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地方私鉄の雄 富山地鉄3路線

今回、富山地鉄を全線制覇しました。部分部分では利用したことがあったところで改めて制覇。1日乗車券は夏2600円、冬2100円で、普通に乗ると富山から宇奈月温泉が1880円なので往復すれば余裕で元が取れるかなりお得と言える。

富山地鉄線とは富山地方鉄道株式会社という会社の運行する鉄道路線の総称で、富山駅に隣接した電鉄富山駅を起点に富山県東部方面に宇奈月温泉駅方面の本線、東南方面の立山駅方面の立山線、富山市街南部経由で立山線の岩峅寺駅で合流する不二越線・上滝線の3系統の鉄道路線と、富山駅を中心に市中心部を走る市内電車(軌道線)を運行する。路線総延長は108.4kmと地方鉄道としてはトップの路線規模を誇る。これは東急線と同じくらいの路線規模。

公式HPよりもわかりいやすのでWikipediaの路線図。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%83%AB:Toyama_Chiho_Railroad_Linemap.svg
新幹線開通によって分離されたり、国鉄赤字路線を引き継いだ第三セクターを除けば路線長では日本最大の路線長を持つ地方鉄道事業者。

富山地方鉄道の母体となったのは富山電気軌道という現在の本線に当たる部分を開業させた会社。1943年に戦時統制のために富山県内各地で誕生していた鉄道会社や、富山市電を統合して誕生したのが富山地方鉄道株式会社。

富山地鉄本線 電鉄富山~電鉄黒部~宇奈月温泉

名前の通り富山地鉄の主力路線で、富山市と富山市東部に隣接する舟橋村、立山町、上市町などを経由し富山県東部の主要都市の滑川市、魚津市、黒部市と進み新黒部駅で新幹線の黒部宇奈月温泉駅と接続、黒部川に沿って宇奈月温泉駅まで至る。北陸本線(現あいの風とやま鉄道)とは並走していて、駅間が長く長距離特急も走る北陸本線は長距離輸送、細かく駅がある富山地鉄は短距離輸送とある程度は分担できていた。ただ現在においては長距離輸送は北陸新幹線となり、富山地鉄は黒部宇奈月温泉駅への接続で宇奈月温泉や黒部峡谷鉄道への観光路線としても活躍しやすくなった。

宇奈月温泉駅。この駅に隣接して黒部峡谷鉄道トロッコ列車の駅もある。
土休日の1日1往復だけ特急アルプスエキスプレスが立山駅に直通している。
宇奈月温泉駅には無料の足湯がある。トロッコ列車を見ながらゆっくりできる。
あいの風とやま鉄道の黒部駅よりこちらの方が黒部市の中心に近い。三日市はこの地域の旧町名。新幹線の黒部宇奈月温泉駅はここから4駅の新黒部駅。
これぞローカル鉄道旅の醍醐味。富山地方のお盆はますの寿司のような押し寿司が定番らしい。
電鉄黒部駅から富山方面であいの風とやま鉄道を跨ぐ。奥に見えるのが黒部駅。豊富な水量と工程さを利用した水力発電の聖地中の聖地で、その電力を使ったアルミ精錬産業が発達した。その代表例がアルミサッシのYKK APで、ファスナーのYKKグループの中核事業。YKKグループは本社も黒部市に置いている。
新魚津はあいの風とやま鉄道との乗換駅。北陸新幹線金沢延伸まではサンダーバードが1日1本ここまで乗り入れていて、北陸本線の長距離特急も停まった主要駅。YKKのファスナー工場創業地は魚津、創業者の出身地。
魚津と滑川の付近は完全にあいの風とやま鉄道と並走している。
電鉄魚津駅。蜃気楼のゆるキャラ。魚津の港へはこちらが近い。
あいの風とやま鉄道との接続駅は滑川駅だけど、市の中心にはこちらの駅の方が近く富山地鉄の利用者もこちらの方が多い。
滑川市のゆるキャラ、ホタルイカのキラリン(女の子)。ちょっと怖いんだけど、とってもカワイイらしい。
富山方面からきて同時に到着する対向列車。
上市駅。右が宇奈月温泉方面。左が富山方面。この暑さで線路が膨張しポイント故障することがあるため放水して冷やしている、もちろん冬は融雪に使う機能。

3系統が乗り入れる電鉄富山駅と稲荷町駅の1区間だけが複線で、ほかは全線単線。基本的に電鉄富山~上市駅間で折り返す列車が1時間に1~2本、宇奈月温泉駅(電鉄黒部駅駅)まで運行する列車は1時間に1本は確保されている。途中の寺田までは立山線との並列区間で、単線ながらラッシュ時は1時間に5~6本の運行本数があり、ほぼ全駅で行き違いをする。

稲荷町駅。ここから3路線が乗り入れ、複線化する。
電鉄富山駅。

この区間は明治末期~大正時代にかけて北陸本線が通っていない地域に向け建設された小規模路線を整理して繋げたものに由来する。1913年に立山軽便鉄道(のち立山鉄道)の滑川駅~上市駅~五百石駅させたのが始まり。その後1930年設立の富山電気鉄道が翌1931年に立山鉄道を合併し、すでに富山駅前まで乗り入れていた富山軽便鉄道(後に富山鉄道、現在の不二越線に当たる部分)の稲荷町駅(正確には隣接する富山田地方駅)から上市駅までの路線を敷設し、さらに電鉄富山駅を延伸開業させ、現本線の原型となる電鉄富山駅~寺田駅~上市駅~滑川駅が開業。

一方、黒部方面は1922年に黒部鉄道のが三日市駅(北陸本線、現 黒部駅)~下立駅、翌1923年には桃原駅(現 宇奈月温泉駅)までの路線を開業させていた。富山電気鉄道は滑川駅から三日市駅方面への延伸を進め、1936年には魚津駅、西三日市駅(現 電鉄黒部)と延伸し、現在の本線にあたる電鉄富山駅~宇奈月温泉駅の区間が繋がった。以降1969年までは、電鉄富山駅~電鉄黒部駅を本線、電鉄黒部~宇奈月温泉駅を黒部線としていた。

立山線 電鉄富山~寺田~岩峅寺~立山

電鉄富山駅~寺田駅は本線と並列していて、寺田駅でほぼ90度進行方向を南へ変え立山町の中心駅である五百石駅を経て岩峅寺で不二越・上滝線と合流、立山へ至る。終点の立山駅は黒部アルペンルートの富山側の起点で、黒部ダム、春の雪壁、登山客などの利用が多い。

稲荷町駅は富山地鉄の車両基地・工場がある。ここで中古車両の改造やメンテナンスもしている。
寺田駅。本線と立山線の分岐駅。
岩峅寺駅。立山線と不二越線・上滝線はなるべく短時間で接続するようになっている。電鉄富山からは不二越線・上滝線経由が先回り(後発して追いつく)することもある。
岩峅寺駅。左が上滝線方面、右が五百石・寺田方面。
立山駅は山に突っ込む。レトロな単線用の架線柱。

元々は立山軽便鉄道(後の立山鉄道)が上市駅~五百石駅までを開通させたのが始まりで、五百石駅から現在の岩峅寺駅付近の立山駅(現在の立山駅とは別)までを開業。その後、富山電気鉄道が富山方面から寺田駅~五百石駅区間を開通させ、旧線に当たる立山鉄道の上市駅~五百石駅は廃線化している。岩峅寺駅から先は現在の上滝線に当たる富山県営鉄道が1921年に南富山駅~岩峅寺駅を開業させていて、1937年までに岩峅寺から現在の立山駅手前の粟巣野駅まで。その後、富山地方鉄道へ吸収合併され、1955年に現在の立山駅にあたる千寿ヶ原駅までが開業。

立山線は当初は現在の上滝線ルートで立山駅方面へ至るルートで、寺田駅~岩峅寺駅は五百石線とされていた。1969年に現在の寺田駅周りが立山線となった。おそらく古く路面電車を想定されていた不二越・上滝線は駅も狭いため、特急などが乗り入れがしやすい構造の寺田駅周りがメインになったと思われる。

横江駅。
立山サンダーバードは横江駅そばにあるいろいろ有名なローカルコンビニ。と言ってもお土産商店と理解したほうがいいかも。変なサンドイッチが名物で、これはチャーハン+餃子サンドイッチ。
別日。立山線終点の立山駅。ここからロープウェイで美女平まで、そこからバスに乗り継ぎ室堂方面との連絡ができる。
別日。立山駅始発列車。山の中なので夏の夕方で虫がすごかった。

不二越線・上滝線 電鉄富山~南富山~岩峅寺

この区間は電鉄富山駅~南富山の不二越線、南富山駅~岩峅寺の上滝線に分かれているが、運行上はすべて直通していて基本的に1時間に2本の各駅停車が走る。電鉄富山駅から稲荷町の1駅は本線と立山線と共用、稲荷町駅から市中心の東部を囲うようにぐるっと回って南富山駅で市内電車が接続、そこから南東方面へ進み旧大山町(富山市へ合併)の中心駅の上滝駅を経て、常願寺川を渡り岩峅寺駅に至る。路線名は途中の不二越駅からの命名で、この駅名も駅目の前にある株式会社不二越に由来する。富山が創業の世界を代表するドリルなどの切削工具や工作機械メーカー。

車内のわかりやすい路線図。
別日。南富山駅は市内電車の運行拠点のレトロいい駅ビルがある。ここから笹津線が分岐していた。
南富山駅構内に車庫に出入りする市内電車の踏切もある。
土休日は全線で自転車持ち込みができる。
岩峅寺駅

1914年に富山軽便鉄道の富山駅~堀川新駅(現 南富山駅)~笹津駅(現 高山本線)の旧笹津線の区間が開業。一方、1921年には富山県営鉄道が南富山駅から上滝方面に岩峅寺駅までの路線を開業している。1933年に国鉄飛越線(現 高山本線)が開通し、競合した南富山~笹津駅の区間が廃止。富山駅~南富山駅の区間は富南鉄道として存続し富山電気鉄道が吸収、そのまま富山地方鉄道の発足で、上述の通り最初は立山線とされていた。1969年に立山線が寺田・五百石周りとなり、元立山線の区間は不二越線と上滝線と改められ現代へ至る。

ちなみに廃止された笹津線は戦後富山地鉄笹津線として復活するものの、1975年に再廃線化している。

たまたまこの日は宇奈月温泉駅から電鉄富山駅から岩峅寺へ、ずっと同じ車両だったのでかなりたくさんの運賃表示がある。

電鉄富山駅

北陸新幹線やJR高山本線、元北陸本線のあいの風とやま鉄道が乗り入れる富山駅の南東部に電鉄富山駅がある。エスタという富山地鉄ホテルと飲食店、地下はスーパーなどがある駅ビルの2階に改札がある。乗降者数は8000人超で、JR西日本富山駅(新幹線と高山本線の合計)と互角。元北陸本線のあいの風とやま鉄道の富山駅は1万人を超えている。

薬都にふさわしい駅。
過去のヘッドマーク。スーツケースは荷物預かり。

JR・あいの風とやま鉄道富山駅の高架化は完了しており、富山地鉄も2026年までに高架化工事を進めていて、電鉄富山駅の下に南北道路の建設も計画されている。

稲荷町駅から電鉄富山駅の間。右に見える高架は新幹線。
工事のため直列で2・4番線が並んでいる珍しい仮ホーム。
工事前の電鉄富山駅。昔は1~4番線が横に並んでいた。

バラエティー豊かな車両

元京阪3000系、特急カラーで残してくれている。京阪とは線路幅異なるため車輪と台車は交換されている。
富山地方鉄道のオリジナル新造車両14760形。1980年頃導入された。
左が東急8090系で今富山地鉄で一番新しい中古車両、右が元京阪3000系の通常塗装。元東急のこの車両だけロングシート。
左は元西武で1995年までレッドアローとして走っていた元西武5000系。右は雷鳥塗装の14760形。


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