町工場の廃材をアップサイクルする「世世流転(ZEZERUTEN)」とは?~ギフト・ショー春2024 取材レポート~
2024年2月6日。わたしは町工場プロダクツのみなさんを訪ねて、東京ビッグサイトへいってきました。「東京インターナショナル・ギフト・ショー」の会場へ来るのは、2023年9月以来2度目です。
今回は町工場プロダクツの参加企業10社のうち、2社を取材させていただきました。ここでは、東京都墨田区のPit-a-Patが立ち上げたブランド「世世流転(ZEZERUTEN)」をご紹介します。
「世世流転(ZEZERUTEN)」は町工場の廃材をグリーンアイテムによみがえらせて販売しています。なぜ、このような事業をおこなうようになったのでしょうか?わたしは「Pit-a-Pat」の代表でデザイナーである大井雅人(おおい まさと)さんにお話をうかがいました。
スクラップになる廃材をなんとかしたい
大井さんの住む墨田区は町工場が多い町で、お子さんを通じて仲良くなった友人には工場の跡継ぎの方もたくさんいるのだとか。そのつながりで工場見学に行かせてもらったことが、町工場のファンになったきっかけだったといいます。
工場で巧みな職人技を見て感銘をうけた大井さん。「素材と加工の研究者」である職人の方々と一緒にデザインするとステキなものができるのではと思い、数多くの町工場と一緒にものづくりを始めたそうです。さらに町工場で作った製品をより多くの人々に届けるためのサポートもおこなっています。
大井さんは町工場との仕事がきっかけで、工場から端材や廃材が出ることを知ったと言います。規格外で製品にならなかったものや、使えなくなってしまった金型などの機械部品、素材の切れ端などはどれも個性的なかたちをしていて「かっこいい!」と思ったのだとか。
このままだとスクラップになってしまう「かっこいいもの」をなんとかしたい!そこで大井さんは町工場から出る廃材を生まれ変わらせようと「世世流転(ZEZERUTEN)」を立ち上げました。
町工場の廃材をいかしたグリーンアイテム
大井さんは「世世流転(ZEZERUTEN)」をとおして「町工場をグリーンで盛り上げたい」と端材や廃材をアップサイクル!グリーンアイテムとして新たな命を吹き込んでいます。
「世世流転(ZEZERUTEN)」で使用する素材は、金属製や木製の金型やケミカルウッド、アルマイトの端材などさまざま。町工場プロダクツの参加企業や墨田区や大田区をとおして提供を受けているそうです。
素材をどう活用するかは、工場の方とディスカッションして決めるといいます。とがっていて危ないものは安全なものに加工して。そのままのかたちを活かせるものは、そのまま使うなど。素材に合わせた利用法を考えると言います。
また企画については、ハンズ渋谷店からパートナーとして意見をもらっているとのこと。ハンズ渋谷店では商品の販売もおこなっているので、商品を見てみたいという方は訪れてみてはいかがでしょうか?
注)取材当時の情報です。ご了承ください。
「世世流転(ZEZERUTEN)」は町工場のファンであり、日本のものづくりを盛り上げたいという大井さんが、町工場とともに作り上げるサスティナブルなブランドです。
サスティナブルなアイテムと一緒に暮らす
東京ギフトショーの会場では、「世世流転(ZEZERUTEN)」の商品を見ながら大井さんにお話をうかがいました。ここからはその一部をご紹介します。
金型で作ったフラワーポット
これは、金型の部品の鋭利な部分を危なくないように滑らかに加工し、ボルトを足として装着したフラワーベースとのこと。金型そのもののかたちを生かした個性的なデザインが目を引きます。リビングや寝室に置いて眺めると、一日の疲れも忘れてしまいそうです。
ホーロー製の鍋とやかんに植物を入れて
これは、繊細な職人技によってつくられたホーロー製の鍋とやかんです。少し傷があったため販売できなくなったB級品を、そのまま使ったグリーンアイテムとのこと。やっぱり鍋だから、キッチンに飾りたい! 台所に立って料理をするのが楽しみになりそうです。
こいのぼりの矢車になるはずだったポールをヒンメリに
これは色ムラなどがあり、こいのぼりの矢車の素材として使用できなかったポールで作った、ヒンメリとのこと。ヒンメリとは、フィンランド伝統の幸運を呼ぶアイテム。モビールのように吊るして、リビングやダイニングに飾るとステキかもしれません。見ているだけで、なんとなく幸せな気持ちになれそうです。
このように、廃材として終わるはずだった素材がグリーンアイテムとして生まれ変わりました。どれも繊細な職人技を身近に感じられる、ユニークでサスティナブルな商品です。
あなたも「世世流転(ZEZERUTEN)」のラインナップからお気に入りのグリーンアイテムを見つけて、一緒に暮らしてみませんか?
まとめ
ここまで「世世流転(ZEZERUTEN)」をご紹介しました。お忙しい中、急な申し出にも関わらず取材に応じてくださった大井さんに、心より感謝申し上げます。
この記事をきっかけにして、「世世流転(ZEZERUTEN)」はもちろん、町工場プロダクツや参加している企業とその製品に、興味を持っていただけたらうれしいです。
「世世流転(ZEZERUTEN)」について詳しくはこちらのサイトをご覧ください。