【難カタカナ語】ソーシャルディスタンス?ソーシャルディスタンシング? -Social distance or Social Distancing?-
新型コロナウイルス感染症(Covid-19)の感染を防ぐためのキーワードとして使用される「ソーシャルディスタンス」というカタカナ語。
英語表記だとSocial Distance、日本語に直訳すると社会距離。
なんですが!
英語の記事やニュースを見聞きしていると英語では "social distance"とは言わずに"social distancing"を使っています。
distanceもdistancingも「距離」という意味なのになぜ…?
と思って調べてみたら、さっそくwikipediaのsocial distanceの欄に
*Not to be confused with Social distancing.
って書いてある!!
Social distance describes the distance between different groups in society, such as social class, race/ethnicity, gender, or sexuality.
社会的距離とは、社会的階級、人種/民族、性別、セクシュアリティなど、社会における異なるグループ間の距離を表す。
Measures are taken to prevent the spread of a contagious disease by maintaining a physical distance between people and reducing the number of times people come into close contact with each other. It typically involves keeping a certain distance from others and avoiding gathering together in large groups.
人と人との間の物理的距離を維持し、人が互いに接触する回数を減らすことによって伝染性疾患の拡大を防ぐために取られる措置。他人から一定の距離を保ち、大集団で集まることを避けることを含む。
"social distance"は物理的な距離ではなく階級や人種など社会におけるグループ間の距離、具体的に言うと
白人と黒人の違い:かつてこの街には「黒人お断り」のお店がたくさんあった=白人と黒人との間にsocial distanceがあった
大卒と高卒の違い:大卒と高卒の生涯年収の差がある=大卒と高卒のあいだにはsocial distanceがある
というような距離を指す言葉で、"social distancing"は今日本で使われている「人との物理的距離(physical distancing)」を指す言葉、とのこと。
wikipediaのリファレンスを見てみるとsocial distanceの一番古い文献が1924年なのに対してsocial distancingの文献は古いもので1996年、ほとんどが2019年、2020年の文献なので、social distancingは今回の新型コロナウイルスで頻繁に使用されるようになった用語のようです。
英語をカタカナ語にする際、日本人は語尾の-edや-ingを抜くことがあります。例えば iced coffee (アイスコーヒー)、sponsored link(スポンサーリンク、スポンサードリンク表記両方あり)、他にも翻訳してるといろいろあるんです。カタカナで「アイス"ト"コーヒー」と書いたり「〜"イング"」と書くと日本語的には「余分だなぁ」と感じてしまうので削りがちなんですが、-edや-ingを抜くと受動(〜する)なのか能動(〜される)なのか、動作の方向性が変わってしまったり、social distance/social distancingのように意味が変わってしまったりすることもあるので注意が必要です。
私も英語を書いたり話したりするときにはsocial distancingを使うように気をつけないと。