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乗り鉄の究極形~ DISCOVER KYUSHU EXPRESS 黒い787 「36ぷらす3」 - 2021/2/15

”世界で36番目に大きい島、九州全県を巡る「36ぷらす3」は、5つのルートに、九州を楽しむ35のエピソードをぎゅーっと詰め込んで、お客さまをお迎えします。
ぜひ全ルート楽しんで、お客さまご自身に“36番目のエピソード”を語っていただきたい―そんな想いを込めました。この列車で、驚き、感動、幸せをお届けし、「お客さま、地域の皆さま、私たち」でひとつになって、39(サンキュー!)=「感謝」の輪を広げていきます。” ※JR九州HPの説明

数々の「D&S列車」を生み出してきたJR九州、そして2020年秋に登場したのがこの「36ぷらす3」。(「さんじゅうろくぷらすさん」と読みます)

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この列車目的ではなくたまたま予定とルートがあったくらいのモチベだったけど、これは大大正解だった。乗り鉄の究極形を体験できると断言できる。鉄道が単なる公共交通ではない、沿線地域の価値を表現・発信する場所として活躍していることが嬉しくてたまらない。社会人1年目たまたま熊本に住んだ縁から始まり、九州がますます好きになりました。

36ぷらす3とは?

宿泊するクルーズトレインを除けば、現代日本において比較的気軽に乗れる列車の中では最上の体験ができる列車。曜日ごとに九州一周の5ルートが設定されています。

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私は金曜日の鹿児島中央~宮崎のルートしか利用してませんが、各ルートテーマカラーがあって、その色にちなんだ沿線の逸話を紹介してくれる。ルートの途中どこかの駅で数十分程度の停車時間があってその地域の特産品の販売があったり、駅周辺の散策ができます。ちなみに普通に走ったのではすぐついてしまうので、途中外には出られないけどいろんな駅で調整停車をします。一般の利用者になんだこれはと注目されます。

食事つきコースは旅行会社で申し込みが必要、乗車だけであればJR九州のネット予約でも買えます。食事つきで予約しなくてもビュッフェ車で軽食は買えますし、途中のおもてなし駅でいろいろ買えるので困らないと思います。駅弁も持ち込みもOKなので思い思いの楽しみ方ができるかと。

水戸岡ワールド全開の車両

使用される車両は787系の改造車。改造で高級感のある漆黒塗装に金の装飾、内部は九州の自然や伝統文化をモチーフにした装飾に大変身している。奇抜なんだけど安心できる質実さと豪華さの合わせ技という感じ、説明不要の水戸岡鋭治完全監修デザイン。

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ベースの787系は1992年登場のJR九州の特急を代表する名作、まだ遊びが控えめだけど研ぎ澄まされた工業製品感がすばらしい水戸岡デザインの先駆け的存在。四半世紀を経てまたまた時代を代表する特急車両に生まれ変わった。これが787系オリジナル。ちょうど大隅大川原駅ですれ違った。

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6両編成のうち、2両が食事つき利用の個室席、真ん中にビュッフェ車とマルチスペース車、そして2両が食事がつかないグリーン車扱いの座席。最前と最後の両端の車両は、畳敷きで靴を脱いで上がるという仕様。

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これがラウンジ

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これがビュッフェ

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時期も次期なだけに結構すいてたので、気兼ねなく全車両見物できた。空いてる個室でアテンダントさんが写真撮ってくれるというので断れず1枚。

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これが食事がつかないグリーン席。1両は見ての通り畳。

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あとは車内のどこかにつばめ(の装飾)が2匹います。つばめは戦前に登場した国鉄最速東名阪特急「つばめ」に始まる日本の鉄道史におけるシンボル的鳥。それをJR発足後に787系を使用した特急つばめとして復活させたのがJR九州。命名時にJR他社の承認をとってるらしく、この名門鳥の正統性を引き継いでいる。水戸岡鋭治もそんなストーリーを意識したのか思い入れがあるのか、この36ぷらす3のモチーフに使用している。

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販売品・体験プログラム

ビュッフェ車は軽食、ドリンク、お土産を扱ってる。お酒の種類は特に豊富で沿線の焼酎、日本酒、クラフトジン、果実酒なんかが冷蔵庫に並んでて、おつまみも九州らしいもの。飲んだくれにはうれしい。軽食はカレーとうどんでしたね。あとは前述の通り、途中長時間停車する駅で特産品の販売があるので、軽食やスイーツとかが買える。

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総合的に飲み物はなかなかいいなと思ったけど、食べ物は食事つきコースではないと物足りない。もう少し車内販売を増やしてもいいのでは?と思ったけど、途中停車駅での特産品販売への配慮かと思う。あご出汁うどん(450円)おいしかった。揺れる車両内で汁物ってのも珍しい。あとは持ち込んだおつまみと、車内で買った長崎のじゃがいも焼酎(300㎜、670円)。鳥刺しがこういう塊で安く売ってるのいいよね(丸のまま食べること想定してないから硬くて食べにくかったけど)

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鹿児島中央~宮崎では大隅大川原駅で50分ほど停車。この大隅大川原駅は鹿児島県曽於市にある。曽於市は宮崎と接した山がちの地域。ユズ、お茶、サツマイモ、畜産品等が名産品で、そんな感じのものが売られてます。

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「そお星人」というゆるキャラがなかなか気に入りました。鹿児島市内のスーパーで見つけたソーセージのパッケージに描かれていたので認知しておりました。※曽於市HPより

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コンセプトが九州を楽しむエピソードなので、途中途中に沿線についてルートごとのテーマカラーに沿って放送が入る。あとはマルチスペース車両では、実演や体験する時間が設けられている。鹿児島中央~宮崎は黒のルート、島津家の黒、黒瀬杜氏(焼酎)、火山の黒、黒豚なんかですね。こんな感じのパンフレットが配られるので、エピソードや沿線の情報なんかを追えます。

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このルートの実演系プログラムは薩摩黒酢の試飲。ルートごとに無料・有料でいろいろあるようなので皆さんもぜひ乗ってみて体験してほしいです。というかほかのルートが気になるよね。乗車の後半には36個目のエピソードとして乗車してる人たちからエピソードを募り、匿名で放送してくれる。思い出やメッセージなどを共有する場、人の輪をつなごうという企画です。

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まとめ・実際どうなの?

すばらしい体験が約束されるけど、実際はなかなかお値段が張ります。

今回乗った金曜日の鹿児島中央~宮崎ルート。旅程的に一番短かいコースですが食事なしの乗車だけでも乗車券+特急券+グリーン券が必要なので7,080円します。食事つき個室は2名以上必要で17,000円/人。いい食材を使っているとはいえ、お弁当形式なのでこれが妥当かは疑問。距離も長い木曜日博多~鹿児島中央ルートだと、乗車だけでも16,800円、食事つきは25,000円以上します。

食事つきは要事前予約だけど、乗るだけならこの時期というのもあるので前日でも買えました。今ならJR九州の株主優待券が都内金券ショップで1300~1500円くらいで買えるので、半額で乗れる今こそチャンスかと。九州内の駅窓口で購入が必要(ネット予約不可)なので、九州外からは使いにくいけど九州在住なら先の日程も予約できるから確実。一応このブログ書いてるタイミング(2/22-19時現在)で調べたけど、直近の木~日各ルートともに数席なら空いてる。敷居が下がることの是非はあるかと思いますが、今は空いてるんだからどんどん利用するほうがいいかと。

あと1つ重大な欠点は窓かな。障子でかっこいいけど、完全に開かない分視界が狭くなるので景色が見にくい。ブラインド方式でよかったのではと思わなくもない↓。ゆったり景色みながら酒飲むのはこの36ぷらす3でなくてもできるけど。

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