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鳩サブレーとメロンパン

ばあちゃんが亡くなった。
朝7:30頃親からのLINEが入り、続いて電話がくる。なんの前触れもなかった。なんなら2日前に年末年始に帰省のお土産の話をしてたくらいだ。

思ったよりも冷静だった。
大学進学と共に上京、東京に来てからもう6年も経った。帰るのはお盆と年末年始のみ。物理的に離れると心理的にも離れるのかなと思った。実感が湧かない。

明日からスクーリング。
だけど、今日このまま実家へ帰る。猫のエサとコンタクトレンズを買いにいって、洗濯して、掃除して、姉が仕事から帰ってきたらすぐ出られるように準備をする。

***

「家から出る?」
姉から意図のわからない連絡が来る。「?」と返すと「買い物行くなら、ばあちゃん甘いもん好きだったから買ってきてほしいなって思って」と返ってきた。お土産の話らしい。

「鳩サブレーだったら最後はみんな食べるし」と続いてきたので、鳩サブレーを買いに行くことにした。

でも、なぜか「あ、メロンパン買って帰ろう」と思った。〇〇と〇〇のメロンパン。私も食べたいし、きっと美味しいから。葬式前の、燃やされる前の、最後のお菓子にしようと思った。

***

家から1時間くらいかけてお目当てのパン屋さんへ。子連れママさんで賑わっていた。人をかき分けてメロンパンを探すが見当たらない。

「〇〇と〇〇〇のメロンパン、まだありますか?」
店員さんに尋ねる。焼き上がりに時間がかかっても待っていようと思った。店員さんは奥の厨房に確認しに行った。

「すみません、今日はすでに終わってしまいました」

まじかよ。まだ14時だよ。と思いつつもないものは仕方ない。「そうなんですね、ありがとうございます」そう言って店を出る。

ないものはない。仕方ない。鳩サブレーだけ買いに行こう。そう思って歩き出した。

...

その瞬間に涙が出た。
ポロポロと溢れる。止まらない、そう思うとドンドン出てきて、しまいにはしゃくりあげながら泣いてしまった。

仕方ないから散歩して、それから鳩サブレーを買って帰った。鳩サブレーはメロンパンと違って重い。

#エッセイ

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