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電話診療が初診時も算定できることに〈新型コロナウイルス感染症の拡大に際しての時限的・特例的取り扱い〉
初診での電話・オンライン診療
4月7日「新型コロナウイルス感染症緊急経済対策」の閣議決定をうけ、診療報酬上の臨時的な取り扱いが、いくつか施行されてきています。
一つは、電話・ICT機器を用いた診療です。
電話再診の取り扱いの変化・追加がすごいことになっていましたが、4月10日の事務連絡で、初診での電話・ICT機器を用いた診療が一定の条件のもと解禁の取り扱いになりました。(2月28日事務連絡、3月19日事務連絡は廃止。一つにまとまって嬉しい。)
こちら⇩が事務連絡です
新型コロナウイルス感染症の拡大に際しての電話や情報通信機器を用いた診療等の時限的・特例的な取扱いについて
新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的な取扱いについて(その10)
算定項目は、初診料特定妥結率の214点になりました。再診はこれまでと同じく、(電話再診の)73点です。
OKなこと・ダメなこと
再診では、処方変更もすでにOKの取り扱い(もちろん今だけ)です。
動いた初診は、
● 電話や情報通信機器による診療で診断や処方が可能と判断した場合、医師の責任のもと、初診からそれらを用いた診療、診断や処方も差し支えない。
処方が再診で緩和された内容は初診も認められましたが、時限的であっても
● 基礎疾患の情報がない場合は、処方日数は7日まで。ハイリスク薬の処方は不可。
● 初診で麻薬・向精神薬の処方はどんなときも不可。
です。
※4月18日追記:施設基準の扱いもこの後に発出されています。追加情報はこちら。4月10日の事務連絡「~~(その11)」が中心です。
初診から実施する場合の要件
以下をすべて満たす必要があります。
●電話・オンライン診療の限界を十分に説明する。(初診からの非対面診療が適していない状態、リスク、急変時の対応等、「オンライン診療の適切な実施に関する指針」に則る)
●患者への説明内容をカルテ記載。
●必要時は対面診療に速やかに切り替える。できないなら他の医療機関に速やかに紹介(事前に紹介先の医療機関に承諾をとる)
●ICT機器を用いる場合は、患者は保険証提示、医師は顔写真付きの身分証明書を提示。電話の場合は、患者の保険証画像をメールorファクシミリ送信等で受給資格を確認。
●虚偽の申告による処方が疑われる事例に遭遇したら、都道府県に報告義務あり。
オンライン診療の点数を算定するには施設基準があり、情報通信に関する研修履修が本来必要ですが、これも今だけ「コロナが落ち着いてから受けたらいいよ」となりました。電話診療では研修の義務は定められていません。
処方箋の扱い
これは2月28日から変わっていることですが、薬の受け取りが対面でなくても可となっています。
もともとは、診療が電話やオンラインであっても、薬は手渡し、対面で服薬指導でなければなりませんでした。現在だけの時限的な措置として、電話等による服薬指導でも認める。患者との相談のうえ確実に受け取れて薬が劣化しない適切な方法で渡せるなら、対面でなくて構わない。との扱いになっています。
影響あるのは主に薬局です。院外処方の医院での変化は、処方箋記載(基礎疾患がわからない初診患者の場合はその旨記載するなど。)、処方箋を薬局に送るようになること、患者さんへの説明でしょうか。院内処方の医院さんではもっと影響ありますね。
院内トリアージ実施料
4月8日づけ事務連絡では、
新型コロナウイルス感染症患者(新型コロナウイルス感染症であることが疑われる者を含む。以下同じ。)の外来診療を行う保険医療機関においては、当該患者の診療について、受診の時間帯によらず、診療報酬の算定方法(平成 20 年厚生労働省告示第 59 号。以下「算定告示」という。)B001-2-5 院内トリアージ実施料を算定できることとすること。なお、その際は、「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き・第1版」に従い、院内感染防止等に留意した対応を行うこと。
本来届出が必要な院内トリアージ実施料(300点)ですが、COVID-19を診療する医療機関なら、施設基準はクリアずみとみなし、届出不要との通知です。患者さんからの問い合わせを受ける医院では、案内先として基幹病院のキャパにも限りがあるなか、疑い患者・軽症者には中小規模の病院での受け入れも可能になっているかもしれません。地域の医療体制の情報収集・更新をおすすめします。
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