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週末パスでめぐる 未乗路線 富士急行線
富士吉田や富士急ハイランド自体は行ったことがありながら、車で行くことが多く、実は殆ど富士急行線には乗ったことがない。初めて全線乗ってみました。
富士急行線は山梨県の大月駅と河口湖駅を結ぶ全長26.7km、全18駅の路線。大月駅ではJR中央線と接続し、甲州街道から分岐し富士山への巡礼路となっている現国道139号の富士みちに沿って都留市、西桂町、富士吉田市などを経て富士河口湖町の河口湖駅まで至る。大月駅の標高358mから河口湖駅857mの標高差499mを登っていく。
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普通列車が1時間に1~2本、朝の一部が東京へ直通、夕方には東京方面からの直通がある。通勤快速富士山・河口湖行きは中央線ユーザーは乗ったことがあるかもしれない。中央線からかいじ・あずさに連結されて直通する特急富士回遊が1日3往復、大月駅と河口湖の間の特急も1日3往復、土休日は増便されることもある。特急は大月、都留文科大学前、下吉田、富士山、富士急ハイランド、河口湖だけに停車するものの、普通列車を追い越すことはほぼないので基本的に来た列車に乗るのが最速。
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途中の都留市には公立大学の都留文科大学(国立山梨大学より高偏差値)があり、最寄り駅の都留文科大学前駅が全特急列車も停車する実質都留市の中心駅の機能を持っている。富士吉田市の中心駅は富士山駅で大月駅の次に利用者多い。富士山駅は2011年に富士吉田駅から改称していて、富士山五合目行きのバスへの乗り継ぎターミナルでもあり、東京方面から直通列車の行き先にもなり富士山をアピールするため。
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成り立ちについて
富士急行線の前身は当初より都留や吉田(現富士吉田市)の町を結んでいた馬車鉄道にはじまる。1902年に現中央本線に当たる路線が大月駅まで延伸されており東京方面から富士山を目ざす利用者も増加していた。輸送力増強のため電化と線路の改良が計画される。1928年に新会社の初代富士山麓電気鉄道に路線が譲渡され、翌年に現路線の原型となる大月駅と富士吉田駅を電化開業させている。河口湖駅まで延伸されたのは戦後の1950年、1960年には富士急行株式会社へ改称、翌年には現在の富士急ハイランドの前身となる大規模なレジャー施設を開業させており、今の富士急グループの原型が完成している。
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優良地方鉄道 富士急グループ
運行する会社は富士山麓電気鉄道株式会社という2021年5月に富士急行株式会社からグループ内で分社化された会社。親会社の富士急行株式会社は鉄道以外の事業も多く営業エリアも広いため、富士急行線を中心に据えて地域密着の経営ができるように分社化している(収益率が低いから?)
富士急行株式会社は地方私鉄としては規格外の健全な企業で、グループ売上429億円(2023年3月期)のプライム上場企業。鉄道事業の属する運輸事業の売上は約138億円、この事業には高速バスやロープウェイ、タクシー、観光船なども含まれる。会社HPなどでは確認できなかったけれども、富士急行線の年間乗降者数は450万人程度で鉄道事業の売上としてはそこまで大きくないと思われる。運賃水準がかなり高く、観光利用が多いことから収益率も良く地方では珍しい黒字路線。
運輸事業としてはおそらく高速バス会社としての方が売上は大きいと思われる。関東各地から富士急ハイランド、富士五湖、富士山五合目への直通路線が主力で、特に新宿発着は1時間に5本とかなり本数が多く、鉄道の富士急行線と競合しているともいえる。
とはいえ実は富士急は日本の私鉄としてお手本のような企業で、富士急行線は創業事業かつ基幹事業であることは間違いないものの、売上の半分を占めるのが富士山周辺、箱根エリアなどで展開するレジャー事業で、富士急ハイランドやホテル、ゴルフ場、キャンプ場、リゾート施設。さらに別荘販売・管理や駅ビル、観光地でのテナント運営などの不動産事業は、運輸事業の4分の1の売上で同じ利益を稼いでいる高収益事業。
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端的に言えば営業エリアに世界遺産にもなった富士山という一級集客装置があり、東京近郊という地の利から、交通で人を運んできてレジャーで消費させる循環ができている。コロナ禍においてはインバウンドで打撃を受けたものの、巻き返しが期待される。
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この日においては3両編成の電車は満員で、インバウンドと富士急ハイランド目当ての観光客が9割。つまり利用者のほとんどが大月駅から末端の富士山駅、富士急ハイランド駅、河口湖駅まで利用するので客単価も高いと思われる。