静岡の私鉄 岳南電車・静岡鉄道
18きっぱーに嫌われる静岡県区間。確かにただ静岡に行くんじゃつまらないなということで、沿線で乗ったことない私鉄に乗ってみました。
岳南電車 岳南線
岳南電車は東海道本線の富士駅の一つ東京よりの吉原駅から富士市東部の工業地帯を縫う全長9.2kmの短い路線。もともとは戦闘機部品を製造していた日産吉原工場(現ジヤトコ)のための貨物線を利用して、吉原中心街と東海道本線の吉原駅(当時鈴川駅)を結ぶ路線として開業。沿線は日本製紙をはじめ製紙業界の工場が集積していて、貨物輸送もしていたが2012年に貨物の輸送は廃止となった。
朝・夕ラッシュは3本/時、昼間は2本/時くらいの運行頻度で頑張っていると思う。全線単線、基本1両編成の電車が走る。2駅しか乗ってないけど工場だらけで、民家との距離も近い。
この車両が井の頭線の3000系のお下がり。京王井の頭線は地方私鉄では結構人気なので、沿線民としてはなんかうれしいよね。あとは金沢の北鉄、松山の伊予鉄、前橋の上毛電鉄とかぱっと思いつく。この辺もちゃんと乗りに行きたい。
富士急グループだけども岳南電車事業は独立・分離されていて、本業としては赤字、公的資金で維持されている、銚子電鉄並みの弱小赤字ローカル線。グッズやイベントなんかの副業も欠かせない。TwitterでのPR活動も距離の近さで勝負、写真アップしたらふぁぼられました。
日本で唯一全駅ホームから富士山が望める路線らしい。天気はいまいちだったけどちゃんと見えた。
タンクに入ってるのは苛性ソーダ(水酸化ナトリウム)、製紙業で必須の工業薬品です。山口のくだりで出したトクヤマと東ソーがトップ3のうちの2つ占めてますよ(あとは、なんだしなんだしのCMでおなじみAGC)。
硬券が現役ってのもよい。
静岡鉄道 静岡清水線
清水港へお茶を運ぶための路線が始まりで、そこから清水と静岡を結ぶ都市間交通として発展した歴史がある。戦前には電化・複線化が完了している、地方都市としてはかなりのしっかりした電鉄線。一時期は藤枝~御前崎~袋井を結ぶ駿遠線があったけど1970年には廃線化している。
東海道本線と完全に並走していながら東海道本線と直接乗り換えられる駅はなく、新静岡・新清水ともに10分くらいは歩く。途中の草薙駅がJR線へは一番近く徒歩3分くらい。東海道本線が静岡~東静岡~草薙~新清水4駅の距離で、静鉄は15駅、時間も2倍の20分ちょっとかかるけど各駅で細かく利用者を拾えている感じで、短距離利用者も見られて生活にに根差しているなと。ちなみに朝ラッシュは地方私鉄としては異例の6分間隔、昼間でも10分間隔以上という過密ダイヤ。
運行は全線2両編成で、現在の主力はオリジナルの新車A3000系(総合車両製作所製のSUSTINAシリーズ)。7色の編成で静岡レインボーらしい。
総合車両製作所のsustinaシリーズの紹介。持続可能性:サステナビリティがテーマ、共通部品化で無駄を省き低コスト化、共通化されてるから修理やメンテも簡単、ステンレスはリサイクルしやすいし、軽量化で燃費も良くて、安全性も両立させ環境にも乗客にも優しいというのがコンセプト。
あとは7色プラス広告用に使い分けてるらしい。
地方私鉄としてオリジナル車両を購入できるのは経営的にもかなりいいといえる(ボロボロの岳南電車と比較してくれればわかるように)。なんせバス、タクシー、ホテル、スーパー、駅ビル、マンション、ゴルフ場とかロープウェイなんかもあるザ・私鉄。グループで1500億超を売り上げるのに、鉄道だけでは2021年3月期コロナの影響とはいえ売上12億円・営業損失3億円。実際はグループ最大半分以上の売り上げを占めるのが静岡県内のトヨタ車販売店運営(ネッツとかトヨペットとか)という面白い会社ですね(HPに子会社の細かい収益とかは載ってなかった)。それでも2021年3月はグループ全体で赤字、やっぱ厳しいね。
途中の長沼駅に車庫が併設されていて、旧車両ベースのちびまる子ちゃんラッピング車両がありました。バンダイのガンプラ工場が目の前にあるのね。静岡県はプラモデルの国内生産量9割を占めるプラモ大県。
新静岡駅はセノバというショッピングビルになっていて、東京近郊の私鉄ターミナル駅ビルと変わらない感覚でした。あと地味にSUICA対応は画期的。