やらかし事件簿1
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久しぶりに家族一同が日本に集まった。
家族揃っての旅行もいつぶりだろう。
行き先は近場のサイパン。
父の運転するメルセデスに家族5人と、スーツケース3つを積み込み、一家は成田へと向かった。
この日は両親が前に、年の離れた幼い弟を真ん中に兄弟3人が後部座席に乗り込み、車は高速を軽快に飛ばしていた。
しばらくすると、車の計器の針がおかしいと父が言いだした。
覗いてみると、確かに針がふわふわ揺れているだけで、速度もエンジンの回転数もわからない。
車の走行に問題はなさそうだった。飛行機の出発までの時間はあまりない。
急いではいるが、やはり念のためと、父は車を緊急退避所に止めて車から降りた。
かけっぱなしだったエンジン。
「アイドリングはイカン」とキーを回し、わたしはエンジンを切った。
バカだった…
エンジンはかからなくなってしまったのだ。
果たして一家は、地上数十メートルにある高速道路に足止めをくらってしまった。
もちろん流しのタクシーなどいない。
たとえ空車が走っていたとしても、タクシーからすれば想定外だろう。
車は急に止まれない。
ビュンビュン車が横を走り抜けていく地上数十メートルの高速道路で行き場のない5人。
飛行機に間に合わない!
じゃなくて、このデッカイ車をどうするんだ!
いや飛行機だってどうするんだ!
でも車は動かない!
飛行機までの時間に余裕はない!
父は言った。
「みんな、降りるぞ!(高速道路を)」
決断力と行動力と瞬発力があるのが栗原家だ。
その一言で説明はいらない。それぞれが即座に動いた!
父がトランクから荷物を降ろす。
わたしと妹は数メートルある高速道路の壁をよじ登り、幹線道路へ降りる非常階段側へと渡った。
父が壁の上へ放るようにしてこちら側に渡す大きなスーツケースをなんとか受けとり、タクシーをつかまえるために長い階段を駆け下りる。
降りたそこは片側3車線の大きな幹線道路のど真ん中。
左右を見渡しても信号はない。
結構な速度で3車線ともに車が走るその道路を反対側に渡らなければならない。
命がけだ。
やるっきゃないときに迷いはないのが栗原一家。
わたしと妹はタイミングを見計らい危険な3車線を渡りきった。
しかしタクシーはなかなか来ない。
つかまるのかと少し焦ったものの、スーツケースを持った両親と幼い弟が降りてくる頃には無事つかまえていた。
両親と弟がアブナイ3車線を渡ってくるときはなぜか車の波が引いた。
ラッキーだ!
タクシーにぎゅうぎゅう乗り込むと、父は携帯で「今向かっているから!止めといてくれ!」とか言っている。
なんのハナシ?
飛行機?
え?飛行機って止められないよね?
父の言動がぶっ飛んでいるのは珍しくもないけど、これはさすがに驚いた。が、慣れのせいで突き止めることもしない(笑)
家族は特に話をすることもせず成田空港へ到着。しかし、チェックインできる時間は過ぎているんじゃ…。
一家がタクシーを降り、空港内に入るや否や、黒のパンツスーツの女性が走ってくる。
「栗原様ですか!」
「お荷物はここで受け取ります!このまま出国ゲートへ向かいますので、出国カードをご記入ください!」
そう言われ、それぞれに渡された出国カード。考える間もなく、書くための台がないので床で出国カードをなぐり書く。端から見たらどんな光景だったんだろうか。
書き終えると、なにごとかと思う人々の目の前を、「今○○ゲート前を通過しました!」とトランシーバーで連絡を取りながら先頭を走る係員の方々に導かれ搭乗口まで走る5人。
怒涛の搭乗劇だった。
はたして飛行機は我々を待っていてくれたのだろうか。
とにかく一家は無事に飛行機に乗れた。
すぐに飛行機はゲートを離れ離陸。
水平飛行になる少し前、ある事に気づいた父。
「これファーストクラスじゃないか?」
気づけばここは飛行機の先頭部。
わたしたちの周りには誰もいない。
振り返ると小さな弟が広すぎる座席に埋もれてるその様子がなんともおもしろい(笑)。
ビジネスクラスよりも明らかに広い座席。
ファーストクラスだね・・・。
サイパンまでのほんの3時間ほどのフライトにファーストクラス。
ロングフライトならまだしも…。
父ご贔屓の旅行会社に任せたらしいが、確認しない父も父。支払い金額見たんだろか。
後にこの話を友人にしたら、「そりゃファーストクラス5席のお客を置いていかないわ〜」だそうで。
ナルホドと納得(でいいのか?)。
もし我ら5人のせいで飛行機が遅れた(かは定かではありませんが)のであれば、関係者の方々と、搭乗されていた他のお客様方に大変なご迷惑をおかけしました。ここで深くお詫びいたします(遅すぎるけど)。
ちなみにキーをつけたまま高速道路の緊急待避所に置き去りにした車は、JAFさんに取りに来ていただきました。
この日も派手にやらかした栗原家でした。
栗原家のノンフィクションやらかし事件簿はまだまだあるよ♪
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