッ。


教室に戻ると、クラスメイト達と用務員さんが待っていた。
「遅い遅い!
  さあ、火をつけるぞ。」
みんなは上着を脱がずにストーブの周りに集まって、石炭の到着を待っていた。

用務員さんがストーブにザッと石炭を入れる。
もう一回、入れ…
「ん?」
入れ…
「あれ?」
大きな固まりがつっかえて入らない。

「こんな大きいのあるんだな。」
思わず感心する用務員さん。
「でもこれじゃ入らないな。」
よけて、改めて石炭をザクッ。
「ん?こっちもでかいな。」
よけて、再度ザクッ。
「今日は大きいのが多いな。後で砕いておこう。」


〈ごめんなさい。大きいのがストーブに入らないなんて、そこまで考えてませんでした。〉

知らんぷりをよそおいながら

‥‥心の中で謝った。


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