お届けもの
私が小学生だった頃は、給食のパンは持ち帰り可だった。牛乳だけでお腹が一杯になるので、たいていは持ち帰ってたと思う。そのパンはどうしたかというと・・・学校帰りに迷子になると歩き疲れてお腹がすいたりする。そりゃあお腹すきますよ。そんな時、このパンを食べてたっけ。
学校を欠席する人がいると、誰かがプリントと一緒にパンを届けることになっていた。
今はパンを届けたりしないけど。
教室にて
「紫村さんにパンを届けてくれる人
〜」
・・・
・・・
『先生!ベニコちゃんが家に行ったことあるみたいですよ。前に紫村さんが言ってました!』とモモちゃんの発言。
《行ったことはあるけど、場所がよくわかりません》と私。
『なら私が案内してあげる』とモモちゃん。
「では二人で仲良く行ってらっしゃい。」と先生。
案内できるならモモちゃんが行けばいいんでないの?
ーとは思ったけど、まあいいか。
確かに1度、紫村さんの家に行ったことはある。
たまに、帰りが一緒になった人の家の近くまで〈寄り道〉の経路開拓を兼ねてついていくことがあった。
紫村さんの家までは行ったけど、いつものように帰り道がわからなくなり、近くで何かの作業をしているおじさんに道を聞いた。そしたら軽トラで大通りまで送ってもらったことがある。
迷子になった上に車で送ってもらったから、道は全くわからない。
モモちゃんに連れられて無事に紫村さんの家へたどり着き、プリントとパンを届けることができた。
『じゃあね!』
と去っていこうとするモモちゃんを呼び止める。
「大通りはどっちかな?」
『え?知らなーい。私こっちだから、じゃあね!』
ーー行ってしまった。
ああ、道を覚えておくんだった。
とりあえず勘で歩く。
しばらく行くと見覚えのあるおじさんと軽トラを発見。
「また迷ったの?」
あきれ顔。
今度は途中まで一緒に歩いてくれて
「こっから先はまっすぐだから。寄り道しないで家に帰るんだよ。」
「はい、ありがとうございます!!」
無事に帰ることができた。
※知らない人について行ってはいけません