見出し画像

パリで仏語版『レ・ミゼラブル』を観劇🎭して発見したこと

ミュージカルを生まれて初めてみたのは大学時代に東京の帝国劇場で見た『レ・ミゼラブル』、1987年に公演が始まってから2015年まで続いた超ロングラン作品(と思っていたらまた今年から日本では再演されるのですか!?)。私が見た時のジャン・バルジャン役は滝田栄、ジャベールに村井國夫、ファンテーヌ役は元宝塚の安奈淳、エポニーヌ役は島田歌穂、コゼットは鈴木ほのか、そしてマリウスに野口五郎、、と、このキャストを今調べてみると私が見に行ったのは多分1991年。初めてのミュージカル、登場する役者さんたちは皆セリフを歌いながら言う(だってミュージカル、、笑)、一緒に観に行った友人がチケットを手配してくれて中央の前から9列目というなんとも臨場感満載に観劇ができたのは本当に至福のミュージカル観劇デビューでした。
以来私はミュージカルという演劇形式にどっぷりハマり、東宝ミュージカルの『ミス・サイゴン』に『オペラ座の怪人』『サウンドオブミュージック』『マイ・フェア・レディ』に劇団四季、宝塚、、、
多数のミュージカル作品を見に行ったのですが、曲の親しみやすさにおいてはこの『レ・ミゼラブル』が一番耳心地もよく、その後ロンドン、ニューヨークでも同じ公演を観に行ってはそれぞれを比較して日本語版よりもオリジナルの英語版の方が聞きやすかったのもありCDも購入して暗記して一人悦に入ってました。

さて、今回のパリでのLes Misérables公演!11月から来年1月2日までの公演というのはポスターで知っていたけどなかなか日程を決められず結局先週末のマチネのチケットを当日券で観に行きました。

シャトレ劇場の正面

場所はThéâtre du Châtelet(シャトレ劇場)、1862年に建てられたとても古い劇場ですが調べるとビクトル・ユゴーがLes Misérablesを書き上げて初版が発行されたのも1862年!彼もこの劇場が建設されていく様子をノートルダム大聖堂に向かう道すがら眺めていたに違いない、、と妄想してニタリ、笑。
舞台自体は帝劇に比べると幅は狭い、でもとにかく雰囲気は内装の豪華さも相まって素晴らしいです。今回の席は天井桟敷のような場所だったので天井のシャンデリアの方がよく見えて(笑)、いくつかのライトは消灯していたけど明るさには差し障りなく、金箔でキラキラと輝く壁の装飾画など当時の職人さんたちの技術と美意識に見惚れてしまいました。

さてさてお目当てのミュージカル。衣装を着た役者さんたちが登場するともうそれだけでタイムスリップ、あの革命のあった土地でまさにその時代の様子が目の前で繰り広げられている(でも下町の荒んだ様子は多少露骨過ぎな面も、、😅)!
気づいた点としては日本語版の曲はほとんど全てオリジナルである英語版の曲の歌詞をほぼ忠実に踏襲していたこと、例えば開幕一番目の曲、Look down and see the beggars at your feet は「下向け、目を合わすな」と歌い上げたり、島田歌穂が一躍有名になったエポニーヌの「オンマイオウンon my own」もand now i all alone again no where to go to… は、日本語版だと「またあたしひとり 行くところもないわ 暖かいうちも、、」。wikiで調べたら日本語版で訳詞を担当したのはあの岩谷時子さんでした!ああ、なんだか納得!!
今回フランス語になるとPitié, pitié、、、となり、エポニーヌの「オンマイオウン」は“mon histoire”というタイトルで歌い上げていたり、ジャベールの歌う「星 Stars」、フランス語版ではそのままLe suicide de Javert (ジャベールの自死)となっていてどれも日本版の歌詞ほどに英語版に忠実ではなく、、あれれ、やっぱりフランス語だと単語の長短がうまく合わないからかしら、と思ってプログラムなどを読んで知った(私にとっての)大発見、なんとこのミュージカル、フランス人2名によって作られたのがオリジナルだったのでした

このLes Misérablesのミュージカル、1980年にフランス人のアラン・ブーブリルとクロード・ミッシェル・シェーンベルグによって制作されパリで初演されたのが始まりだったのでした。それを見たイギリスのキャメロン・マッキントッシュが興味を持ちロンドン版を作り上げて1985年に初演、その後1987年にニューヨーク、そして東京でも公演がスタートしたということでした。オリジナル版はフランス語であり英語版が後から作られそれが日本語版になったということだったのですね!

カーテンコールに応える役者さん達と指揮者(私の席からの眺めはこんな感じ、、笑)

ずっと私はミュージカル文化はロンドン、ニューヨークがメインでフランスではオペラやバレエ、もしくは小劇場でのお芝居が主流でミュージカルはあまり人気もないのかと思っていましたが、なんとなんとあの『レ・ミゼラブル』はmade in Franceだったなんて!!と、なんだかフランス人にあっぱれと言ってあげたい(笑)ような、大発見に繋がった1日でした。

いいなと思ったら応援しよう!