足立区の救世主 日暮里・舎人ライナー
日暮里・舎人ライナーは名前の通りJR山手線の日暮里駅と、足立区北西部の舎人地域を結ぶ9.7kmの新交通システムの路線。運営は東京都交通局、つまり都営。日暮里駅~足立小台駅の手前までが荒川区(西日暮里駅と赤土小学校前駅の間で北区をかすめる)、足立小台駅から見沼代親水公園駅までが足立区。見沼代親水公園駅はあと250mくらいで埼玉県草加市というところまで到達している。多くの人には馴染みないと思うけど「舎人」は「とねり」と読みます。申し訳ないけど新路線が開業しなきゃスポットライトが当たることはなかった場所としか言いようがない。
日暮里駅ではJR山手線・京浜東北線・常磐線と京成線、西日暮里駅でもJR山手線・京浜東北線と東京メトロ千代田線(常磐緩行線)、熊野前駅では都電荒川線と連絡しているほか、足立区内ではほかの路線との接続は無く、鉄道空白地帯へ枝葉のようにバス路線が広がる。路線は西日暮里駅以北はほぼ都道58号の尾久橋通りという幹線道路上に沿った直線になる。
開業は2008年3月とかなり新しい。ただでさえ元々鉄道空白地帯でバスに頼っていたエリアで、川口市や草加市のこのエリアは工場や運送拠点が多く、東北道に通じる首都高川口線沿いなどに物流拠点などがありながら、道路交通は貧弱。鉄道構想で地下鉄なども考慮されたものの、利用者とコストの試算から新交通システムを選択した。しかしいざ開業すると開業翌年には想定を超え、利用者数は年々右肩があり、ダイヤ改正の度に増発を繰り返してもあっという間にラッシュ時の混雑率ランキング上位常連に、2020年度のコロナ禍で全国的に混雑率は大きく減少したものの、元々車両が小さいので混雑率では1位となり、以降3年連続1位の不名誉?な状態。
こんなに利用者も増えて混雑してるのに赤字が問題となっている。そもそも新しいから減価償却が重いのは仕方ないにしても、混んでるのに赤字なのは悲しい。原因として指摘されてるのは、通勤特化路線ということ。利用者における定期比率を見ると都電が50%以下、都営地下鉄が60%程度に対して日暮里・舎人ライナーは70%程度と定期利用者比率が高く収益率が悪い。それは沿線の状況からしても住宅街から都心方面の通勤需要特化、逆方面の見沼代親水公園駅側は乗り換えもなく、観光拠点やわざわざ行く町も無いから仕方がない。東京メトロ全線の定期比率が55%くらいと考えると、日々の生活の足を提供する純公営交通事業としての使命なのだろうか。