やがて南海になる泉北高速鉄道
泉北高速鉄道は大阪府堺市の中百舌鳥駅と和泉市の和泉中央駅を結ぶ14.3kmの路線。大阪南部の堺市と和泉市の内陸部に広がるニュータウンの開発とともに開業した路線で、中百舌鳥駅で接続する南海高野線と直通運転することでなんば駅まで直通して通勤需要を取り込んだ。南海高野線は高野山観光のために全線乗ってるけども、さすがにニュータウンに用事は無かったので初めて足を踏み入れたことになる。
大阪も人口増加に対応すべく高度経済成長期よりこのエリアの開発を決定、府営の大阪府都市開発株式会社という会社を設立し、1971年に中百舌鳥駅~泉が丘の開業を皮切りに1973年に栂・美木多駅まで、1977年に光明池駅までの区間が開業。現在の堺市南区にあたる丘陵地に川が流れて丘と谷が形成されていて、各丘が泉が丘、栂、光明池という名前の付いたエリアとして順に開発され、それぞれの丘上に駅が設置されている。和泉中央駅まで開業したのは1995年と少し後になる。和泉中央駅は名前の通り和泉市の市域の中央にあたるニュータウン。和泉市自体は和泉国の国府の置かれた古い町で、中心部は泉北高速鉄道に並行して海寄りを走る阪和線の和泉府中駅になる。
大阪府の第三セクターだったこの路線も、2014年に大阪府が株式を売却して南海電鉄の子会社に。南海電鉄と直通運転をしていたので順当な結果。さらに2022年はすべての株式を南海電鉄が取得して、2023年には南海電鉄が2025年年度中に吸収合併する計画を発表している。
泉北高速鉄道線は基本的に南海高野線と一体運行されていて、区間急行と準急は南海高野線直通で最速でなんば駅まで、各駅停車は中百舌鳥駅と和泉中央駅の間で折り返しというような体系で、なんば駅から発車する南海高野線の3分の1くらいが泉北高速鉄道方面という感じ。南海電鉄完全子会社化で運賃も南海電鉄と同水準に割引調整されたり、有料の着席ライナーに当たる泉北ライナーが朝夕運行されるようになったりと改革があった。
なんば駅から和泉中央駅の距離は27.5kmと短いのに運賃と同額の特急券が必要な泉北ライナーは、大阪の北側では新快速、阪急、京阪が無料で特急並みスピード&座席が利用できると考えると、少し暴利に感じますね。南海本線の有料特急も着席需要がそれなりにあるようで、意外と重宝されるのかもしれない。後は特急を除く再速達の区間急行が分岐駅で乗換駅の中百舌鳥駅に停車しないのは、Osaka Metroの御堂筋線への流出を防ぐためともいわれているとも。そもそも南海高野線本体も急行や区間急行は通過する駅なので、完全な方向別分離と緩急分離がはっきりした合理的ダイヤともいえるかも。
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